「LEQEMBI™」(レカネマブ)、アルツハイマー病治療薬としてフル承認に向けた生物製剤承認一部変更申請(sBLA)が米国FDAに受理され、優先審査に指定FDAは臨床第III相Clarity AD検証試験のデータを評価し、「LEQEMBI」の迅速承認からフル承認への変更を審査

優先審査指定により審査期間が短縮され、PDUFAアクションデートは2023年7月6日に設定

エーザイ株式会社

バイオジェン・インク

   

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク(Nasdaq: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:Christopher A. Viehbacher、以下 バイオジェン)は、「LEQEMBI™」注射100 mg/mL溶液(一般名:レカネマブ)の迅速承認からフル承認への変更に向けた生物製剤承認一部変更申請(supplemental Biologics License Application:sBLA)が米国食品医薬品局(FDA)に受理されたことをお知らせします。本申請は優先審査に指定され、PDUFA(Prescription Drugs User Fee Act)アクションデート(審査終了目標日)は2023年7月6日に設定されました。本申請について、FDAは現時点で諮問委員会を予定していますが、日程については公表していません。

 

 「LEQEMBI」は、可溶性(プロトフィブリル)および不溶性アミロイドβ(Aβ)凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体です。米国において、2023年1月6日にアルツハイマー病(AD)の治療薬として迅速承認され、同日、フル承認に向けたsBLAをFDAに提出しました。「LEQEMBI」による治療は、Aβ病理が確認されたADによる軽度認知障害または軽度認知症の当事者様において開始する必要があります。

 

 今回のsBLAは、大規模グローバル臨床第Ⅲ相検証試験であるClarity AD試験のデータに基づくものです。本試験では、主要評価項目ならびに全ての重要な副次評価項目を統計学的に高度に有意な結果をもって達成しました。Clarity AD試験の結果は、2022年11月に第15回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)にて発表し、同時に査読学術専門誌the New England Journal of Medicineにも掲載されました。

 

 「LEQEMBI」は米国において迅速承認制度の下で承認され、2023年1月18日に発売されました。本迅速承認は、「LEQEMBI」がADの特徴である脳内に蓄積したAβプラークの減少効果を示した臨床第Ⅱ相試験の結果に基づくものであり、検証試験により臨床的有用性を確認することが本迅速承認の要件となっています。FDAは、Clarity AD試験結果をレカネマブの臨床的有用性の検証試験として評価することに合意しています。

 

 レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

 

プロトフィブリルは、75-500Kdの可溶性Aβ凝集体です1

 

以上

 

  

本件に関する報道関係お問い合わせ先

 

<参考資料>
  1. 1.  「LEQEMBI™」(一般名:レカネマブ)について

 「LEQEMBI」は、BioArctic AB(本社:スウェーデン、以下 バイオアークティック)とエーザイの共同研究から得られた、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体です。米国において、「LEQEMBI」は、2023年1月6日に米国食品医薬品局(FDA)より迅速承認を取得しました。「LEQEMBI」の適応症はアルツハイマー病(AD)の治療です。「LEQEMBI」による治療は、臨床試験と同様、ADによる軽度認知障害または軽度認知症の当事者様において開始する必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性のデータはありません。本適応症は、「LEQEMBI」がADの特徴である脳内に蓄積したAβプラークの減少効果を示した臨床第Ⅱ相試験の結果に基づき、迅速承認の下で承認されています。本迅速承認の要件として、検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。

 

 米国における処方情報はこちらから入手できます。

 

 米国において、2023年1月6日にフル承認への変更に向けた生物製剤承認一部変更申請(supplemental Biologics License Application:sBLA)をFDAに提出しました。臨床第III相Clarity AD検証試験では、主要評価項目ならびに全ての重要な副次評価項目を統計学的に高度に有意な結果をもって達成しました。日本において、エーザイは、2023年1月16日に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に製造販売承認申請を行い、1月26日に厚生労働省より優先審査に指定されました。本申請においては、審査期間の短縮をめざし医薬品事前評価相談制度を活用しています。欧州においても、2023年1月9日に欧州医薬品庁(EMA)に販売承認申請(MAA)を提出し、1月26日に受理されました。中国においては、2022年12月に国家薬品監督管理局(NMPA)にBLAのデータ提出を開始し、2023年2月27日に優先審査に指定されました。

 レカネマブの皮下注射によるバイオアベイラビリティ試験は終了し、Clarity AD試験OLEにおいて皮下投与の評価が進行中です。

 2020年7月から、臨床症状は正常で、ADのより早期ステージにあたる脳内Aβ蓄積が境界域レベルおよび陽性レベルのプレクリニカルADを対象とした臨床第Ⅲ相試験(AHEAD 3-45試験)を米国のADおよび関連する認知症の学術的臨床試験のための基盤を提供するAlzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)とのパブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)で行っています。ACTCは、National Institutes of Health、National Institute on Agingによる資金提供を受けています。また、2022年1月から、セントルイス・ワシントン大学医学部(米国ミズーリ州セントルイス)が主導する優性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(Dominantly Inherited Alzheimer Network Trials Unit、以下 DIAN-TU)が実施する優性遺伝アルツハイマー病(DIAD)に対する臨床試験(Tau NexGen試験)が進行中です。

 

  1. 2.  エーザイとバイオジェンによるAD領域の提携について

 エーザイとバイオジェンは、AD治療剤の共同開発・共同販売に関する提携を2014年から行っています。レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

  

  1. 3.  エーザイとバイオアークティックによるAD領域の提携について

 2005年以来、エーザイとバイオアークティックはAD治療薬の開発と商業化に関して長期的な協力関係を築いてきました。エーザイは、レカネマブについて、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるADを対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を取得しています。2015年5月にレカネマブのバックアップ抗体の開発・商業化契約を締結しました。

  

  1. 4.  エーザイ株式会社について

 エーザイ株式会社は、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念とし、この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

 また、当社は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧に向けた活動に世界のパートナーと連携して積極的に取り組んでいます。

 エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。Twitterアカウント@Eisai_SDGsでも情報公開しています。

  

  1. 5.  バイオジェン・インクについて

 1978年に設立されたバイオジェンは、多発性硬化症の広範なポートフォリオを有し、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化し、アルツハイマー病の病理に作用する二つの治療薬を共同開発するなど、数多くの革新的なイノベーションを生み出したグローバル・バイオテクノロジー企業です。バイオジェンは神経、神経精神、特定の免疫、希少疾患といった領域において画期的な治療となりうるパイプラインを進展させ、サイエンスを通じて人々に貢献するという理念を厳格に追求し、人々がより健康的に、持続可能で平等に生きていける世界となるよう取り組んでいます。

バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。

  

Biogen Safe Harbor

This news release contains forward-looking statements, including statements made pursuant to the safe harbor provisions of the Private Securities Litigation Reform Act of 1995, about the potential clinical effects of lecanemab; the potential benefits, safety and efficacy of lecanemab; potential regulatory discussions, submissions and approvals and the timing thereof; the treatment of Alzheimer’s disease; the anticipated benefits and potential of Biogen’s collaboration arrangements with Eisai; the potential of Biogen’s commercial business and pipeline programs, including lecanemab; and risks and uncertainties associated with drug development and commercialization. These statements may be identified by words such as “aim,” “anticipate,” “believe,” “could,” “estimate,” “expect,” “forecast,” “intend,” “may,” “plan,” “possible,” “potential,” “will,” “would” and other words and terms of similar meaning. Drug development and commercialization involve a high degree of risk, and only a small number of research and development programs result in commercialization of a product. Results in early-stage clinical studies may not be indicative of full results or results from later stage or larger scale clinical studies and do not ensure regulatory approval. You should not place undue reliance on these statements or the scientific data presented.

  

These statements involve risks and uncertainties that could cause actual results to differ materially from those reflected in such statements, including without limitation unexpected concerns that may arise from additional data, analysis or results obtained during clinical studies, including the Clarity AD clinical trial and AHEAD 3-45 study; the occurrence of adverse safety events; risks of unexpected costs or delays; the risk of other unexpected hurdles; regulatory submissions may take longer or be more difficult to complete than expected; regulatory authorities may require additional information or further studies, or may fail or refuse to approve or may delay approval of Biogen’s drug candidates, including lecanemab; actual timing and content of submissions to and decisions made by the regulatory authorities regarding lecanemab; uncertainty of success in the development and potential commercialization of lecanemab; failure to protect and enforce Biogen’s data, intellectual property and other proprietary rights and uncertainties relating to intellectual property claims and challenges; product liability claims; third party collaboration risks; and the direct and indirect impacts of the ongoing COVID-19 pandemic on Biogen’s business, results of operations and financial condition. The foregoing sets forth many, but not all, of the factors that could cause actual results to differ from Biogen’s expectations in any forward-looking statement. Investors should consider this cautionary statement as well as the risk factors identified in Biogen’s most recent annual or quarterly report and in other reports Biogen has filed with the U.S. Securities and Exchange Commission. These statements are based on Biogen’s current beliefs and expectations and speak only as of the date of this news release. Biogen does not undertake any obligation to publicly update any forward-looking statements, whether as a result of new information, future developments or otherwise.

  

参考文献

1 Söderberg, L., Johannesson, M., Nygren, P. et al. Lecanemab, Aducanumab, and Gantenerumab — Binding Profiles to Different Forms of Amyloid-Beta Might Explain Efficacy and Side Effects in Clinical Trials for Alzheimer’s Disease. Neurotherapeutics (2022). https://doi.org/10.1007/s13311-022-01308-6. Accessed February 9, 2023