ADUHELM™の臨床第Ⅲ相試験におけるアルツハイマー病の臨床症状の悪化抑制とバイオマーカーとの正の相関を示す新しいデータを第14回アルツハイマー病臨床試験(CTAD)会議において発表

  • ADUHELMは、2つの臨床第Ⅲ相試験の事前に規定された解析において、アルツハイマー病に特徴的なタウ蓄積のバイオマーカーである血漿p-tau181をプラセボと比較して用量および時間依存的に有意に低下

  • 血漿p-tau181の変化は、脳内アミロイドβプラークの変化、ならびにすべての主要および副次評価項目による認知機能と日常生活機能の低下抑制と有意に相関

  • 本発表データは、アルツハイマー病の2つ病理であるアミロイドβプラークとタウ蓄積を減少させることによる、臨床症状の悪化に対するADUHELMの効果に関するさらなるエビデンスを提供

2021年11月12日-バイオジェン・インク(Nasdaq: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)とエーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、ADUHELM™(aducanumab-avwa)の臨床第Ⅲ相試験における1,800人以上の患者様からの約7,000の血漿サンプルのデータ解析により、アルツハイマー病(AD)における血漿リン酸化タウの減少と認知機能と日常生活機能の低下抑制の間の統計的に有意な相関、ならびに血漿p-tau181の減少とアミロイドβ(Aβ)プラーク減少の相関について発表したことをお知らせします。ADUHELMの臨床第Ⅲ相EMERGE試験、ENGAGE試験から得られた血漿サンプルの事前に規定された解析は、独立した研究所によって実施されました。本日(現地11日)、これらの知見は、11月9日から12日にマサチューセッツ州ボストンおよびバーチャルで開催されている第14回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD:Clinical Trials on Alzheimer’s Disease)にて発表されました。

 

 今回の解析において、ADUHELMは、血漿p-tau181で定量されるADの明確な特徴の一つであるタウ病理をプラセボと比較して用量および時間依存的に有意に減少させました。ADUHELMによる治療を受けた患者様において、血漿p-tau181の大幅な減少は、認知機能と日常生活機能の低下抑制と統計的に有意な相関を示しました。さらに、血漿p-tau181の変化とAβプラークの減少の間にも統計的に有意な相関が見られ、ADの2つの主要な病理学的特徴に対するADUHELMの効果が示されました。

 

 バイオジェンの研究開発責任者であるAlfred Sandrock, Jr. M.D.  , Ph.D.は、「我々は、ADUHELMがADの2つの主要な病理に影響を及ぼすことを示す堅牢かつ一貫したデータとともに、血漿p-tau181の変化と疾患進行の抑制との間の治療による相関を示す重要なエビデンスを得ることができました。私たちは今後もエビデンスの構築を継続するとともに、これらの新しい知見が治療法の選択に情報を提供し、診断や疾患のモニタリングを含むAD研究を前進させると確信しています」と述べています。

 

 ADUHELMは、臨床第Ⅲ相EMERGE試験、ENGAGE試験の双方において、血漿p-tau181をプラセボと比較して用量および時間依存的に有意に低下させました。EMERGE試験の高用量群では、リン酸化タウはベースラインから13%減少し(p<0.001)、プラセボでは8%上昇し、ENGAGE試験の高用量群ではベースラインから16%減少し(p<0.001)、プラセボでは9%上昇しました。

  

 血漿p-tau181の大幅な減少は、臨床第Ⅲ相試験の4つの全ての臨床評価項目による臨床症状の悪化抑制と相関していました。これらの臨床評価項目による相関値は、EMERGE試験とENGAGE試験でそれぞれ、CDR-SB (Clinical Dementia Rating-Sum-of-Boxes)ではR=0.11(p=0.0166)、R=0.14(p=0.0005); MMSE(Mini-Mental State Examination)ではR=-0.21(p<0.0001)、R=-0.15(p=0.0002); ADAS-Cog13(Alzheimer Disease Assessment Scale-Cognitive Subscale)ではR=0.17(p=0.0001)、R=0.15(p=0.0002); ADCS-ADL-MCI(AD Cooperative Study-Activities of Daily Living Inventory Mild Cognitive Impairment Version)ではR=-0.12(p=0.0086)、R=-0.14(p= 0.0010)でした。

 

 血漿p-tau181の変化は、AβPETによる標準化取込値比(standardized uptake value ratio:SUVR)の変化とも有意に相関していました(EMERGE試験 R=0.38、p<0.0001; ENGAGE試験 R=0.42、p<0.0001)。

 

 CTADでlate-breaker口頭発表をリードしたOskar Hansson, M.D., Ph.D., Professor of Neurology at Lund University and Skåne University Hospital, Sweden,.は、「今回示されたデータは、ADUHELMがAβプラークを除去し、血漿リン酸化タウレベルを低下させることを示しただけでなく、これらの減少が認知機能の悪化抑制と有意な相関があることを示しています。約2,000人の患者様に基づく研究によって、この複雑な疾患における相互に関連する病態のダイナミクスに関する貴重な洞察が得られます」と述べています。

 

 ADの2つの病理学的特徴であるAβプラークと(異常なリン酸化タウから構成される)神経原線維変化は、神経細胞の間の情報伝達を阻害し、脳機能の喪失、ならびにADの初期段階から始まる神経変性と臨床症状の悪化を引き起こします。

 

 また、バイオジェンは、AD患者様が治療を再開する前に長期間(平均1.7年)ADUHELM治療を中止した影響を調べた臨床第Ⅲb相再投与試験(EMBARK試験)のデータを発表しました。本発表では、ADUHELM高用量群では、脳内Aβプラークの減少が、プラセボ群と比較し、ギャップ期間中も維持されました。治療中止後も疾患が進行し続けている一方で、複数の臨床エンドポイントにおいてADUHELMの投与を支持する数値の差が維持されました。

 

 EMBARK試験のベースラインデータは、抗Aβ治療の中止の影響と、他の病理学的プロセスが疾患の進行に果たす役割をより理解するために、さらなる科学的エビデンスが必要であることを示しています。

 

 EMBARK試験は、無作為化試験ではなく、登録する患者様に選択バイアスがある可能性があります。これらのデータの解釈は、本試験における個人間の用量、曝露期間、および治療ギャップ期間の不均一性による潜在的な影響を検討する必要があります。解析には、EMERGE試験、ENGAGE試験、PRIME試験、およびEVOLVE試験からの1,856人のスクリーニングされた患者様を含む、早期ADで利用可能な最大の臨床試験データセットを用いています。

 

<参考資料>

ADUHELM™ (一般名:アデュカヌマブ)について

 ADUHELMの適応症は、アルツハイマー病の治療です。ADUHELMによる治療は、臨床試験において治療開始の対象としたアルツハイマー病による軽度認知障害または軽度認知症の患者様において開始される必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性に関するデータはありません。本適応症は、ADUHELMの治療により観察されたアミロイドβプラークの減少に基づき、迅速承認の下で承認されています。本迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。

 アデュカヌマブは、アミロイドβに対するモノクローナル抗体です。脳内のアミロイドβプラークの蓄積は、アルツハイマー病の明確な病態生理学的特徴です。ADUHELMの迅速承認は、臨床的有用性、この場合は臨床症状の悪化抑制をもたらす可能性が合理的に高い代理バイオマーカーであるアミロイドβプラークの減少に対するADUHELMの効果を示す臨床試験のデータに基づいて付与されました。

 ADUHELMは、次のような重篤な副作用を引き起こす可能性があります。アミロイド関連画像異常(ARIA)は、通常は症状を引き起こさない一般的な副作用ですが、重篤になる場合があります。ほとんどの場合症状はありませんが、頭痛、錯乱、めまい、視力の変化、吐き気などの症状が現れる人もいます。医療提供者は、患者様に対してADUHELMによる治療前と治療中に磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを行い、ARIAをチェックします。ADUHELMは、次のような深刻なアレルギー反応を引き起こす可能性があります。ADUHELMの最も一般的な副作用には、脳内または脳の表面の小さな出血の斑点の有無によらず脳の浮腫(ARIA)、頭痛と転倒があります。患者様は、副作用に関する医学的アドバイスをもらうように医療提供者に電話する必要があります。

  

米国における添付文書投薬ガイドはこちらから入手できます。

  

バイオジェン・インクについて

 神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・ シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、免疫疾患、神経認知障害、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。

 2020年、バイオジェンは、気候、健康、公平さが深く相互に関連する課題に対して、20年間に2億5000万ドルを投資する大規模な取組みを開始しました。Healthy Climate, Healthy Lives ™は、ビジネス全体で化石燃料の使用をゼロにし、著名な研究機関とのコラボレーションを構築して科学研究を進展させ、人類の健康を改善し、発展途上のコミュニティをサポートすることを目的としています。

 バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、www.biogen.com/ およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。

  

エーザイ株式会社について

 エーザイ株式会社は、本社を日本に置くグローバル製薬企業です。当事者とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)・コンセプト」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

 エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験を活かし、エーザイ認知症プラットフォームの確立を企図し、医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携して、新たな便益をお届けする「認知症エコシステム」の構築をめざしています。エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。

  

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