自社創製の新規不眠症治療薬「デエビゴ®」、中国において新薬承認を取得

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製のオレキシン受容体拮抗薬「デエビゴ®」(中国製品名:「达卫可®」、一般名:レンボレキサント)について、中国国家薬品監督管理局(NMPA)より「入眠困難、睡眠維持困難のいずれかまたはその両方を伴う成人の不眠症」の適応で新薬承認を取得しましたのでお知らせします。2025年度第2四半期中の発売をめざし準備を進めてまいります。

 

 「デエビゴ」は、脳内で覚醒に関与するオレキシン受容体の2種のサブタイプ(オレキシン1および2受容体)に対し、オレキシンと競合的に結合する拮抗剤です。覚醒を制御しているオレキシン神経伝達に作用し、睡眠覚醒リズムを整えることで、入眠と睡眠維持および覚醒を調整すると考えられています。本剤は、オレキシン1および2受容体双方を阻害しますが、ノンレム睡眠およびレム睡眠の両方の抑制に関与するオレキシン2受容体への親和性がより強く、結合・解離が速いことから、当事者様に速やかな入眠と睡眠維持をもたらすことが期待されます。

 

 当社は、合計約2,000人の不眠症の成人当事者様を対象にグローバルで実施した2つのピボタル臨床第Ⅲ相試験(SUNRISE1試験:NCT02783729およびSUNRISE2試験:NCT02952820)の結果に加えて、中国で実施した臨床第Ⅲ相試験(311試験:NCT04549168)の結果に基づき、承認申請を行い、2024年1月に受理されていました。

 

 不眠症は、睡眠をとる十分な機会があるにもかかわらず、入眠困難、睡眠維持困難のいずれか、またはその両方が、少なくとも1カ月間、週に3回以上続くことが特徴であり、疲労、集中困難、易刺激性を引き起こす可能性があります1,2。中国の成人の不眠症の有病率は15.0%と報告されており3、約1億7250万人の方が不眠症に罹患していると考えられます4

 

 本剤について、日本、米国、カナダ、オーストラリア、アジアなど22の国と地域において、不眠症に係る適応で承認を取得しています。

 

 当社は、「デエビゴ」を世界各国における不眠症の当事者様に新たな治療選択肢としてお届けするための取り組みを継続し、速やかな入眠と良質な睡眠維持によってもたらされる日中の活力ある生活の実現と、当事者様のリワーク/リカバリーに貢献してまいります。

以上

 参考資料 


1.「デエビゴ」(一般名:レンボレキサント)について

 「デエビゴ」は、当社創製の新規低分子化合物で、オレキシン受容体の2種のサブタイプ(オレキシン1および2受容体)に対し、オレキシンと競合的に結合する拮抗剤です。正常な睡眠覚醒リズムにおいて、オレキシンの神経伝達によって覚醒が促進されると考えられていますが、不眠障害では、覚醒を制御するオレキシンの神経伝達が正常に働いていない可能性があります。正常な睡眠時はオレキシン作動性神経が抑制されることから、オレキシンによる神経伝達の阻害により睡眠導入や睡眠維持をはかることができる可能性があると考えられており、不眠障害をはじめとする睡眠覚醒治療薬としての開発を進めています。不眠症に係る適応において、日本、米国、カナダ、オーストラリア、アジアなど、22の国と地域において、不眠症に係る適応で承認を取得しています。

 

参考文献

  1. 1. Ferrie JE, et al. Sleep epidemiology – a rapidly growing field. Int J Epidemiol. 2011;40(6):1431–1437.
  2. 2. Roth T. Insomnia: definition, prevalence, etiology and consequences. J Clin Sleep Med. 2007;3(5 Suppl):S7–S10.
  3. 3. Cao X-L, et al. The prevalence of insomnia in the general population in China: A meta-analysis. PLoS ONE 2017,12(2): e0170772.

4. 社内推計