新規抗がん剤エリブリン (E7389) 米国で優先審査品目に指定

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、米国食品医薬品局(以下「FDA」)が、当社創製の新規抗がん剤 エリブリン (E7389) に関して、局所再発性・転移性乳がんの適応で米国子会社エーザイ・インクが提出した新薬承認申請を、2010年5月28日(米国東部時間)に受理し、あわせて優先審査品目に指定した、と発表しました。

FDAの優先審査は、ある疾患の治療及び予防、診断において、『満足のいく他の治療法が存在しない疾患に対し、安全かつ有効な治療法を提供できる資質を有するもの』、または『既存の製品に比べ、有意な臨床上の有用性を有するもの』、いずれかの条件を満たす可能性のある薬剤に対して指定されるものです。これにより、本剤に関するFDAのアクション・デートは2010年9月30日となります。

本剤は、2010年3月30日、日本、米国、欧州の各当局に対して、それぞれ同時に、承認申請を行いました。日本は即日受理され、欧州でも、2010年5月25日に欧州医薬品庁(EMA)が新薬承認申請を受理しています。また、すでにスイスとシンガポールの各当局に対しても承認申請を行っています。

今回の申請に用いた主なデータは、グローバルで実施した第Ⅲ相試験(EMBRACE試験:Eisai Metastatic Breast Cancer Study Assessing Physician's Choice Versus E7389)によるものです。

本試験は、少なくとも2種のがん化学療法(アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む)による既治療歴のある、局所再発性・転移性乳がんの患者様762名を対象とした、多施設、無作為化、非盲検、並行2群間比較試験です。本試験では、患者様をエリブリン投与群と治験医師選択療法施行群の2群に分け、前者に対しては、21日間を1クールとし、各クールの第1日目と第8日目に、エリブリンをそれぞれ2分から5分間かけて静脈内に投与しました。治験医師選択療法は、がん治療の適応を持つ単剤化学療法、ホルモン療法、生物学的薬剤療法、もしくは緩和療法、放射線療法と定義しました。

本試験において、エリブリン投与群は、治験医師選択療法施行群に比べ、主要評価項目である全生存期間(overall survival)を統計学的に有意に延長しました。本試験のエリブリン投与群において高頻度に認められた有害事象は、無力症、好中球減少症、脱毛症、悪心、末梢神経障害等でした。そのうち、多くの患者様のQOLを低下させると言われる末梢神経障害については、グレード3もしくは4の有害事象の発生頻度は10%未満であり、良好な忍容性プロファイルが示唆されています。

当社は、がん領域を最重点領域と位置付け、新規抗がん剤、および支持療法となりうる治療剤の開発に注力しています。これらの取り組みにより、がん患者様とそのご家族ならびに、医療従事専門家の多様なニーズの充足により一層貢献してまいります。

以上