第74回米国てんかん学会年次総会にてペランパネルに関する最新データを発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、2020年12月4日から8日にバーチャル形式で開催される「第74回米国てんかん学会年次総会(American Epilepsy Society Annual Meeting AES2020)において、自社創製の抗てんかん剤ペランパネル(製品名「フィコンパ®」、英語製品名:「Fycompa®」)に関する最新データを発表しますのでお知らせします。

 

 本総会では、ペランパネルに関して、12歳以上74歳以下の部分発作を有する未治療てんかんの患者様を対象とした単剤療法の臨床第Ⅲ相試験(FREEDOM/342試験)の非盲検継続投与(52週)における有効性および安全性の解析結果や、部分発作および強直間代発作を有する4歳以上12歳未満の小児てんかん患者様を対象とした他剤併用時の安全性および忍容性を検討した臨床第Ⅲ相試験(311試験)など、合計43演題のポスター発表が予定されています。

 

 ペランパネルは、当社筑波研究所で創製されたファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。本剤は、グルタミン酸によるシナプス後膜のAMPA受容体を選択的かつ非競合的に阻害し、神経の過興奮を抑制します。本剤は世界各国において、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)ならびに強直間代発作に対する併用療法として承認を取得しています。日本および米国において、4歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する単剤および併用療法、および12歳以上のてんかん患者様の強直間代発作に対する併用療法の承認を取得しています。

 

 当社は、てんかんを含む神経領域を重点疾患領域と位置づけており、ペランパネルをグローバルに提供するとともに、より多くの患者様に発作フリー(seizure freedom:無発作状態)をお届けする使命を追求し、てんかんの患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

                  

■ 主なポスター発表演題*

※左右にスクロールできます

ポスター番号発表演題・予定日時(米国東部時間)
299
ポスターセッション2
腫瘍関連てんかん患者様の部分および全般発作の治療におけるペランパネル:臨床診療におけるエビデンス
ポスター議論(ライブ配信): 12月6日(日)12:00 - 13:30
347
ポスターセッション2
311試験における部分発作を有する日本人小児患者様(4歳以上12歳未満)の認知、成長、および発達に対するペランパネル併用療法の長期(52週間)効果
ポスター議論(ライブ配信): 12月6日(日)12:00 - 13:30
358
ポスターセッション2
ペランパネルの広域スペクトル有効性に関するエビデンス調査:全般発作の臨床データに関する系統的レビューの理論的根拠と方法
ポスター議論(ライブ配信): 12月6日(日)12:00 - 13:30
555
ポスターセッション3
FREEDOM/342試験で、ペランパネル4mg/日を投与された部分発作を有するてんかん患者様の発作フリー(Seizure Freedom)に関連する臨床的要因
ポスター議論(ライブ配信): 12月6日(日)17:15 - 18:45
556
ポスターセッション3
新たに診断されたまたは再発した部分発作を有するてんかん患者様におけるペランパネル4mg/日単剤療法による発作フリー(Seizure Freedom)の持続:FREEDOM/342試験の事後分析
ポスター議論(ライブ配信): 12月6日(日)17:15 - 18:45
567
ポスターセッション3
日本人てんかん患者様を対象とした非盲検臨床第Ⅱ相試験におけるペランパネル経口錠剤からの新規静脈内製剤の互換性評価
ポスター議論(ライブ配信): 12月6日(日)17:15 - 18:45
762
ポスターセッション4
311試験における部分発作または全般てんかんの強直間代発作を有する小児患者様のメンタルヘルスに関するペランパネル併用療法の長期評価
ポスター議論(ライブ配信): 12月7日(月)9:00 - 10:30
979
ポスターセッション4
部分発作を有するてんかん患者様におけるペランパネル4mg/日の単剤療法の血漿中濃度と臨床効果:FREEDOM/342試験の事後分析
ポスター議論(ライブ配信): 12月7日(月)9:00 - 10:30

*すべてのポスター発表は本学会のウェブサイトにて12月4日より公開され、90日間閲覧可能です。

 

以上

           

<参考資料>

1. ペランパネル(日本製品名:「フィコンパ」、英語製品名:「Fycompa」)について

 ペランパネルは、当社が創製したファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。てんかん発作は、神経伝達物質であるグルタミン酸により誘発されることが報告されており、本剤は、グルタミン酸によるシナプス後膜のAMPA受容体の活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する高選択、非競合AMPA受容体拮抗剤です。ペランパネルは1日1回就寝前に経口投与するタイプの製剤です。日本では、錠剤と細粒剤の承認を取得しています。米国および欧州では、錠剤と経口懸濁液の承認を取得しています。

 本剤は、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法について、日本、米国、欧州、中国、アジアなど70カ国以上で承認を取得しています。さらに本剤は12歳以上のてんかん患者様の強直間代発作に対する併用療法について、米国、日本、欧州、アジアなど65カ国以上で承認を取得しています。日本と米国においては4歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する単剤および併用療法の承認も取得しています。欧州においては、4歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)および7歳以上のてんかん患者様の強直間代発作に対する併用療法についても承認を取得しています。現在までに、世界で30万人を超える患者様にペランパネルが処方されました(すべての適応症の合計)。

 本剤について、レノックス・ガストー症候群に伴うてんかん発作を有する患者様を対象としたグローバル臨床第Ⅲ相試験(338試験)を実施しています。また、注射剤の開発も行っています。

 

2. てんかんについて

 てんかんは、発作のタイプによって、てんかん全体の約6割を占める部分発作と、約4割を占める全般発作に大別されます。部分発作では、脳の電気信号の異常が一部分に限定されています。部分発作の中には、異常が二次的に脳全体に広がり、全般性の発作になるものもあります(二次性全般化発作)。全般発作では、電気信号の異常が脳全体に起こり、発作直後から意識がなくなったり、全身に症状が現れたりします。

 

 てんかんの患者様数は、日本で約100万人、米国で約340万人、欧州で約600万人、中国で約900万人、世界中で約6,000万人などの報告があります。てんかん患者様の約30%が既存の抗てんかん剤では発作を十分にコントロールできておらず、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患です。てんかんはすべての年代で発病しますが、18歳以前の小児期と高齢期での発病が多いとされています。小児てんかんの原因や臨床像は一様ではなく、その予後も極めて良い場合や難治が予測される場合もあり、その治療はそれぞれの患者様に特有の配慮が求められます。

 

“The Epilepsies and Seizures: Hope Through Research. What are the epilepsies?” National Institute of Neurological Disorders and Stroke, accessed May 24, 2016, http://www.ninds.nih.gov/disorders/epilepsy/detail_epilepsy.htm#230253109