lorcaserinの有意な体重減少および減少後の体重維持改善を示した2年間のBLOOM試験結果 New England Journal of Medicine誌に掲載される

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)の米国子会社であるエーザイ・インクと、アリーナ・ファーマシューティカルズ・インクは、両社の提携品である肥満症治療剤 lorcaserin に関して2年間にわたり実施されたBLOOM試験(Behavioral modification and Lorcaserin for Overweight and Obesity Management)の結果が、New England Journal of Medicine 2010年7月15日号に掲載されることを発表しました。本論文では、lorcaserinが、プラセボに比べて統計学的に有意な体重減少および体重減少後の維持を示すとともに、脂質、インスリン抵抗性、炎症マーカーのレベル、血圧等の循環器系疾患発生を予測するバイオマーカー値を改善したと紹介されています。

本論文で報告されたBLOOM試験は肥満症・過体重の患者様3,182名を対象とした、二重盲検、無作為化、プラセボ対照比較試験で、試験1年目では、5%以上の体重減少を達成したlorcaserin投与群の割合(47.5%)はプラセボ投与群(20.3%)の2倍以上、また、10%以上の体重減少を達成したlorcaserin投与群(22.6%)はプラセボ投与群(7.7%)の約3倍でした。試験を完了したlorcaserin投与群は、投与開始時に比べて、体重が8.2%(約8.2kg)減少、プラセボ投与群の体重は3.2%(約 3.2kg)減少しました。試験2年目ではlorcaserin投与を継続した患者様は、プラセボ投与群へシフトした患者様に比べ、より有意に体重減少を維持する結果となりました。また、lorcaserin投与群はプラセボ投与群に比べて、胴囲、BMI、血糖値パラメーター、C反応性蛋白、フィブリノーゲン濃度の有意な減少を示し、総コレステロール値、LDLコレステロール値、トリグリセライド値についても、有意に低値を示しました。また、lorcaserin投与群では心拍数又は血圧の増加は観察されず、心拍数、収縮期血圧、拡張期血圧の軽度の低下が観察されました。

lorcaserin投与群で最も多く報告された有害事象は頭痛(lorcaserin:プラセボ、18.0%:11.0%)、めまい(同、8.2%:3.8%)、吐き気(同、7.5%:5.4%)でした。重篤な有害事象の発生頻度は両投与群においてほぼ同等、また、うつ病発生率、不安神経症及び自殺願望の発生率は、両投与群においては低値で、心臓弁膜症の新たな発生に関しては両群とも有意差はないと記載されています。

ヒューマン・ヘルスケア (hhc) 理念の一環として、当社はアンメット・メディカル・ニーズの充足に取り組み、患者様とそのご家族のベネフィット向上につとめております。本剤を通して、当社は肥満症治療に対する新しい選択肢を提供するとともに、同疾患の内科的治療分野において、より一層の貢献をめざしてまいります。

以上

[参考資料として試験概要を添付しています]

<参考資料>

1. BLOOM (Behavioral modification and Lorcaserin for Overweight and Obesity Management)試験について

BLOOM試験は、lorcaserinについて行われた3つの第Ⅲ相試験のうち最初に実施されたもので、米国において98カ所の施設で実施され、3,182名の患者様を対象とした二重盲検、無作為化、プラセボ対照比較試験で行われました。2年間にわたり、合併症を有する肥満症患者様・合併症を有しない肥満症患者様および、高血圧、循環器系疾患、耐糖能障害等少なくとも1つの合併症を有する過体重患者様において、プラセボと比較し、1日2回投与のlorcaserin 10mgが検討されました。すべての患者様は食事療法、運動療法のカウンセリングを受け、本試験では用量増減や導入期間も設けられませんでした。試験参加の患者様は、1対1の割合でlorcaserin投与群およびプラセボ投与群に無作為化されました。投与開始52週目で856名のlorcaserin投与の患者様は2対1の割合で、lorcaserin投与の継続又はプラセボ投与へのシフト、いずれかに無作為化され、プラセボ投与群のうち、697名の患者様がプラセボ投与を継続しました。患者様はスクリーニング時点、投与開始から6、12、18、24ケ月の時点で、心エコー検査を受け、心臓弁膜症の既往歴のあった患者様は、本試験の対象から除外されました。