てんかん治療剤「ペランパネル(E2007)」の新薬承認申請を米国・欧州で提出へ2011年度第1四半期中に申請予定

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、このたび、「ペランパネル」(一般名、E2007)に関して、3つの第Ⅲ相臨床試験の結果に基づき、米国、欧州において新薬承認申請を提出する、と発表しました。本剤は、当社によって創製された世界初の高選択的、非競合AMPA型グルタミン酸受容体拮抗剤で、てんかん患者様の部分発作の併用療法を適応として開発されました。

「ペランパネル」の臨床開発計画は、1,490人のてんかん患者様が参加された3つのグローバル第Ⅲ相臨床試験(304、 305、 306試験)にもとづいています。304、305、306試験ともに、グローバル、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、投与量漸増、併行群間比較試験であり、主要、副次評価項目は、平均発作頻度、ならびに反応率、複雑部分発作・二次性全般発作の減少率、そして用量反応となります。

306試験の目的は最小有効量の決定であり、 4投与群 (プラセボ、 2 mg、4 mg、8 mg) からなります。 304、305試験は3投与群 (プラセボ、 8 mg、12 mg)で構成され、投与量範囲を決定することも目的となっています。これら3つの試験すべてで、難治性部分発作てんかん患者様の併用療法における有効性、忍容性の双方で矛盾のない一貫した結果が得られました。これらの結果にもとづき、当社は、2011年度第1四半期中に「ペランパネル」の申請を米国、欧州で同時に行う予定です。

当社は、脳神経領域を重点領域と位置づけており、「ペランパネル」は「アリセプト®」に次ぐ当領域のグローバル基幹製品になることが期待されます。てんかん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、引き続き貢献してまいります。

以上

[参考資料として、てんかん、ペランパネル(E2007)について添付しています]

<参考資料>

1. てんかんについて

てんかんは、様々な精神機能・身体機能に影響を及ぼす発作が生じる疾患です。ある患者様に2つ以上の非誘発性発作が生じると、てんかんとされています。発作は、一時的に過剰な電気的興奮が起こることによって、生じるものです。てんかん発作には、けいれんや意識消失、そして発作として認識されにくいblank staring (ぼうっと一点を見詰める)、唇鳴らし、手足の痙動など、様々な症状が伴います。

また、てんかんは年齢を問わずに発症し、一生のある時期に0.5~2%の人がてんかんを発症すると言われています。てんかんの患者様数は、米国が300万人、欧州が240万人、世界中で4000~5000万人となっています。昨年1年米国では、約20万人の患者様が新たにてんかんと診断されました。

2. ペランパネル(E2007)について

「ペランパネル」は、当社が創製した部分てんかんに対して開発中の新規化合物です。本剤は、第Ⅱ相・第Ⅲ相臨床試験において、幅広い発作抑制効果を示し、グルタミン酸受容体のサブタイプであるAMPA(α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-4-イソキサゾールプロピオン酸)型受容体に対して高選択非競合的に拮抗する治療薬です。AMPA受容体は、主に興奮性神経に存在する受容体であり、興奮性神経伝達物質であるグルタミンに刺激されるシグナルを脳内に伝達し、てんかん、神経変性疾患、運動障害、疼痛症、精神障害等、過剰な興奮性神経活動を特徴とする中枢神経系疾患に役割を果すと考えられています。本剤が承認されれば、ファースト・イン・クラスの治療薬となります。

ペランパネルの構造