不眠症治療剤SEP-190は日本における臨床試験で有効性および安全性を確認2010年度中に新薬承認申請を予定

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、SEP-190(一般名:エスゾピクロン)について、不眠症を対象とした日本での臨床試験において、良好な有効性および安全性が確認された、と発表しました。

当社は、これらの試験結果に基づき、日本において、2010年度中に新薬承認申請を予定します。

日本において、SEP-190の原発性不眠症を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(126試験)と、不眠症を対象とした第Ⅲ相臨床試験(150試験)が実施されました。

126試験では、成人の原発性不眠症患者様72名を対象とし、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)と自覚的な評価により、SEP-190の有効性を評価しました。その結果、SEP-190は、主要評価項目としたPSGによる睡眠潜時(LPS)および自覚的な評価による睡眠潜時(SL)を、プラセボと比較して統計学的に有意に短縮しました。

150試験では、成人および高齢者の様々な背景による慢性不眠症患者様325名を対象とし、SEP-190の長期投与での安全性を評価しました。その結果、良好な安全性プロファイルが確認されました。

SEP-190は、大日本住友製薬株式会社(本社:大阪市、社長:多田正世)の米国子会社であるセプラコール社が創製した非ベンゾジアゼピン系に属するGABA-A受容体作動薬(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)です。米国では、セプラコール社が米国食品医薬品局(FDA)の承認を2004年12月に取得しており、2005年4月より製品名「LUNESTA®」として販売しています。本剤は、一過性不眠や慢性不眠に対して有効で、長期連用による耐性を示さないとされています。

日本においては、セプラコール社と2007年7月に締結したラインセンス契約に基づき、当社が開発および販売の独占的な権利を獲得しました。

日本では国民の約4~5人に一人が睡眠障害で悩んでいると推定されており、今後ますます増加することが予想されます。当社はSEP-190の日本における早期承認取得に取り組み、神経領域の製品ラインアップを一層拡大することにより、不眠症で悩まれている患者様のベネフィット向上に貢献してまいります。

以上

[参考資料としてSEP-190、126試験、150試験の概要を添付しています]

<参考資料>

1. SEP-190について

一般名 : エスゾピクロン

SEP-190はセプラコール社が創製した非ベンゾジアゼピン系に属するGABA-A受容体作動薬(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)です。睡眠の誘発は、脳内の覚醒系(興奮性)の神経伝達が抑制されることが一因と考えられおり、GABA(γーアミノ酪酸)は、この抑制性の神経伝達を担う神経性アミノ酸です。GABA-A受容体作動薬は、GABA受容体のイオンチャネル型であるGABA-A受容体に結合することにより、GABAの効果を増強し、睡眠を誘発すると考えられています。本剤は、これまでに実施された外国の臨床試験で、一過性不眠や慢性不眠に対して有効で、長期連用による耐性(有効性の減弱)を示さないことが確認されています。

2. 126試験について

試験デザイン : 多施設共同、無作為化、プラセボ対照、5期クロスオーバー、二重盲検比較試験
対象 : 原発性不眠症と診断された慢性不眠症(21歳以上65歳未満)
主目的 : SEP-190の用量反応性の検討およびプラセボに対する優越性の検証
投与群 : SEP-190 1mg、 2mg、 3mg、 プラセボ、 ゾルピデム10mg
投与期間 : 2夜連続投与とwash out期間(4-6日)を5期繰り返すクロスオーバー
主要評価項目: 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)による睡眠潜時(LPS)および自覚的な評価による睡眠潜時(SL)

  • 終夜睡眠ポリグラフ検査=睡眠中に起こる生態活動を、脳波、眼球運動、おとがい筋筋電図の測定を基本として、終夜にわたり同時系列に記録する方法
  • 睡眠潜時=就床から入眠までの時間

3. 150試験について

試験デザイン : 多施設共同、無作為化、並行群間、二重盲検比較試験
対象 : 慢性不眠症(20歳以上85歳未満)
主目的 : 長期投与時の安全性評価
投与群 : (非高齢者)SEP-190 2mg、 3mg、 (高齢者)SEP-190 1mg、 2mg
投与期間 : 1日1回 24週投与
主要評価項目: 有害事象