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- 2022年11月2日
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、抗てんかん剤「イノベロン®錠100mg、同錠200mg」(一般名:ルフィナミド)について、レノックス・ガストー症候群(Lennox-Gastaut syndrome:LGS)に対する抗てんかん薬との併用療法に係る適応の承認条件となっていた特定使用成績調査(全例調査)に関し、厚生労働省から解除の通達を受けましたのでお知らせします。
「イノベロン」は、2013年3月に「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないLennox-Gastaut症候群における強直発作及び脱力発作に対する抗てんかん薬との併用療法」を効能・効果として承認され、その際の承認条件として「国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例にかかるデータが集積されるまでの間は、全症例を対象とした使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。」が付記されていました。
今回の承認条件解除は、当社が厚生労働省に提出した全例調査における安全性および有効性データ(安全性解析対象症例702例、有効性解析対象症例495例)に基づいて、本剤の適正使用に必要な措置が講じられていると判断されたことによるものです。
当社は、引き続き「イノベロン」の適正使用の推進および情報提供に努め、患者様とそのご家族のベネフィット向上に、より一層の貢献をしてまいります。
以上
<参考資料>
- 1. 「イノベロン」(一般名:ルフィナミド)について
「イノベロン」は、新規構造のトリアゾール誘導体であり、てんかん発作の原因となる神経細胞の過剰興奮に関与する脳内の電位依存性ナトリウムチャネルの活動を調節することでナトリウムチャネルの不活性状態を延長し、抗てんかん作用を示すと考えられています。当社は、双極性障害、不安障害、眼科領域疾患を除き、ヒト治療用として、全世界における本剤の独占的開発、使用、製造および販売に関するライセンス契約を2004年2月にノバルティス社と締結しました。本剤は、欧州では「Inovelon®」として2007年1月に、米国では「Banzel®」として2008年11月に、LGSに対する抗てんかん薬との併用療法に係る適応で承認を取得しています。現在はグローバルにおいて50カ国以上で承認されています。
- 2. レノックス・ガストー症候群(Lennox-Gastaut syndrome:LGS)について
LGSは希少かつ重篤なてんかん症候群のひとつであり、その多くは脳症など何らかの脳の器質障害を有し、通常は就学前の小児で発症します。複数のてんかん発作型を示し、発作が頻回に発生することに加え、知的発達の遅れやパーソナリティ障害を伴うことがこの疾患の特徴です。ほとんどの症例で強直発作(筋肉の攣縮)、脱力発作(突然の筋緊張の弛緩)および欠神発作(短時間の意識消失)が認められます。強直間代発作(大発作)やミオクロニー発作(突発的な筋肉の攣縮)などを発現する場合もあります。その中でも強直発作や脱力発作は、転倒発作と呼ばれるLGSに特徴的な発作のひとつで、突然激しく倒れ、しばしば外傷を負います。LGSの患者様は外傷予防のために顔面保護機能付きのヘルメットを装着することもあります。LGSの治療は抗てんかん薬による薬物治療が主体となりますが、薬物治療で発作の抑制が困難な重症例には外科的手術が行われる場合もあります。
- 3. 特定使用成績調査(全例調査)結果について
特定使用成績調査とは、製造販売業者等が診療において、小児、高齢者、妊産婦、腎機能障害または肝機能障害を有する患者様、医薬品を長期に使用する患者様、その他医薬品を使用する条件が定められた患者様における副作用による疾病等の種類別の発現状況並びに品質、有効性および安全性に関する情報の検出または確認を行う調査のことをいいます。
本調査は、承認条件に基づき、「イノベロン」の使用実態下における安全性、有効性およびそれらに影響を与える要因を把握することを目的に、中央登録方式にて実施されました。症例登録は2013年5月から2014年2月までに投与を開始した全症例を対象とし、国内189施設から728例の症例が収集されました。安全性について、解析対象症例702例における主な副作用(発現割合3.00%以上)は、「傾眠」18.23%、「食欲減退」9.83%、「てんかん」3.70%、「てんかん重積状態」3.42%、「浮動性めまい」3.28%、「嘔吐」3.28%でした。また、主な重篤な副作用(発現割合1.00%以上)は、「てんかん重積状態」3.42%、「てんかん」1.28%でした。有効性について、解析対象症例495例における本剤投与開始後の6カ月時点での強直・脱力発作頻度の投与開始時からの変化率(中央値)は、-33.3%でした。
本調査で得られた安全性および有効性は、承認時までに得られていた情報と比較して大きく異なることはないと考えられました。