中期経営計画「EWAY Future & Beyond」

The Peopleの“生ききる”を支える

超高齢化が先進国だけでなくグローバルに進展する中で、AIなどのデジタル、ネットワーク技術等の革新のもと、製薬を含むヘルスケア産業においては、従来の一貫したサプライチェーンモデルからスタートアップ企業をはじめとする様々なプレイヤーによる水平分業へとその産業構造が大きく変化しています。このような変化に対応すべく、当社グループは、2016年度にスタートした中期経営計画「EWAY Current」に続く、新たな中期経営計画として「EWAY Future & Beyond」を2021年4月よりスタートしました。

「EWAY Future & Beyond」では、2021年度からの5年間を「EWAY Future」、2026年度以降を「EWAY Beyond」とし、視点を患者様から生活者一人ひとりであるThe Peopleに転換します。「The Peopleの“生ききる”を支える」をビジョンとして、当社グループが最も強みを持つニューロロジー領域とオンコロジー領域に立脚し、サイエンスに基づくソリューション創出を推進します。加えて、長年実践してきたヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念に基づく、顧客の憂慮を知り、取り除くための戦略を立案し、解決するというhhcプロセスを磨き、一人ひとりの人生に寄り添っていきます。その結果として、健康な状態から最期の時まで、その人らしく生ききることを叶え、支えるhhc理念+エコシステム (hhceco)へと進化することをめざします。

hhcecoを実現する上で、幹となるのがEisai Universal Platform(EUP)です。EUPは、当社グループが強みとして有するアセットからなるプラットフォームであり、様々な産業、地方自治体などとのエコシステムの構築により、The Peopleの多様な憂慮の取り除きを拡大していくことをめざします。EUPには、様々な外部パートナーの技術と自社の技術(R&D)とのシンクロにより、医薬品をはじめとするソリューションをパッケージ化し、そのパッケージをリアルあるいはバーチャルにお届けするところまでが含まれます。具体的には、外部の技術と、自社のデータサイエンス、遺伝子解析、データ解析等のデジタル技術および創薬技術を有機的に連携させ、新たなソリューションを生み出すことをめざします。日常領域では健康状態の維持・支援、疾患啓発と予防・検査・病院検索、医療領域では正確な診断、治療(薬物・非薬物)の効果確認、QOL(quality of life)の向上に寄与する施策などのソリューションが想定されています。これらのソリューションを、日常領域ではアプリ、WEB、ソーシャルメディア等のデジタル(バーチャル)によりお届けする一方、医療領域ではオウンドメディア、デジタルプロモーションなどのオンラインサービスに加え、人対人のリアルコミュニケーションによりお届けし、The Peopleの憂慮を取り除くことをめざします。またエコシステムにおいては、保険産業における保険商品の開発、フィットネス産業における疾患予防に関する新たなプログラム開発、地方自治体による疾病予防事業の推進などを進めていきます。

 「EWAY Future & Beyond」における研究開発では、バイオマーカーの進化により、症状や腫瘍ベースの診断から、病態生理学に基づく疾患連続体(Disease Continuum)解析へ転換し、プレシジョンメディシン(精密医療)の提供をめざします。具体的にはアルツハイマー病(AD)では、病態生理学バイオマーカーを定量的かつ継時的に測定する継続的ブレインヘルスパネル診断を実現させ、一人ひとりが疾患連続体のどのステージにあるか精密に診断し、薬剤を決定する最適な治療の実現をめざします。一方で、オンコロジーでは、継続的な血中の循環腫瘍DNA解析と次世代シーケンス解析によりがんの進化を深く理解し、ゲノム情報に基づく早期診断、患者様ごとに最適な治療法の選択が可能となる個別化医療の実現をめざします。

 当社グループは、「EWAY Future & Beyond」においても、日本発のグローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、顧みられない熱帯病(NTDs)に対する新薬開発の経験豊富なNPO/NGOとのパートナーシップのもと、新薬開発、エビデンスを創出し、NTDsの制圧に貢献していきます。