持続可能な水利用

方針・基本的な考え

エーザイグループは、グローバルに展開するヘルスケア企業として「エーザイ・ネットワーク企業(ENW)環境方針」を定め、地球環境の保全を重視した企業活動を展開しています。ENW環境方針では、「5.水を含む資源の持続可能な利用および廃棄物の削減と再利用を進め、循環型社会の形成に貢献します。」と明記し、医薬品の研究活動や生産活動に必要不可欠な水資源の有効利用および水質保全の取り組みをグローバルに推進しています。

目標・課題・アクション

水資源の有効利用を目的として、取水量を2030年度までに2023年度比で7%削減(指標:取水量[千m3]/売上収益[億円])することを中期目標に定め、実験廃液や雨水のリサイクル等、全社で水資源の効率的な利用を推進しています。
また、排水に関する各国の環境基準(環境関連法・条例・自治体との協定等)を遵守するとともに、さらに厳しい自主基準を設け、2030年度まで法令違反ゼロを継続することを中期目標に定め、全社で水質保全に資する高質な排水処理を維持しています。

体制・システム

エーザイグループでは、環境マネジメント推進体制を構築し、グローバルな活動を推進するとともに、国内外における環境リスクの把握やその対策の確立に向けた活動強化に取り組んでいます。

環境マネジメント推進体制と環境監査
https://www.eisai.co.jp/sustainability/environment/management/structure/index.html

具体的な取り組み

水資源の有効利用を目的として、取水量を2030年度までに2023年度比で7%削減(指標:取水量[千m3]/売上収益[億円])することを中期目標に定め、全社で水資源の効率的な利用を推進しています。具体例として、鹿島事業所(茨城県)では、原薬製造における最終精製工程において、精製水貯蔵タンクの管理レベルならびに軟水器再生回数の最適化を図り、上水使用量を削減しました。また、実験室のガラス器具や食堂の食器の洗浄の最適化を図り、上水使用量を削減しました。さらに、筑波研究所(茨城県)では、空調等の施設保守・管理のため使用する水を、医薬品の研究開発活動で発生する排水を所内処理施設で中間処理した水を利用することにより、水使用量の削減に取り組んでいます。2024年度は約7万㎥の中間処理水を利用しました。
また、排水に関する各国の環境基準(環境関連法・条例・自治体との協定等)を遵守し、2030年度まで法令違反ゼロを継続することを中期目標に定め、全社で水質保全に資する高質な排水処理を維持しています。
さらに、サプライヤーに対しても、説明会やエンゲージメント等を通じて、「持続可能な水利用」の目標設定、取り組みの促進を働きかけています。
投資においては、水使用削減量を金額換算することで投資効果額として投資判断基準に組み込むインターナルウォータープライシング(IWP:社内水価格)を主な工場・研究所を置く国ごとに設定しています。
水ストレス下にある地域での取水については、工場・研究所への事業活動の中期見通しに基づく認識調査では、事業活動上、高リスクに該当する地域は確認されませんでした。

川島工場内の処理場で浄化された排水が流れ込む日本庭園

データ

2023年度以降、データの収集拠点を段階的に拡大し、2023年度はグローバル21拠点、2024年度はグローバル全拠点である67拠点を対象範囲(バウンダリ)としています。
取水量の2030年度目標に対する進捗は、2024年度実績(指標:取水量[千m3]/売上収益[億円])0.124であり、2024年度目標0.133を下回りました。取水量は3,168千㎥であり、2023年度の取水量を2024年度と同一のバウンダリで比較すると約8%減少しました。理由として、各サイトで水のリサイクルを含む水資源の効率的な利用を推進し、水使用量を抑制したことが挙げられます。また、川島工場(岐阜県)では、行政からの要請で、常時、地下水をポンプアップし河川維持のために放流しています。前年度はポンプアップ用の井戸の流量計故障により保守的な数値で推計しましたが、修理に伴い実測値が計測できるようになったことも挙げられます。
排水量は2,455千㎥であり、2023年度の排水量を2024年度と同一のバウンダリで比較すると約7%減少しました。理由として、川島工場では、所内の日本庭園の池に水を溜め、放流していますが、2024年度は雨水の流入が減少した影響等を受け、排水量が減少したことが挙げられます。また、ボゴール工場(インドネシア)では、下水溝に新たに流量計を設置し、実測値の計測が可能となり、結果排水量が減少したことが挙げられます。
今後も事業活動の拡大が見込まれるものの、全社で水資源の効率的な利用を推進していきます。

取水量削減における中期目標の進歩
2023年度までに2023年度比で7%削減(目標:取水量[千㎥]/売上収益[億円])

※左右にスクロールできます

2023年度2024年度2030年度
目標 0.134 0.133 0.125
実績 0.134 0.124

取水量内訳(単位:千㎥)

※左右にスクロールできます

2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度
取水量 3,525 3,220 3,982 3,415 3,168
うち水道水 490 493 666 533 528
うち地表水 135 142 120 121 111
うち地下水 2,889 2,573 3,183 2,746 2,514
うちその他 11 12 13 14 15

排水量内訳(単位:千㎥)

※左右にスクロールできます

2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度
排水量 2,906 2,923 2,591 2,610 2,455
うち河川 2,356 2,369 1,969 2,092 1,944
うち下水道 550 554 622 518 492

CDP水セキュリティレポート

CDPは、世界の機関投資家の要請を受け、企業の「環境リスクに関する取り組み」(気候変動、水セキュリティ、森林)を評価し、情報開示する国際的NGOです。エーザイグループは、2021年より、「CDP水セキュリティレポート」に回答しています。2025年に回答した「CDP水セキュリティレポート」では、気候変動、水セキュリティともに、8段階評価(「A」、「A-」~「D」、[D-])のうち最高評価である「A」評価(リーダーシップレベル)を獲得しました。