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- 2024年12月11日
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、痛風・高尿酸血症治療剤「URECE®」(中国製品名「优乐思®」、一般名:ドチヌラド)について、中国国家薬品監督管理局(NMPA)より「高尿酸血症に伴う痛風」の適応で、承認を取得したことをお知らせします。
本承認は、当社が中国で実施した、多施設共同、実薬対照、二重盲検、並行群間比較、無作為化臨床第Ⅲ相試験の結果1に基づいています。本試験では451人の痛風患者様が、ドチヌラド群または対照薬のフェブキソスタット群に1:1の割合で無作為に割り付けられました。本試験の主要評価項目である24週時点の血清尿酸値が6.0mg/dL以下の被験者の割合は、ドチヌラド群で73.6%[95%信頼区間(CI):67.8、79.5]、フェブキソスタットで38.1%[95%CI:31.6、44.5]となり、ドチヌラド4mgのフェブキソスタット40mgに対する統計学的優越性が確認されました(割合の差35.87%[95%CI:27.36、44.37、p<0.001])。最も一般的な有害事象は、ドチヌラド群では痛風性関節炎、COVID-19、肝機能異常、フェブキソスタット群では痛風性関節炎、COVID-19、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)増加で、ドチヌラドの新たな安全性上の懸念は確認されませんでした。
本剤は、株式会社富士薬品(本社:埼玉県、以下 富士薬品)が創出した新規の痛風・高尿酸血症治療剤です。腎臓での尿酸再吸収に関与するトランスポーター(URAT1)を選択的に阻害することにより、尿酸の再吸収を抑制し、血中尿酸値を低下させます。当社は、富士薬品とのライセンス契約により中国、ASEAN 5カ国(インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ)における独占的開発権・販売権を有しています。タイにおいては、2024年9月に「痛風、高尿酸血症」の適応で承認を取得しています。日本国内においては、2020年1月に富士薬品が製造販売承認を取得し、同年5月から販売しています。
中国における現在の痛風患者様は約1,600万人と推定されています2。これらの患者様の数は、社会経済の発展に伴う生活習慣や食嗜好の変化等に伴い、今後もさらに増加することが予想されています。
当社は、中国において、国家医療保険償還医薬品リスト(NRDL)への収載も含め、より多くの痛風患者様に本剤をお届けし、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に貢献してまいります。
以上
<参考資料>
1. 「优乐思®」製品概要
中国製品名:「优乐思」(URECE)
中国一般名:多替诺雷片(Dotinurad Tablets)
効能・効果:高尿酸血症に伴う痛風
用法及び用量:通常、成人にはドチヌラドとして1日1mgより開始し、1日1回経口投与する。その後は血中尿酸値を確認しながら、必要に応じて徐々に増量する。維持量は通常1日1回2mgで、患者の状態に応じて適宜増減するが、最大投与量は1日1回4mgとする。
2. 「URECE®」(一般名:ドチヌラド、日本における製品名:ユリス®錠)について
「URECE」は、富士薬品が創出した痛風・高尿酸血症治療剤です。尿酸トランスポーターの1つであるURAT1を選択的に阻害することで、腎臓での尿酸の再吸収を妨げ、尿中への尿酸排泄を促進します。また、その他の尿酸分泌に関与するトランスポーターなどへの影響が少ないため、より少ない用量で血清尿酸値を低下させ、副作用や薬物相互作用のリスクが低いことが期待されています。
日本国内では2020年1月に富士薬品が製造販売承認を取得し、同年5月から販売しています。
3. 臨床第Ⅲ相試験(FYU-981-J086-301試験)1
本試験は、痛風を患う中国人の被験者において、主要評価としてドチヌラド4mgのフェブキソスタット40mgに対する優越性を確認し、安全性を評価すること、および、副次評価としてドチヌラド2mgのフェブキソスタット40mgに対する非劣性を確認することを目的とした、多施設共同、実薬対照、二重盲検、並行群間比較、無作為化臨床第Ⅲ相試験です。血清尿酸値(SUA)が7.0 mg/dLを超え、痛風を患う被験者を、ドチヌラド群またはフェブキソスタット群に1:1の割合で無作為に割り付け、24週間治験薬(ドチヌラド1mg/日を4週間、2mg/日を8週間、4mg/日を12週間、またはフェブキソスタット20mg/日を4週間、40mg/日を20週間)を投与しました。主要評価項目は24週時点のSUAが6.0mg/dL以下の被験者の割合、副次評価項目は12 週時点のSUAが6.0mg/dL以下の被験者の割合に設定されました。
合計451人の被験者の内、225人がドチヌラド群に、226人がフェブキソスタット群に割り付けられ、このうち441人(ドチヌラド群220人、フェブキソスタット群221人)が Full Analysis Set(FAS)に含まれました。主要評価項目である24週時点のSUAが6.0mg/dL以下の被験者の割合は、ドチヌラド群で73.6%[95%信頼区間(CI):67.8、79.5]、フェブキソスタット群で38.1%[95%CI:31.6、44.5]となり、主要評価項目であるドチヌラド4mgのフェブキソスタット40mgに対する統計学的優越性が確認されました(割合の差35.87%[95%CI:27.36、44.37、p<0.001])。副次評価項目である12 週時点のSUAが6.0mg/dL以下の被験者の割合は、ドチヌラド群で55.5%、フェブキソスタット群で50.5%となり、ドチヌラド2mgのフェブキソスタット40mgに対する統計学的非劣性が確認されました(割合の差 5.24%[95%CI:–3.69、14.17])。
最も一般的な有害事象は、ドチヌラド群では痛風性関節炎、COVID-19、肝機能異常、フェブキソスタット群では痛風性関節炎、COVID-19、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)増加で、ドチヌラドの新たな安全性上の懸念は確認されませんでした。
- Sun J, Wang Y, Zhang X, et al. POS0255 A RANDOMIZED, MULTICENTER, DOUBLE-BLIND, PHASE 3 STUDY COMPARING EFFICACY OF DOTINURAD AND FEBUXOSTAT FOR THE TREATMENT OF GOUT IN CHINESE SUBJECTS. Annals of the Rheumatic Diseases 2024;83:407-408.
- Rui Liu et al., Prevalence of Hyperuricemia and Gout in Mainland China from 2000 to 2014: A Systematic Review and Meta-Analysis, BioMed Research International, Volume 2015, Article ID 762820の有病率データと国際連合による世界人口推計(URL:https://population.un.org/wpp/)から算出した推計データ