米国子会社エーザイ・インクが米国の実臨床において認知機能障害当事者様に対する血液検査法の活用について、認知度向上とリアルワールド・エビデンス構築に向けてC2N Diagnostics社と協働

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、当社米国子会社エーザイ・インクが、アルツハイマー病(AD)を含む認知障害当事者様の早期診断と適切な治療に向けた血液検査法の活用の可能性を啓発すべく、C2N Diagnostics社(本社:米国ミズーリ州セントルイス 以下 C2N)と協力していく旨の覚書を締結したことをお知らせします。その中で、エーザイ・インクはC2Nと協力して、米国の実臨床における認知症当事者様への血液検査法の活用に対する認知度向上とリアルワールド・エビデンスの構築に取り組みます。これにより、臨床現場におけるタイムリーかつ正確な診断を可能とする新たな標準ケアの開発を支援してまいります。

 

 認知症当事者数は大幅に増加しており、現在全世界で5,500万人以上が認知症に罹患していると推定され、2030年には7,800万人に増加すると予測されています1。認知症の可能性が高い成人の40~60%が診断されていないと推定されており2、正確な診断の難しさが、早期かつ適切なケアマネジメントの障害となっています。血液検査によって治療が有効な当事者様をより簡便に特定することが可能となれば、治療の効率化や医療費の削減につながることが期待されます。また、認知症の早期の発見、診断、治療の実現により、診断の遅れや見逃しのリスクが減り、当事者様、ご家族、介護者の方が症状進行に応じた将来計画を立てることが可能となります2

 

 血液検査法のような簡便な診断ツールの開発と実臨床への導入は、ポジトロン断層法(PET)や脳脊髄液(CSF)検査といった高度な診断技術を利用できない遠隔地や十分な医療サービスを受けられないコミュニティーにおいて、当事者様のケアを改善するための重要なステップとなります。

 

 当社は、様々なパートナーとの連携のもと、血液診断をはじめとする簡便かつ侵襲性が低い認知症の診断技術および診断薬の実用化に貢献し、適切な治療が受けられる医療環境の整備に取り組み、世界の認知症当事者様とそのご家族の憂慮の解消に寄与してまいります。

 

 

以上


  

<参考資料> 

 1.C₂N Diagnostics社と同社のコグニション・ヘルスにおける血液検査プラットフォームについて

 C₂N Diagnostics(以下、C2N)は、Clarity Through Innovation™を実現することをビジョンとする診断薬専門企業です。C₂Nは、脳の健康分野で卓越した検査サービスや製品を提供することに努めています。C₂Nのバイオマーカーサービスおよび製品は、診断や治療モニタリングなど患者ケアを改善するための臨床的意思決定、神経変性の新規治療法を試験する臨床試験の品質と効率の最大化、医療研究者が新規疾病メカニズムの理解を深め、新規治療ターゲットを特定し、世界の公衆衛生を改善する重要な疫学研究を行うための革新的ツールの提供などに使用されています。

 同社の血液検査「PrecivityAD™」は、認知障害当事者への使用を目的とした革新的な新しい血液検査です。質量分析プラットフォームを用いた血液中のAβ42/40比とApoE prototypeの正確な定量は、医療関係者がアルツハイマー病の特徴的な徴候である脳内アミロイド・プラークの有無を判断することに役立ちます。また、血液中のtau217、tau181のリン酸化型、非リン酸化型の4種を同時に測定するP-tau Multi-Analyte Assayを研究目的(Research use only)として発売しています。本アッセイは、臨床研究のスクリーニング、疾患生物学のより深い理解、また治験薬の研究を支援することが期待されています。詳しくは、www.C2N.com をご覧ください。

 

1.  Alzheimer’s Disease International. World Alzheimer Report 2021, Journey through the diagnosis of dementia.

2.  The Milken Institute. Building Workforce Capacity to Improve Detection and Diagnosis of Dementia 2021.