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- 2020年11月9日
シスメックス株式会社
エーザイ株式会社
シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長 CEO:家次 恒 以下「シスメックス」)とエーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤 晴夫 以下「エーザイ」)は、2020年11月4日から7日までデジタルイベントとして開催された第13回アルツハイマー病臨床試験会議(Clinical Trials on Alzheimer's Disease: CTAD)において、両社が共同で開発を進める、血漿を用いたアルツハイマー病(以下「AD」)診断法に関する最新データとして、全自動免疫測定装置HISCLTMを用いて測定した血漿中のアミロイドベータ(以下「Aβ」)による、アミロイドPET検査のセンチロイド法※1で判定されたアミロイド病理に対する予測性能について、シスメックスが代表して発表したことをお知らせします。
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臨床試験:
バイオマーカー LP10 | Plasma Aβ ratio measured on a fully automated immunoassay predicts amyloid positivity defined by amyloid PET centiloid
全自動免疫測定法で測定した血漿Aβ比によるアミロイドPET検査のセンチロイド法で決定されたアミロイド病理の予測 ポスター発表:11月4日(水)~ 11月7日(土) |
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これまでの当グループ発表では、アミロイドPET検査によるアミロイド病理の判断には、臨床試験等で一般的に使用される読影法※2を用いてきました。一方、近年の研究ではアミロイドPET画像をSUVRと呼ばれる指標で定量し、センチロイド法と呼ばれる標準化手法で補正することでアミロイド病理を定量的に評価することが増えています※3。そこで、本発表では全自動免疫測定装置HISCLを用いて測定した血漿Aβ1-42/Aβ1-40比(以下「Aβ比」)のアミロイド病理予測性能を評価するにあたり、軽度認知障害および軽度ADの臨床診断を受けた149例について、読影法およびセンチロイド法の2つの手法を用いてアミロイド病理を判断し、その際の予測性能の違いを確認しました。 その結果、読影法でアミロイド病理を判定した場合は感度72%、特異度71%(AUC=0.74)であったのに対し、センチロイド法の場合は感度、特異度共に78%(AUC=0.82)と性能が向上することが確認できました。また、血漿Aβ比とセンチロイド値の間で相関性(スピアマン順位相関係数※4 =-0.57、p値<0.0001)を確認することができ、血漿Aβ比により脳内アミロイド病理を予測できる可能性がこれまでより強く示唆されました。血漿Aβ比とセンチロイド法による判定結果の不一致例の多くが偽陽性(血漿Aβ比陽性、センチロイド法での評価によるアミロイドPET検査陰性)として観察されました。このような不一致は他の研究グループからも報告されており、これらの偽陽性群は陰性群と比較してアミロイドPET検査が陽性化する可能性が高いとされています※5。これらのことから、全自動免疫測定装置HISCLで測定した血漿Aβ比がアミロイドPET検査では検出できないより早期の脳内アミロイド病理を反映している可能性が示唆されました。 全自動免疫測定装置HISCLを用いた測定システムについて、今後も臨床応用に向けた検証を継続していく予定です。 |
認知症の当事者数は、グローバルで2030年に8,200万人、2050年には1億5,200万人に達し、医療費・介護費・生産性低下などによる社会的コストは2030年で2兆米ドルに上るともいわれています※6。日本における認知症の当事者数は、2012年に約462万人、2025年には730万人に達し※7、社会的コスト対GDP比は2025年で4.1%※8(25.8兆円※9)になるといわれています。なかでも、ADの当事者数は、認知症当事者数の60%以上を占めています※7。
ADは、病態生理学的には、神経細胞外へのAβ凝集体の蓄積が引き金になって、神経細胞内にタウ凝集体が蓄積し、その結果シナプス障害や神経細胞死に至る疾患と考えられています。これらの脳内変化により、認知機能障害や精神症状・行動障害を引き起こします。ADでは、認知機能障害が現れる前から脳中にAβが凝集・蓄積することが知られており、Aβを標的とする治療法では、早期診断、早期介入がより有効性を高めると考えられます。現在、脳内アミロイド凝集体の検出方法としてアミロイドPET検査と脳脊髄液(CSF)中のAβ比が用いられていますが、アクセス面・費用面・身体面で当事者の皆さまへの大きな負担となっています※10。
両社は、認知症の予防および治療に対する新しい診断技術の創造に取り組み、医療の発展と進化に貢献することで、当事者とご家族の皆さまのQOL向上の実現を目指します。
【注釈】
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※1
異なるアミロイドPET検査用プローブで測定されたPET SUVR値(standardized uptake value ratio)を統合解析するための標準化スケール
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※2
トレーニングを受けた医師が視覚読影により陽性もしくは陰性の定性的な判断を実施する手法
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※3
Klunk WE et al, Alzheimer’s Dementia (2014)
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※4
2つの量的データ分布から2つのデータ間の関連性の強さを示すもの。本解析では、順位データから求められる相関の指標であるスピアマン順位相関係数を算出している。
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※5
Schindler SE et al, Neurology (2019)
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※6
World Alzheimer Report 2018
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※7
厚生労働省資料「認知症施策の総合的な推進について」
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※8
平成26年度 厚生労働科学研究費補助金 統括・分担研究報告書「わが国における認知症の経済的影響に関する研究」
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※9
大和総研 日本経済中期予測(2018年2月)を参考にシスメックスが試算
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※10
Aβはアミロイド前駆タンパク質から切り出されて生成するアミノ酸残基からなるペプチドであり、40残基からなるAβ1-40が多くを占めるが、Aβ1-40はAD進行によって大きく変動しない。一方、42残基からなるAβ1-42は凝集性が高く、ADの初期段階からCSF中Aβ1-42の減少が見られる。Aβの絶対値は、個体差および個体内変動があるが、Aβ1-42/Aβ1-40比は変わらないとされる。CSF中のAβ1-42/Aβ1-40比がアミロイドPET検査と高い相関を示すことが報告されている
【シスメックスとエーザイのコラボレーションについて】
シスメックスとエーザイは2016年2月に、認知症領域に関する新たな診断薬創出に向けた非独占的包括契約を締結し、互いの技術・ナレッジを活用して認知症の早期診断や治療法の選択、治療効果の定期的確認が可能な次世代診断薬の創出を目指してきました。2019年12月に開催された第12回CTADにおいては、両社は血液による簡便なアルツハイマー病診断法の創出として、全自動免疫測定装置HISCLを用いて測定した血漿Aβ比の、アミロイドPET検査判定結果の予測性能(感度73%、特異度71%(AUC=0.74))から、血漿Aβ比を用いて脳内アミロイド病理を予測できる可能性が示唆されたことを報告しました※。
※ https://www.sysmex.co.jp/news/2019/191209.html,
https://www.eisai.co.jp/news/2019/news201990.html
以上
【本件に対するお問い合わせ先】
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シスメックス株式会社
IR・広報部
Tel:078-265-0500 -
エーザイ株式会社
PR部
Tel:03-3817-5120
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