アボット ジャパン株式会社、エーザイ株式会社ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ®」(一般名:アダリムマブ)関節リウマチにおける関節の構造的損傷の防止に関する効能・効果の承認取得

アボット ジャパン株式会社
エーザイ株式会社

アボット ジャパン株式会社(本社:東京都、社長:ゲリー・エム・ワイナー)とエーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、国内で共同開発を進めてきたヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ®皮下注40mgシリンジ0.8mL」(一般名:アダリムマブ<遺伝子組換え>、以下「ヒュミラ®」)について、このたび、関節リウマチにおける関節の構造的損傷の防止に関する効能・効果の追加承認を取得しました。

また、原則として「ヒュミラ®」の使用は既存治療で効果不十分な場合に限定されますが、今回、抗リウマチ薬の治療歴がない場合でも、関節の構造的損傷の進展が早いと予想される患者様には投与が可能になりました。そのような患者様に対して、「ヒュミラ®」は日本で初めてかつ唯一投与が可能な生物学的製剤となり、関節リウマチ患者様の治療に貢献することになります。

今回の承認は、関節リウマチ治療の第一選択薬であるメトトレキサート(MTX)の使用経験のない関節リウマチ患者様を対象に MTXとヒュミラ併用療法(ヒュミラ投与群)と MTX単剤療法(MTX群)を比較検討した HOPEFUL 1試験の良好な結果に基づくものです。この試験でヒュミラ投与群は、主要評価項目である modified Total Sharp Score(関節破壊の指標)において、MTX群に比べ有意に高い関節破壊進展防止効果を示しました。

慶應義塾大学医学部リウマチ内科 教授の竹内勤先生は「関節リウマチにおける治療目標は、症状のコントロール、関節破壊などの構造的変化の抑制、身体機能の正常化・社会活動への参加、と3つの要素を通じて、患者さんの長期的QOLを最大限まで改善することにあります。その中でも、関節や骨の損傷を起こさせないことは、非常に重要な要素のひとつで、治療方針の決定にも大きく関与してきます。今回、ヒュミラが『関節破壊の構造的損傷の防止』の適応を取得できたことは、治療目標の一つの重要な要素を達成できるということが証明されたという点から非常に重要な意味を持ちます。そして、欧米では、すでに使用されている、『抗リウマチ薬の治療歴がない場合でも、関節の構造的損傷の進展が早いと予想される患者さんに対して、ガイドラインを参照した上で、ヒュミラが投与可能』となったことは、本邦では初めての治療オプションとなり、関節破壊の進行の早い早期リウマチ患者さんにとっては重要な意味を持つ朗報です。今後、ヒュミラが、関節リウマチ治療の目標達成に向けて、これまで以上に大きく寄与することを期待しています。」と述べています。

「ヒュミラ®」は幅広い適応症において豊富な臨床データを有しており、現在、世界で60万人以上の患者様に投与されています。日本において「ヒュミラ®」は、アボット ジャパンが製造販売承認を取得し、アボット ジャパンとエーザイによる1ブランド1チャネル2プロモーション方式で共同プロモーションを行っており、販売はエーザイが担当しています。

両社は、今後も「ヒュミラ®」の適正使用の推進、情報提供に努め、患者様のQOL向上に貢献してまいります。

以上

[参考資料として、効能・効果の追加・変更部分、用語解説、HOPEFUL 1試験、ヒュミラ®、
エーザイおよびアボット社の取組みについて添付しています]

本件に関する問い合わせ先

<参考資料>

1. 関節リウマチに係る「効能・効果」、「効能・効果に関連する使用上の注意」における追加・変更部分(下線部)

【効能・効果】

関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)

【効能・効果に関連する使用上の注意】

関節リウマチ

(1)本剤の適用は、原則として既存治療で効果不十分な関節リウマチ患者に限定すること、ただし、関節の構造的損傷の進展が早いと予想される患者に対しては、抗リウマチ薬による治療歴がない場合でも使用できるが、最新のガイドライン等を参照した上で、患者の状態を評価し、本剤の使用の必要性を慎重に判断すること

2. 用語解説

  • 1)
    TNFα
    TNF(腫瘍壊死因子:Tumor Necrosis Factor)とは、腫瘍細胞に対する傷害活性を有する因子として発見された細胞間相互作用を媒介するタンパク質(サイトカイン)の一つです。TNFαは、マクロファージ、リンパ球、血管内皮細胞など種々の細胞によって産生され、炎症反応を惹き起こしたり、増強したり、炎症細胞を活性化したりします。
  • 2)
    モノクローナル抗体
    単一株(モノクローン)の抗体産生細胞から得られた抗体で、抗原に対する結合親和性や特異性が均一の抗体です。
  • 3)
    modified Total Sharp Score
    modified Total Sharp Scoreは手足のX線画像をスコア化したもので、関節リウマチ患者様の関節破壊の進行を評価する指標のひとつであり、変化が小さいほど関節破壊の進行が遅いことを示し、臨床試験において広く使われています。

3. HOPEFUL 1試験について

本試験は、関節リウマチ治療の第一選択薬であるメトトレキサート(以下「MTX」)の使用経験のない関節リウマチ(発症2年以下)患者様334名を対象とした試験で、MTXを基礎治療薬として使用した上で、ヒュミラ投与群(以下、「ヒュミラ+MTX群」)とプラセボ投与群(以下、「MTX群」)の比較を行いました。第26週の評価では、ヒュミラ+ MTX群は、主要評価項目である modified Total Sharp Score(関節破壊の指標)において、MTX群に比して統計学的に有意に高い関節破壊の進展防止効果を示しました。また、臨床症状の改善効果、身体機能の改善効果のいずれにおいても有意に優れているとの結果が得られるとともに、本試験における有害事象の発生状況は、ヒュミラに関する他の臨床試験と同様であり、良好な忍容性が認められました。本試験結果は2011年9月17日に第39回日本臨床免疫学会総会において発表されました。

4. 「ヒュミラ®」(海外製品名:HUMIRA®)について

「ヒュミラ®」は、日本において関節リウマチ(2008年4月承認)、尋常性乾癬および関節症性乾癬(2010年1月同)、クローン病(2010年10月同)、強直性脊椎炎(2010年10月同)、若年性特発性関節炎(2011年7月同)の6種の承認を取得しており、今回承認取得した関節リウマチの関節の構造的損傷の防止に加え、潰瘍性大腸炎の承認申請を行っています(2012年3月)。

5. アボットの免疫分野への取り組み

アボットは、免疫疾患に対する新規治療薬の創薬と開発に力を注いでおります。1989年に創設したアボット生物科学研究所(米国マサチューセッツ州ウースター)では、自己免疫疾患の新規治療法の開発に向け、世界最高レベルの創薬活動と基礎研究を行っています。「ヒュミラ®」(海外製品名:HUMIRA®)に関する詳細や処方情報については、http://www.e-humira.jp/もしくはwww.HUMIRA.comをご覧ください。

6. エーザイの抗体医薬への取り組み

エーザイは、従来からの強みである低分子化合物に加えて、バイオロジクス(生物学的製剤)分野へ積極的に取り組んでいます。カン創薬ユニットでは、神戸のカン研究所と筑波研究所が連携して、セロミクスを強みとした新規創薬ターゲットの発見と、それを標的とした抗体医薬の創出に取り組んでいます。また、2007年4月に買収したモルフォテック社では、独自の技術である「Human Morphodoma®」、「Libradoma™」を活用することにより、がん・関節リウマチ・感染症などに対する抗体医薬の創出に取り組んでいます。さらに、スウェーデンのバイオアークテック・ニューロサイエンス社との提携によるアルツハイマー病に対する抗体医薬の開発や、日本でアボット ジャパンとヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ®」の開発・販売を進めるなど、抗体医薬を通して患者様とご家族の皆様のQOL向上に貢献することを目指しています。

7. アボット社について

アボット社は、広範囲のヘルスケアに基盤を置く世界的規模の会社であり、グループ総従業員数約91,000人を擁し、世界130カ国以上で営業活動を行っています。その事業内容は医療用医薬品、栄養剤、医療機器、診断薬、診断機器の分野における研究・開発、製造、マーケティングそして販売と多岐にわたっています。日本国内では、従業員約2,800人がこれらのビジネスに関する販売とマーケティングに従事しており、東京、福井、千葉に拠点を置いています。アボット ジャパンのプレスリリースは、www.abbott.co.jp、アボット本社のプレスリリースは、www.abbott.comをご参照ください。