ヒト抗ヒトTNF α モノクローナル抗体「アダリムマブ」 日本での新適応に関するライセンス契約を締結

エーザイ株式会社
アボット ジャパン株式会社

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役社長兼CEO:内藤晴夫)とアボット ジャパン株式会社(医薬品事業部本社:大阪府、代表取締役社長:グレン・エス・ワーナー)およびアボット バイオテクノロジー リミテッド(ディレクター・アンド・プレジデント:トーマス・シー・フレイマン)は、このたび、日本で共同開発・販売に関する基本契約を締結しているヒト抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「アダリムマブ」(一般名)について、新たな適応となる強直性脊椎炎、若年性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎に関して共同開発するライセンス契約を締結しました。

エーザイとアボット ジャパンは、現在承認申請中である関節リウマチ、乾癬およびフェーズⅡ/Ⅲ試験が進行中であるクローン病に続き、上記3疾患についても、今後日本で共同開発を行ないます。

本剤は、日本において「ヒュミラ®」の製品名で、1ブランド1チャネル2プロモーション方式での両社による共同プロモーションを行う予定です。また、本剤の日本における製造販売承認はアボット ジャパンが取得し、販売はエーザイが担当します。

本剤は、関節リウマチなどの自己免疫疾患領域において唯一のヒトモノクローナル抗体であり、自己免疫疾患の炎症反応に関わる中心的なタンパク質であるTNF(腫瘍壊死因子:Tumor Necrosis Factor)を中和することにより効果を発揮します。現在、世界73カ国で承認され、25万人以上の患者様に処方されています。

本剤の欧米での販売はアボットが行っており、台湾・韓国では両社の現地法人が日本と同じスキームでプロモーションしています。

エーザイとアボット ジャパンは、日本における本剤の早期上市を目指し、難治性疾患である関節リウマチ、乾癬、クローン病に加え、強直性脊椎炎、若年性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎など免疫・炎症疾患領域の患者様とそのご家族のQOL(Quality of Life)向上に貢献してまいります。

以上

[参考資料として、用語解説、エーザイの抗体医薬への取り組み、アボットの概要と免疫分野への取り組みについて添付しています]

本件に関する問い合わせ先

  • エーザイ株式会社

    コーポレートコミュニケーション部

    03-3817-5120

  • アボット ジャパン株式会社

    広報部

    06-7221-7356

<参考資料>

1.用語解説

1)TNF

TNF(腫瘍壊死因子:Tumor Necrosis Factor)とは、腫瘍細胞に対する傷害活性を有する因子として発見された細胞間相互作用を媒介する因子(サイトカイン)の一つです。

TNFはマクロファージ、リンパ球、血管内皮細胞など種々の細胞によって産生され、炎症反応を惹き起こしたり、増強したり、炎症細胞を活性化したりします。

2)モノクローナル抗体

単一株(モノクローン)の抗体産生細胞から得られた抗体で、アミノ酸配列等の構造が均一である抗体です。

3)強直性脊椎炎(AS:Ankylosing spondylitis)

脊椎が強直する特徴的な疾患です。原因は不明ですが、特定の遺伝子をもつ人が発症しやすいなどの事実が明らかになりつつあります。広義にはリウマチ反応陰性脊椎関節炎のグループに属します。脊椎、仙腸関節、股関節など靱帯付着部に炎症を生じ、腰背部の疼痛や腰部の運動制限などの症状を呈し、その結果、進行すると脊椎をはじめとする関節の骨性強直に至る疾患です。

4)若年性関節リウマチ(JRA:Juvenile rheumatoid arthritis)

16歳未満で発症する原因不明の慢性関節炎と定義されており、小児期のリウマチ性疾患・膠原病の中では最も発症頻度の高い疾患です。関節炎以外にも発疹、心膜炎、肝脾腫、リンパ節腫脹、ブドウ膜炎などを伴うことがあり、若年性関節リウマチと呼びますが、実際には成人の関節リウマチとは異なる病態を呈することも少なくありません。なお、現在では「若年性特発性関節炎(JIA:Juvenile idiopathic arthritis)」と呼ばれることも多い。

5)潰瘍性大腸炎(UC:Ulcerative colitis)

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。特徴的な症状は下痢(下血を伴う場合が多い)と腹痛です。病変は直腸を中心に最大で直腸から結腸全体に拡がります。原因は不明であり、クローン病とともに炎症性腸疾患 (IBD:Inflammatory bowel disease) に分類されています。

2.エーザイの抗体医薬への取り組み

エーザイは、従来からの強みである低分子化合物に加えて、バイオロジクス(生物学的製剤)分野へ積極的に取り組んでいます。特に、2007年4月に抗体医薬の研究開発を専門とする米国のバイオベンチャー企業であるモルフォテック社を買収し、同社独自の技術である「Human Morphodoma®」「Libradoma™」を活用することにより、がん・関節リウマチ・感染症などに対する抗体医薬の創出に取り組んでいます。また、スウェーデンのバイオアークテック・ニューロサイエンス社との提携によるアルツハイマー病に対する免疫療法の研究や、日本でアボット ジャパンと関節リウマチなど免疫・炎症疾患を対象としたヒト抗ヒトTNFαモノクローナル抗体の開発・販売を進めるなど、抗体医薬を通して患者様とご家族の皆様のQOL向上に貢献することを目指しています。

3.アボットの免疫分野への取り組み

アボットは、免疫疾患に対する新規治療薬の創薬と開発に力を注いでおります。1989年に創設したアボット生物科学研究所(米国マサチューセッツ州ウースター)では、自己免疫疾患の新規治療法の開発に向け、世界最高レベルの創薬活動と基礎研究を行っています。

アダリムマブ(海外製品名:HUMIRA®)に関する詳細や処方情報については、www.HUMIRA.comをご覧ください。またはAbbott Medical Information(米国:1-800-633-9110)までお問い合わせください。

4.アボットについて

米国イリノイ州シカゴに本拠を置くアボットは、広範囲のヘルスケアに基盤を置く世界的規模の会社であり、グループ総従業員数 65,000人を擁し、世界130カ国で営業活動を行っています。

その事業内容は新薬の研究・開発に加え、医療用医薬品、栄養剤、医療用機械器具、医療用計測器、診断薬の分野における研究、開発、製造、マーケティングそして販売、と多岐にわたっています。

日本国内では、従業員数2,100人、医療用医薬品、栄養剤、医療用機械器具、医療用計測器、診断薬の製造および開発、ならびに販売とマーケティングを行っており、東京、大阪、福井、千葉に拠点を置いています。

以上