生物多様性保全

方針・基本的な考え

エーザイグループは、グローバルに展開するヘルスケア企業として「エーザイ・ネットワーク企業(ENW)環境方針」を定め、地球環境の保全を重視した企業活動を展開しています。このENW環境方針では「6. 生物多様性の保全に配慮した事業活動を展開し、自然共生社会の実現に貢献します。」と定め、生物多様性保全の取り組みをグローバルに推進しています。

エーザイグループは、天然資源など生物多様性のもたらす恵みを利用して事業活動を行っています。自社創製の抗がん剤「ハラヴェン」は天然物のクロイソカイメンに由来するなど、生物多様性の保全は持続的に事業活動を行う上で重要な課題となっています。そのため、すべての役員・従業員が生物多様性の重要性を認識し、生物多様性に関する社会的責任を果たすことを目的に、「生物多様性指針」を定めて基本的な考えを共有しています。

生物多様性指針

基本理念

エーザイグループは、生物多様性により生み出される自然の恵みに感謝し、生物多様性の保全と生物資源の持続可能な利用に努めます。事業活動における生物多様性への影響に配慮し、地球環境との調和に基づく自然共生社会の実現に貢献します。

基本方針

事業活動による生物多様性への影響についてグループ企業はもとより、サプライチェーン全体で把握するよう努め、生物多様性の保全を重視した企業経営を行います。

温室効果ガス排出抑制や化学物質排出に伴う環境汚染防止、廃棄物の適正処理および資源の有効活用を積極的に推進し、生物多様性に悪影響を及ぼす環境負荷の低減に努めます。

遺伝資源を含めた生物資源の公正利用など国際的な法令や取り決めを遵守した事業活動を展開し、その持続可能な利用に努めます。

生物多様性の保全に関する社員の意識向上に努め、国内外ステークホルダーズとの連携・協調による生物多様性を育む社会作りに貢献します。

生物多様性の保全に関する会社情報を積極的に開示します。

2020年8月5日

総務・環境安全担当執行役

目標・アクション

生物多様性関係性マップ

エーザイグループは、2022年度、事業活動がどのように生物多様性に依存し、影響を与えているかを把握するため、一般社団法人 企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)が開発した「企業と生物多様性の関係性マップ®」を参考に事業活動と生物多様性の関係を整理しました(下図)。その結果、現時点では生物多様性に与えるリスクはないものの、中長期的なリスクとして以下の2点を特定しました。

  • 1.操業地における水域・大気等への有害物質排出による、近隣地域の生物多様性への影響主要13拠点の近隣地域をリスクエリアとして特定しています

*主要13拠点

川島工場(日本、岐阜県)、筑波研究所(日本、茨城県)、鹿島事業所(日本、茨城県)、神戸研究所(日本、兵庫県)、EAファーマ株式会社福島事業所(日本、福島県)、蘇州工場(中国、江蘇省)、本渓工場(中国、遼寧省)、ボゴール工場(インドネシア、ボゴール県)、バイザッグサイト(インド、Andhra Pradesh州)、欧州ナレッジセンター(英国、Hertfordshire州)、エクストンサイト(米国、Pennsylvania州)、ボルチモア工場(米国、Maryland州)、G2D2(米国、Massachusetts州)

 

2.製品の使用により排出される廃棄物の環境全体への影響(例:海洋プラスチック問題)


生物多様性中期目標の設定

エーザイグループは、生物多様性保全活動を推進するため、以下に示す中期目標を総務・環境安全担当執行役(当時)が委員長を務める全社環境安全委員会にて審議・承認のうえ設定しました。事業活動に基づく生物多様性への影響を継続的に把握し活動を加速させていきます。

2025年

主要な事業所で操業地の近隣における重要な種を1つ以上特定し、保全活動に着手する。(主要13事業所中10事業所以上)

  

2030年

  • 主要な事業所すべてで操業地における重要な種の保存活動が開始され、7事業所以上の場所でその種が保存・維持されている
  • 製品パッケージ等への環境に配慮した素材の導入(複数品目への導入)

               

体制・システム

エーザイグループでは、環境マネジメント推進体制を構築し、グローバルな活動を推進するとともに、国内外における環境リスクの把握やその対策の確立に向けた活動強化に取り組んでいます。

  

環境マネジメント推進体制と内部監査

https://www.eisai.co.jp/sustainability/environment/management/structure/index.html

具体的な取り組み

川島工場では、1966年3月に操業を開始して以来、「All for Patients and Nature」のコンセプトのもと、事業所内の自然環境の保全に努めています。総敷地面積約47万㎡のうち、緑化率は約50%であり、クロマツを含む約30,000本の樹木を維持・管理しています。敷地内にある内藤記念くすり博物館の薬草園では、約700種の薬用および有用植物を栽培・管理しており、中でも環境省レッドリストに指定されている絶滅危惧種(準絶滅危惧種含む)のうち全40種の保護に取り組んでいます。

鹿島事業所では、計画的な植栽管理を行うとともに、敷地内の樹木を増やすための植樹を進めています。EAファーマ株式会社福島事業所では、ソメイヨシノ、シダレザクラ等、敷地内の植栽林を保全しています。バイザッグ工場(インド)では、2020年度から環境啓発促進のための植林プログラムを継続し、これまでに合計約11,000本を植樹しました。ボゴール工場(インドネシア)では、国が保護しているランの保全に取り組んでいます。

 

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