コンプライアンス・リスク管理

エーザイでは、チーフコンプライアンスオフィサー兼内部統制担当執行役がコンプライアンス・リスク管理推進部を管轄し、コンプライアンスとリスク管理を推進しています。

コンプライアンスの推進

エーザイは、コンプライアンスを「法令と倫理の遵守」と定義して経営の根幹に据え、トップ・マネジメントによるメッセージ発信、行動規範やルールの整備、啓発活動、研修体制や相談・通報窓口の整備等からなるコンプライアンス・プログラムを推進しています。ビタミンEカルテルの教訓から、2000年度に本格的なコンプライアンスの推進活動をスタートしました。このコンプライアンス・プログラムは、社外専門家で組織されたコンプライアンス委員会による客観的なレビューを定期的に受けています。

1.行動規範やルールの整備およびコンプライアンス意識の醸成のための啓発活動

エーザイでは、コンプライアンス意識を醸成するため、「コンプライアンス・ハンドブック」(エーザイネットワーク企業行動憲章と行動指針を記載)を16カ国語で発行し、すべての役員・従業員に配布しています。

すべての役員・従業員は、コンプライアンス・ハンドブックの内容に関する研修を受講するとともに、それらの内容を遵守する旨を毎年宣誓しています。

また、コンプライアンス意識の向上と事案の発生を未然に予防することを目的に、コンプライアンス役員研修会をはじめとする多様な研修会、e-ラーニング、各部署での研修用資材配信など、様々な媒体を駆使した教育研修を継続して実施しています。

日本語


経営層からのメッセージ

行動規範
コンプライアンス・組織風土の状況把握のため従業員意識調査を実施

コンプライアンス・組織風土の状況および課題の有無を把握するため、全ENWで「コンプライアンス意識調査」を隔年毎に実施しています。この意識調査では、ENWの役員・社員のコンプライアンスに関する意識や活動状況を分析・評価し、その結果をコンプライアンス・プログラムのさらなる充実に活用しています。また、経営層や管理職とその課題を共有し、各部門における自主的な課題解決のアクションにつなげています。

2.コンプライアンス・カウンターの活用

コンプライアンス・カウンターは、ENWにおける内部通報としての相談・通報窓口であり、 日本、米国、欧州、中国、アジア等の各地域をベースとした窓口に加えて、各国から現地語 で日本へ直接、相談・通報絡ができるグローバル窓口が設置されています。また、独立した社外弁護士による社外相談窓口や、職場や仕事の問題を中立的な立場で扱うオンブズパーソンが運営する社外相談窓口も設置し、通報しやすい環境を整備しています。

コンプライアンス・カウンターでは、通報だけでなく、日々の活動に関する疑問などコンプライアンスに関するあらゆる相談を受け付けており、2021年度は、本社設置のコンプライアンス・カウンターだけで年間320件を超える問い合わせを受領しました。

3.お取引先様コンプライアンス通報窓口

エーザイでは、お取引先やその役員および従業員の方々にも、エーザイ関係者による不正行為や法令違反、さらにお取引先における当社事業に関わる不正行為や法令違反等について相談・通報いただけるようコンプライアンス通報窓口を設けています。窓口対応業務に従事する者に対して、公益通報者保護法に準じ、通報者を特定させる情報の守秘義務を定めています。

4.贈収賄・汚職の防止

エーザイは、誠実なビジネス活動を行うことに対する強い想いに基づき、2012年1月に「ENW贈収賄・汚職の防止に関するポリシー」を定めました(2018年10月1日全面改定)。これは、社外関係者と対応する際のENW共通のルールであり、すべてのENWにおいて贈収賄・汚職のないビジネス活動を推進しています。

具体的な取り組みの一つに、エーザイが新規に取引を予定している企業へ、Webシステムを活用して事前にグローバル共通の贈収賄・汚職の可能性に関する質問書への回答を得るABAC(Anti-Bribery and Anti-Corruption: 贈収賄・汚職の防止)デューディリジェンスシステムを導入しており、新規取引に伴うリスクの低減に一定の成果を得ています。本システムは、リスクアプローチの考えのもと、メキシコ、ブラジル、カナダを含むアメリカ地域、ロシアや東欧を含む欧州地域、中国、インドやアジア諸国で稼働させています。

また、会計・財務データをモニタリングすることで、不正の兆候を発見するシステムを海外のENWにおいて導入することに取り組んでいます。

5.コンプライアンスに則ったプロモーション

エーザイは、グローバルにコンプライアンスに則ったプロモーション活動を行っています。また、企業活動が高い倫理性のもとに行われていることを広く社会にご理解いただくため、日本製薬工業協会(製薬協)や各国で定める法令・ガイドラインに則り、医療機関等および患者団体に対する支払いを公開しています。

■コンプライアンス・ハンドブックに行動指針を規定

エーザイでは、全社員に配付される「コンプライアンス・ハンドブック」に、コンプライアンスに則ったプロモーションを行うための行動指針を規定しています。以下はその抜粋です。

  • エーザイネットワーク企業(ENW)は、世界各地で医薬品の販売とプロモーションを行っています。私たちは、現地の規制当局が承認した、適正使用に関する科学的かつ正確な情報を提供し、プロモーションを行っています。
  • 「プロモーション」とは、医療従事者を対象として、インターネットを含むすべてのコミュニケーション手段を通じて、医薬品の処方、推奨、供給、投与、または消費を促進するために実施、企画、または後援するあらゆる活動を指しています。

  • 医療従事者と交流を行う際には、自国での規制およびルールに精通していることが求められ、自国以外で医療従事者と交流する際にはその国の規則およびルールを確認する必要があります。

  • 未承認、適応外、適応追加前、あるいは科学的根拠のないプロモーションは、厳格に禁止されています。すべてのプロモーション資材は自国のプロセスに従って、レビューおよび承認される必要があり、承認された目的にのみ使用できます。

■エーザイ株式会社コード・オブ・プラクティスの制定

国際製薬団体連合会(IFPMA)は2012年3月に、マーケティング活動だけではなく、医療関係者、医療機関、患者団体との交流、および医薬品のプロモーションを対象とした「IFPMAコード・オブ・プラクティス」を発表しました。エーザイが会員会社となっている日本製薬工業協会(製薬協)は、「IFPMAコード・オブ・プラクティス」の趣旨に則り、「製薬協コード・オブ・プラクティス」を制定、施行しました。エーザイは「製薬協コード・オブ・プラクティス」の趣旨に則った「エーザイ株式会社コード・オブ・プラクティス」を制定しました。エーザイの全役員・従業員は、同コードに則り、常に高い倫理性と透明性を確保し、研究者、医療関係者、患者団体等との交流に対する説明責任を果たし、社会の信頼に応えていくべく、各々の活動を推進しています。

リスク管理の推進

エーザイでは、会社法に基づき、取締役会が「執行役の職務の執行の適正を確保するために必要な体制の整備に関する規則」を制定し、すべての執行役が担当職務のリスクを識別し、内部統制を構築・整備、運用することを定めています。内部統制担当執行役はグローバル共通の「ENW内部統制ポリシー」を定め、グループ全体で内部統制の構築・整備、運用を推進し、リスクを許容範囲に管理すべく取り組んでいます。

1.リスク管理体制とリスク対応の推進

リスクマネジメント委員会は、内部統制担当執行役を委員長として定期的に開催され、取締役会の助言を受け、エーザイにおける特に重要なリスクを一元管理しています。さらに、新たなリスクの把握と迅速かつ効率的なリスク対応を推進するとともに、社外の企業不祥事等を参考に自社の潜在的なリスクを早期に感知し、リスクの顕在化防止に努めています。

エーザイのリスク管理体制

2.CSA(Control Self-Assessment:統制自己評価)

エーザイではリスク管理のツールの一つとして、CSAを実施しています。CSA活動では、毎年、ENWの組織長が自組織のリスクについて識別・評価を行い、対応を進めています。また、全執行役による識別・評価を通して全社的な重要リスクを把握し、リスク対応の実施状況を確認することでリスク管理の実効性を高めています。