抗てんかん剤「フィコンパ®」、中国においててんかんの強直間代発作に対する併用療法の適応で承認取得

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)はこのたび、中国において自社創製の抗てんかん剤「フィコンパ®」(一般名:ペランパネル水和物、中国語表記:「卫克泰®」)について、「12歳以上のてんかん患者様の強直間代発作(PGTC:primary generalized tonic-clonic seizures)に対する併用療法」の適応拡大に関する承認を取得したことをお知らせします。

 

 「フィコンパ」は、当社筑波研究所で創製されたファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。本剤は、グルタミン酸によるシナプス後膜のAMPA受容体活性化を選択的かつ非競合的に阻害し、神経の過興奮を抑制します。

 

 中国において、「フィコンパ」は、2019年9月に「12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法」の適応で新薬承認を取得し、2020年1月の発売以降も、2021年7月に「てんかんの部分発作に対する単剤療法」および「4歳以上の小児てんかんの部分発作に対する併用・単剤療法」の追加適応の承認を取得しており、中国のてんかん患者様への貢献を拡大しています。

 

 中国のてんかん患者様数は約900万人と推定されています1。てんかんは、患者様の30~40%が既存の抗てんかん剤による発作コントロールが十分にできていないとされ2、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患です。強直間代発作は、突然の転倒による重篤なけがの恐れがあるほか、その発作頻度は「てんかんにおける予期せぬ突然死(SUDEP: Sudden Unexpected Death in Epilepsy)」の最も重要な危険因子とされ、てんかんの中でも最も重篤な発作型の一つです。今回の適応拡大により、「フィコンパ」は、中国においても強直間代発作に対する併用療法として使用可能となりました。

 

 当社は、てんかんを含む神経領域を重点疾患領域と位置づけており、ヒューマン・ヘルスケア企業として、より多くの患者様に発作フリー(seizure freedom:無発作状態)をお届けする使命を追求し、てんかん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

  

 

<参考資料>

1.  「フィコンパ」(一般名:ペランパネル水和物)について

 「フィコンパ」は、当社が創製したファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。てんかん発作は、神経伝達物質であるグルタミン酸により誘発されることが報告されており、本剤は、グルタミン酸によるシナプス後膜のAMPA受容体の活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する高選択、非競合AMPA受容体拮抗剤です。

 現在、「フィコンパ」は、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法について、日本、欧州、中国、アジアなど75カ国以上で承認を取得しています。さらに本剤は12歳以上のてんかん患者様の強直間代発作に対する併用療法について、日本、欧州、中国、アジアなど75カ国以上で承認を取得しています。日本、中国においては、4歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する単剤および併用療法の承認も取得しています。欧州においては、4歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)および7歳以上のてんかん患者様の強直間代発作に対する併用療法についても承認を取得しています。日本では、錠剤、細粒剤及び注射剤の承認を取得しています。欧州と中国では、錠剤と経口懸濁液の承認を取得しています。2023年1月、米国における権利をCatalyst Pharmaceuticals, Inc.に譲渡しました。

 

2.  てんかんについて

 てんかんは、発作のタイプによって、てんかん全体の約6割を占める部分発作と、約4割を占める全般発作に大別されます。部分発作では、脳の電気信号の異常が一部分に限定されています。部分発作の中には、異常が二次的に脳全体に広がり、全般性の発作になるものもあります(二次性全般化発作)。全般発作では、電気信号の異常が脳全体に起こり、発作直後から意識がなくなったり、全身に症状が現れたりします。

 てんかんの患者様数は、世界中で約5,000万人などの報告があります3。てんかん患者様の30~40%が既存の抗てんかん剤では発作を十分にコントロールできておらず2、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患です。てんかんはすべての年代で発病しますが、18歳以前の小児期と高齢期での発病が多いとされています。小児てんかんの原因や臨床像は一様ではなく、その予後も極めて良い場合や難治が予測される場合もあり、その治療はそれぞれの患者様に特有の配慮が求められます。

 

1 Jianming Liu et.al, Treatment of epilepsy in China: Formal or informal. Neural Regen Res. 2013; 8(35): 3316–3324. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4145945/pdf/NRR-8-3316.pdf

2. Jong Woo Lee and Barbara Dworetzky; Rational Polytherapy with Antiepileptic Drugs. Pharmaceuticals 2010; 3(8): page 2362–2379.doi: 10.3390/ph3082362 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4033928/pdf/pharmaceuticals-03-02362.pdf

3. World Health Organization Fact Sheets; Epilepsy

https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/epilepsy