FDAが「DACOGEN®」の急性骨髄性白血病の適応追加申請を受理

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、DNAメチル化阻害剤「DACOGEN® (decitabine)」注射剤の急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia:AML)を適応とする適応追加申請(supplemental New Drug Application : sNDA)が米国食品医薬品局(FDA)に受理された、と発表しました。急性骨髄性白血病は生命を脅かす危険性がある血液がんで、治療選択肢は非常に限られています。

FDAによる適応追加申請の正式な受理は、当社から提出された申請書類が十分であり、FDAによりレビューが開始されることを意味しています。なお、当社からFDAへの適応追加申請は2011年5月6日に提出されました。

今回の適応追加申請は、新たに原発性および二次性急性骨髄性白血病と診断された65歳以上の患者様で、細胞遺伝的に中間リスクおよび予後不良と判定された方を対象に、「DACOGEN®」と医師助言による患者様選択療法(支持療法もしくは低用量cytarabine) を比較対照した多施設、無作為化、非盲検第Ⅲ相臨床試験(DACO-016)に基づいています。

「DACOGEN®」は米国において、骨髄異形成症候群(Myelodysplastic syndromes : MDS)の適応で、2006年から販売されています。当社は、今回の適応追加が承認されることにより、更なる患者様とそのご家族のベネフィット向上に努めてまいります。

以上

[参考資料として、急性骨髄性白血病、「DACOGEN®」、DACO-016試験について添付しています]

<参考資料>

1. 急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia:AML)について

急性骨髄性白血病(AML)では、造血幹細胞からの分化が停止し、骨髄芽球と呼ばれる未発達の白血病細胞が増加します。増殖した白血病細胞は骨髄を占拠し、正常な造血細胞が骨髄から追い出されて、正常な血球が作れない状態になり、赤血球、白血球、血小板が減少して、出血、感染症、貧血などの諸症状を引き起こします。さらに、末梢血にあふれ出た白血病細胞が各臓器に浸潤して、各臓器の組織を破壊することから、生命を脅かす危険性がある疾患です。

2. 「DACOGEN®」について

「DACOGEN®」 は、前治療歴の有無を問わず、FAB(French-American-British)分類(不応性貧血、鉄芽球性不応性貧血、芽球増加型不応性貧血、移行期の芽球増加型不応性貧血、および慢性骨髄単球性白血病)のいずれかに分類され、国際予後判定システム(International Prognostic Scoring System :IPSS)による重症度分類が中間リスク1群、中間リスク2群、 ハイリスク群の原発性および二次性骨髄異形成症候群(MDS)の適応で、米国で承認を取得しています。

3. DACO-016試験について

DACO-016試験は、新たに原発性および二次性急性骨髄性白血病(AML)と診断された65歳以上の患者様で細胞遺伝的に中間リスクおよび予後不良と判定された方を対象に、「DACOGEN®」と医師助言による患者様選択療法(支持療法もしくは低用量cytarabine) を比較対照した多施設、無作為化、非盲検第Ⅲ相臨床試験です。試験参加患者様485名のうち、242名が「DACOGEN®」投与群に、243名が患者様選択療法(支持療法もしくは低用量cytarabine)投与群に割りつけられ、前者に対しては4週間を1クールとし、各クールで「DACOGEN®」として20mg/m2を1日1回1時間かけて行う静脈内注射投与を5日間連続で行いました。投与は患者様にベネフィットが見られる限り繰り返されました。cytarabine投与群に対しては、20mg/m2を1日1回10日間連続皮下注射投与、4週間を1クールとし繰り返されました。投与期間中央値は、「DACOGEN®」投与群が4.4カ月、cytarabine投与群が2.4カ月でした。