骨髄異形成症候群患者様を対象としたDacogen®とサポーティブケアの比較によるEORTCフェーズⅢ試験における有効性の予備解析結果を公表5日間投与法での適応追加、2008年度中の申請目指す

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)の米州統括会社であるエーザイ・コーポレーション・オブ・ノース・アメリカ(本社:ニュージャージー州、会長:清水初)は、本日(米国東部時間)、高齢者の骨髄異形成症候群(MDS)患者様を対象として2002年に開始された、Dacogen®(一般名:decitabine)とベストサポーティブケア(支持療法:BSC)とを比較した欧州がん研究・治療機構(EORTC)により実施された試験における有効性の予備解析結果を公表しました。本データでは、Dacogen 投与群の生存期間中央値に、統計学的な有意差は認められませんでした。しかしながら、奏功率については、MDS 患者様を対象とした他の Dacogen 臨床試験と同様の結果が得られています。EORTCが実施した今回の試験は、3日間連日投与スケジュールで行われ、治療サイクル数には上限が設けられました。MDSは、正常な血液細胞の産生が抑制される疾患であり、罹患すれば生命が脅かされる可能性がある骨髄疾患の一種です。

二次評価項目や安全性データを含む今回の試験の最終結果は、データベースの固定およびデータの解析終了後、EORTC により学会にて公表される予定です。

現在の開発状況

エーザイは、今年度末までに米国食品医薬品局(FDA)にDacogen の5日間投与法での適応追加申請を行うことにしています。この申請には、Dacogen の5日間連日投与にて実施された、北米での多施設、オープンラベル、単一群、フェーズⅡ試験(Daco -020)で得られたデータを使用することになります。本試験では、治療サイクル数に上限を設けず、患者様において臨床上の有用性が認められる限り、あるいは病勢の進行が認められるまで、4週間毎に繰り返し投与されました。本フェーズⅡ試験の解析結果における Dacogen 投与群の生存期間中央値は19.4カ月、1年生存率は66%でした。Dacogen の外来患者様への投与における完全寛解率(国際ワーキンググループ2006年基準)は32%となり、これまでに報告された外来患者様における寛解率のデータと同様の結果でした。安全性プロファイルも従来報告されていたものと同様のものでした。

エーザイは、全てのMDS患者様にとってDacogen の有用性がもっとも効果的になるよう、臨床開発プログラムを進めています。最近の脱メチル化剤の試験結果から、薬剤の投与により患者様において臨床上の有用性が認められる限り、あるいは病勢の進行が認められるまでは、治療を継続すべきであることが示唆されています。現在、エーザイは、MDS およびその関連疾患に対する最適な治療の理解を深めるために、高齢の急性骨髄性白血病(AML)患者様を対象としたフェーズⅢ延命試験を含め、Dacogen の単剤あるいは他治療との併用による30以上の臨床試験を実施しています。

試験デザイン

EORTC-06011試験:本試験は、オープンラベル、無作為割付、多施設、比較対照のフェーズⅢ試験で、Dacogen とBSC の併用群と BSC 単独群での全生存期間を評価したものです。本試験には、主にハイリスク群および中間リスク群2型の60歳以上の高齢者 MDS 患者様233名が参加しました。

本試験は、増殖因子療法、免疫抑制剤やヒドロキシ尿素などによる治療歴の有無を問わず、原発性および二次性MDS両方の患者様を対象としました。試験参加には、骨髄芽球の数が11~30%であることを条件としました。骨髄芽球数が10%未満の患者様は、細胞遺伝学的に予後不良である場合に限り参加が認められました。

Daco-020試験:本試験は、99名の原発性および二次性MDS患者様を対象とした、多施設、オープンラベル、単一群、フェーズⅡ試験です。本試験ではDacogen を5日間連日投与し、これを4週間毎に繰り返しました。

本試験では、FAB分類のいずれかに分類され、国際予後判定システム(IPSS)による重症度分類が0.5以上である、18歳以上の原発性あるいは二次性 MDS 患者様が対象となりました。試験参加には、ベースラインで細胞遺伝子学的検査での異常が確認され、ベースライン後に少なくとも1回の適切な細胞遺伝子学的評価ができることを条件としました。

以上

[参考資料としてMDS及び製品についての説明を添付しております]

<参考資料>

1.MDSとは

骨髄異形成症候群(MDS)は、機能不全または未熟な血液細胞の産生を特徴とする骨髄疾患です。MDS患者様には、貧血、出血、感染、倦怠感、衰弱など様々な症状や合併症が出現します。こうしたハイリスク患者様は、出血や感染で死に至ることもある骨髄不全を発症することがあります。時間の経過とともに、MDSは急性骨髄性白血病(AML)へと移行する場合があります。再生不良性貧血・MDS国際財団による推定では、現在、米国で1年間に新たにMDSと診断される患者様は年間3万人程度とされています。

2.Dacogen®について

Dacogen® 注は、2006年5月2日米国食品医薬品局(FDA)に承認されており、以前の治療歴の有無にかかわらず、FAB分類(不応性貧血、鉄芽球性不応性貧血、芽球増加型不応性貧血、移行期の芽球増加型不応性貧血、および慢性骨髄単球性白血病)のいずれかに分類され、国際予後判定システム(IPSS)による重症度分類が中間リスク1群、中間リスク2群、 ハイリスク群の原発性、二次性MDS患者様全ての治療へ適応となります。