タイで過活動膀胱治療剤「ベオーバ®錠」を新発売

エーザイ株式会社

杏林製薬株式会社

    

 エーザイ株式会社(本社:東京都文京区、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)および杏林製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長CEO:荻原豊、以下 杏林製薬)は、このたび、エーザイのタイ販売子会社Eisai (Thailand) Marketing Co., Ltd.(以下 エーザイ・タイランド)が過活動膀胱治療剤「ベオーバ®錠」(一般名:ビベグロン、以下 本剤)を現地にて新発売したことをお知らせします。

 本剤について、2021年にエーザイが杏林製薬より東南アジア諸国連合(ASEAN)のタイ、フィリピン、マレーシアおよびブルネイにおける独占開発権および販売権を取得し、タイにおいてはエーザイ・タイランドが2023年3月に販売承認申請を行い、2024年6月に承認を取得しました。本剤の新発売は、エーザイのライセンス地域で初めてとなります。今回新発売のタイに加え、フィリピン、マレーシアでも既に承認を取得しており、上市に向けた準備を進めています。

 

 過活動膀胱(OAB;Overactive Bladder)は、尿意切迫感を必須症状とし、通常は頻尿と夜間頻尿を伴う症状症候群です。患者様によっては切迫性尿失禁を伴うこともあります。トイレに関する不安から外出を控える、睡眠が十分取れないなど、患者様の日常生活に支障をきたし、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を低下させるとされています。OABは加齢とともに増加しますが、脳血管障害(脳出血・脳梗塞)、パーキンソン病などの脳や脊髄の疾患、前立腺肥大症が原因となることも報告されており1、適切な治療が必要です。タイにおけるOABの有病率は15.8%との報告があります2

 本剤は1日1回投与の選択的β3アドレナリン受容体作動薬で、膀胱のβ3受容体に選択的に作用し、膀胱を弛緩させることで、蓄尿機能を高め、OABにおける尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁の症状を改善します。

 

 杏林製薬とエーザイは、杏林製薬が創製したOAB治療剤「ウリトス®錠」(一般名:イミダフェナシン)について、アジアにおける開発・販売に関するライセンス契約を2009年9月に締結し、エーザイがタイ、フィリピン、インドネシア、カンボジア、ベトナム、ラオスおよびミャンマーで販売を行っています。タイにおいては、「ウリトス」に加え、今回の「ベオーバ」の新発売により、過活動膀胱に対する新たな治療選択肢を提供し、アジアの患者様のQOLの向上により一層貢献してまいります。

 

以上

  

   

本件に関する報道関係お問い合わせ先

  • エーザイ株式会社

    PR部

    TEL:03-3817-5120

  • 杏林製薬株式会社

    経営企画部
    広報・IRグループ(菊池・宇井)
    TEL 03-6374-9702

<参考資料>

1. エーザイ株式会社について

 エーザイ株式会社は、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念とし、この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

 また、当社は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧に向けた活動に世界のパートナーと連携して積極的に取り組んでいます。

 

 エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。SNSアカウントXLinkedInFacebookでも情報公開しています。

 

2.杏林製薬株式会社について

 杏林製薬は「キョーリンは生命を慈しむ心を貫き、人々の健康に貢献する社会的使命を遂行します。」という企業理念に基づき、医療ニーズに応える価値の高い新薬を継続的に提供し、人々の健康に幅広く貢献する企業となることを目指しています。

 当社は、創薬面においては特定の創薬研究領域(疼痛・自己免疫疾患など)に注力し、医療ニーズに応える価値の高い新薬の創出に取り組んでいます。また営業面においては呼吸器科、耳鼻科、泌尿器科を中心とする特定領域にリソースを集中するFC(フランチャイズ・カスタマー)戦略を展開しています。

 

 杏林製薬株式会社の詳細情報は、https://www.kyorin-pharm.co.jp/をご覧ください。

 

.ビベグロン(一般名)について

 本剤は、Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)により創製された1日1回経口投与の選択的β3アドレナリン受容体作動性のOAB治療薬です。膀胱のβ3受容体に選択的に作用し、蓄尿期におけるノルアドレナリンによる膀胱弛緩作用増強により膀胱容量を増大させることで、OABにおける尿意切迫感、頻尿および切迫性尿失禁の症状を改善します。杏林製薬は、本剤について、Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A.より日本(2014年7月)ならびにアジア地域(2017年4月)における独占的な開発権、製造権および販売権を取得しました。

 エーザイのライセンス地域(タイ、フィリピン、マレーシア、ブルネイ)については、今回新発売のタイに加え、フィリピン、マレーシアで承認を取得しており、上市に向けた準備を進めています。

 日本においては、杏林製薬はキッセイ薬品工業株式会社と共同開発・共同販売契約を締結(2016年3月)し、両社で開発を進め、2018年11月より「ベオーバ®錠50mg」の製品名で共同販売しています。

韓国、台湾、香港、ASEAN10カ国

  

  

  1. 過活動膀胱診療診療ガイドライン[第3版]
  2.  ICS2024 Abstract 554 https://www.ics.org/2024/abstract/554