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- 2024年5月23日
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、2024年5月31日から6月4日まで米国イリノイ州シカゴおよびバーチャル形式で開催される「米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会」(2024 ASCO Annual Meeting)において、当社のがん領域における製品・開発品の様々ながん種における最新知見を発表することをお知らせします。
本学会では、当社創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤レンバチニブ(製品名:レンビマ®)とMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ®)の併用療法について、進行性腎細胞がんの一次治療として、スニチニブと比較して評価した臨床第Ⅲ相CLEAR(307)試験/KEYNOTE-581試験(NCT02811861)のバイオマーカー解析結果を口頭発表します(抄録番号:4504)。また、本試験における病勢進行と後治療のパターンについての知見をポスター発表します(抄録番号:4524)。
当社常務執行役、チーフサイエンティフィックオフィサーの大和隆志博士は、「当社では、ヒューマンヘルスケア理念に基づき、がんと診断された患者様とそのご家族のニーズに対するコミットメントを強化するために、最新のサイエンスに基づいてオンコロジーにおける進歩を加速させる新たなアプローチを推進しています。患者様の生存期間を改善するという目標の達成に向け、進行性腎細胞がんの一次療法における標準治療選択肢であるレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法、および進行性がんにおける様々なモダリティを含む当社パイプラインに関する最新の知見を共有できることを楽しみにしています」と述べています。
当社のパイプラインに関するその他の重要な研究成果としては、HER2陽性の局所進行性または転移性乳がんを対象に、トラスツズマブおよびペルツズマブと当社創製のエリブリンメシル酸塩またはタキサンとの併用を評価する日本における臨床第Ⅲ相JBCRG-M06/EMERALD試験結果を口頭発表します(NCT03264547、抄録番号:1007)。さらに、HER2陽性、HER2低発現の切除不能または転移性乳がんを対象とした、HER2をターゲットとする抗体薬物複合体であるBB-1701の臨床第Ⅱ相試験の概要(NCT06188559、抄録番号:TPS1122)、CDK4/6阻害剤の治療歴のあるER陽性、HER2陰性の再発/転移性の乳がんを対象とした内分泌療法併用または非併用でのタスルグラチニブ(開発品コード:E7090)の臨床第Ⅰb試験の結果(NCT04572295、抄録番号:3103)、肝細胞がんおよび子宮内膜がんを含む固形がんを対象としたE7386とレンバチニブの併用療法の国際共同臨床第Ⅰb相試験の概要(NCT04008797、抄録番号:TPS3169)をポスター発表します。
本学会におけるプレゼンテーションは以下のとおりです。抄録(アブストラクト)は、2024年5月23日4:00 PM(米国中部夏時間)に公開される予定です。
※左右にスクロールできます
がん種 | 試験/化合物 | 抄録題目 | 発表形式および詳細
(米国中部夏時間) |
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レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法 | |||
泌尿生殖器がん | CLEAR試験 | 臨床第Ⅲ相CLEAR試験の進行腎細胞がん患者様におけるバイオマーカー解析 |
Oral Abstract Session
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泌尿生殖器がん | CLEAR試験 | 進行腎細胞がんにおけるレンバチニブ+ペムブロリズマブとスニチニブの比較:CLEAR試験における病勢進行と後治療のパターン |
Poster Session
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メラノーマ | LEAP-004試験 | 抗PD-(L)1療法で進行した進行メラノーマ患者様におけるレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法:臨床第II相LEAP-004試験からの4年間以上の追跡調査 |
Poster Session
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レンバチニブ |
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分化型 甲状腺がん |
リアルワールドエビデンス | BRAF V600Eおよび/またはK601E変異を持つ放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん患者様-レンバチニブ単剤療法の有効性に関するリアルワールドからみた視点 |
Poster Session
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消化器がん |
REFLECT試験 | レンバチニブまたはソラフェニブを一次治療として投与された切除不能肝細胞がん患者様のctDNA分析 |
Poster Session
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エリブリン | |||
乳がん |
JBCRG-M06/EMERALD 試験 |
HER2陽性、局所進行または転移性乳がんの一次化学療法としての、トラスツズマブとペルツズマブに、エリブリンメシル酸塩またはタキサンを加えた併用療法:日本における多施設共同、無作為化、非劣性検証の臨床第Ⅲ相試験結果 (JBCRG-M06/EMERALD) |
Oral Abstract Session
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パイプライン | |||
乳がん | BB-1701 | 治療歴のあるHER2陽性またはHER2低発現の切除不能または転移性乳がんにおける患者様を対象に、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)をターゲットとした新規抗体薬物複合体(ADC)であるBB-1701の安全性と有効性を評価する非盲検多施設臨床第II相試験 |
Poster Session
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タスルグラチニブ | CDK4/6阻害剤投与後のER陽性、HER2陰性、再発/転移性乳がん患者様を対象とした、内分泌療法併用または非併用でのタスルグラチニブ(E7090)の臨床第Ib相試験 |
Poster Session
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H3B-6545 | 局所進行/転移性エストロゲン受容体陽性、HER2陰性乳がんの女性患者様におけるH3B-6545 |
Poster Session
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H3B-6545 | 局所進行/転移性エストロゲン受容体陽性、HER2陰性乳がん患者様におけるH3B-6545とパルボシクリブの併用療法 |
Poster Session
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固形がん | E7386 | 肝細胞がんおよび子宮内膜がんを含む固形がん患者様を対象としたE7386とレンバチニブの併用療法の国際共同臨床第Ⅰb相試験の用量漸増パート |
Poster Session
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レンバチニブの単剤療法およびペムブロリズマブとの併用療法に関して、当社は、2018年3月にMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAとグローバルな共同開発と共同販促を行う戦略的提携契約を締結しています。両社は、LEAP(LEnvatinib And Pembrolizumab)臨床プログラムを通じて、本併用療法の様々ながん種における複数の臨床試験を実施中です。
HER2をターゲットとした抗体薬物複合体であるBB-1701について、当社は、2023年5月にBliss Biopharmaceutical (Hangzhou) Co., Ltd.(本社:中国浙江省、以下 BlissBio)と戦略的提携に向けたオプション権を有する共同開発契約を締結しています。当社とBlissBioは、日本および米国において、乳がんを対象とした臨床第II相試験を、米国および中国において、HER2発現の固形がんを対象とした臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験を実施中です。
以上
<参考資料>
- 1. 当社のがん領域の取り組みについて
当社は、「がん領域」を戦略的重要領域の一つとし、Deep Human Biology Learning創薬体制のもと、ヒューマン・バイオロジーに基づき、「微小環境」「タンパク質恒常性破綻」「細胞系譜や細胞分化」「細胞老化を伴う炎症、低酸素、酸化ストレス」などの創薬領域(ドメイン)における抗がん剤の研究開発にフォーカスしています。これらのドメインから新たな標的や作用機序を有する革新的新薬を創出し、がんの治癒の実現に向けて貢献することをめざしています。
*1 キイトルーダ®はMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの子会社であるMerck Sharp & Dohme LLCの登録商標です。
*2 E7386は、PRISM BioLab Co., Ltd.(本社:神奈川県)との共同創製品です。
*3 抄録番号にTPS (Trial in Progress Submission)が付与されている発表内容は、当該試験が途中段階にあることを表し、最終試験結果を発表するものではありません。