結核に対する革新的な創薬をめざすパートナーシップに参画

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、このたび、結核に対する革新的な創薬をめざす「Tuberculosis Drug Accelerator」(以下TBDA)パートナーシップに参画したことを、お知らせします。

TBDAは、ビル&メリンダゲイツ財団の支援を得て、グローバル製薬企業7社1および6つの研究機関2によって2012年6月に共同設立されたパートナーシップであり、研究開発の早期段階で連携し、結核に対する化合物の探索を行います。本パートナーシップの長期的な目標として、既存の6カ月間の治療法に対して、1カ月間の服用で結核が完治しうる新しい併用療法の開発をめざしています。

本パートナーシップのもと、参画している各製薬会社は自社化合物ライブラリーの一部を他の参画メンバーに公開し、データなどを共有します。当社としても、今後、結核に対する化合物スクリーニングに向けて関係する化合物ライブラリーの一部を提供し、候補化合物を見出した場合にはその化合物を他のパートナーと共有することで、結核に対する新しい治療法の創出に協力していきます。

結核は細菌(結核菌)によって引き起こされ、肺やその他の器官を冒す伝染病です。治療と予防が可能な疾患であるにも関わらず、結核は、感染症として世界で2番目に死亡者数が多い疾患となっており、2011年には140万人が結核によって命を落としています。死亡者数が多い理由の一つとして、結核の第1選択薬が古い薬剤であり、十分な治療効果が得られるものでないことが挙げられます。現在利用されている治療薬は半世紀以上前に開発されたものであり、結核の治療には少なくとも6カ月間を要します。治療期間が長いために、完治する前に治療をやめてしまう患者様も多く、さらなる感染の拡大や薬剤耐性を招き、最終的に死亡につながることもあります。1カ月間の服用で病気が完治しうる新しい併用療法を開発することによって、TBDAは治療期間の短縮および治療中断率の減少をめざします。

当社は、開発途上国および新興国の人々の健康福祉の向上に貢献し、これらの国々の経済発展や中間所得層の拡大に寄与することは、将来の市場形成等に向けた長期投資と位置づけています。当社は、グローバルヘルスにおける課題に積極的に取り組み、世界の患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献してまいります。

  • 1
    AbbVie, AstraZeneca, Bayer, Eli Lilly, GlaxoSmithKline, Merck, Sanofi
  • 2
    Infectious Disease Research Institute, National Institute of Allergy and Infectious Diseases, Rutgers University, Texas A&M University, University of Dundee, Weill Cornell Medical College

以上

[参考資料として、当社の医薬品アクセスへの取り組みについて添付しています]

<参考資料>

1. 当社の医薬品アクセスへの取り組みについて

世界には一日2米ドル以下で生活する人が約24億人いると推定され*1、これらの人々の多くは有効な治療法があるにもかかわらず、必要な治療を受けたり、薬剤を入手したりできない状況にあります。こうした医薬品アクセス問題は、各国の政府、WHOなどの国際機関、NGO、製薬企業などが連携し、解決すべき国際的な課題となっています。

当社は、ヒューマン・ヘルスケア理念に基づき、各国政府や国際機関、民間企業や非営利団体(NPO)などとの協力のもと、世界における医薬品アクセス改善に向けて中長期的視点に立った取り組みを展開しています。その一環として、WHOが取り組むリンパ系フィラリア症制圧に向けて、治療薬ジエチルカルバマジン(DEC)を2013年から7年間にわたってWHOに無償提供していきます。また、シャーガス病に対する新薬開発に貢献すべく、国際的非営利団体であるDrugs for Neglected Diseases initiative (DNDi)との「E1224(ラブコナゾールのプロドラッグ)」の共同開発プログラムを推進しています。その他にも、ブラジルの国立研究機関オズワルドクルス財団および国際的な非営利団体のセービンワクチン研究所ともパートナーシップを組み、リーシュマニアなどの顧みられない熱帯病やマラリアの新薬開発を進めています。

詳細は、当社サイトの「医薬品アクセス」(www.eisai.co.jp/company/atm/index.html別ウィンドウで開きます)をご覧ください。