パーキンソン病治療剤「エクフィナ®錠50mg」(一般名:サフィナミドメシル酸塩)の日本における製造販売承認をMeiji Seika ファルマ株式会社から承継

 

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、Meiji Seika ファルマ株式会社(本社:東京都、以下 Meiji)からパーキンソン病治療剤「エクフィナ®錠50mg」(一般名:サフィナミドメシル酸塩、以下「エクフィナ」)の日本における製造販売承認を9月23日付にて、承継することとなりましたので、お知らせします。

 

 「エクフィナ」は、日本では、Meijiが臨床試験を実施して2019年9月に製造販売承認を取得し、当社が販売元として独占的に販売してきました。このたび、両社によるライセンス契約に基づき、当社が製造販売承認をMeijiから承継することになりました。当社は日本における本剤の製造販売元として、引き続き本剤に関する適正使用情報を提供していきます。

 

 「エクフィナ」は、日本において、Meijiが開発した1日1回経口投与のパーキンソン病治療剤です。モノアミン酸化酵素B(MAO-B)の選択的かつ可逆的な阻害作用により、内因性およびレボドパ含有製剤由来のドパミン脳内濃度の維持を助けます(ドパミン作動性作用)。また、電位依存性ナトリウムチャネル阻害作用を介した脳内グルタミン酸放出抑制作用(非ドパミン作動性作用)を併せ持っています。レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病患者様を対象とした国内臨床試験において、症状が抑えられている時間(オン時間)の1時間以上の延長や運動機能の改善が認められており、wearing off現象の改善効果が期待されています。

 

 当社は、日本におけるパーキンソン病治療の新たな選択肢である「エクフィナ」を引き続きお届けすることにより、パーキンソン病患者様が自らの意思で自由に活動できる時間を増やし、患者様のQOL向上とご家族のいきいきとした日常生活の創出に向け、より一層貢献してまいります。

  

 

以上

 

<参考資料>

1. 「エクフィナ錠50mg」(一般名:サフィナミドメシル酸塩 以下、サフィナミド)について

 サフィナミドは、選択的なモノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害作用により、分泌されたドパミンの分解を抑制してドパミンの脳内濃度維持を助けます。また、ナトリウムイオンチャネル阻害作用を介したグルタミン酸放出抑制作用を有することから、本剤は、ドパミン作動性作用と非ドパミン作動性作用を併せもつ新たなパーキンソン病治療剤として期待されています。

 サフィナミドは、Newron Pharmaceuticals S.p.A.(本社:イタリア、ミラノ)が創製・開発し、2011年にMeijiとの間で日本およびアジアにおける独占的な開発、製造および販売に関するライセンスについて合意しています。当社は、2017年3月にMeijiと締結したライセンス契約に基づき、日本における本剤の独占的販売権とアジア*における独占的開発・販売権を保有します。サフィナミドは、「Xadago」の製品名で欧州(15カ国)、米国、オーストラリア等で販売されており、カナダでは「Onstryv」の製品名で販売されています。

 * 韓国、台湾、ブルネイ、カンボジア、ラオス、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、シンガポール、香港、マカオ

 

2. パーキンソン病について

 パーキンソン病は、ドパミン神経系の変性・脱落により、脳内の神経伝達物質であるドパミンが減少することで、手足の震え、筋肉の固縮、小刻みな歩行などの運動症状および痛みを含む感覚障害、睡眠障害、自律神経不全などの非運動症状を生じる神経変性疾患です。日本神経学会によると、日本のパーキンソン病患者様数は約20万人と推計されています1。アジアにおける患者様数は約300万人と推定されています2。高齢化に伴い、患者様数は年々増加する傾向にあります3。パーキンソン病治療剤としては、脳内で不足したドパミンを補うレボドパ含有製剤が広く利用されます。しかし病気の進行に伴い、レボドパ含有製剤の効果持続時間(オン時間)が短くなり、次の服薬前にパーキンソン病の症状が現れることがあります(wearing off現象)。wearing off現象の改善には、レボドパ含有製剤と異なる作用機序の薬剤が併用されます。

 

3. Meiji Seika ファルマ株式会社について

 Meiji Seika ファルマは、人びとの「健康」と「いのち」を守るため、感染症治療薬・中枢神経系疾患治療薬・ジェネリック医薬品の3つの柱を軸に、国際展開力を有する「スペシャリティ&ジェネリック・ファルマ」として多様な医療ニーズに応えていきます。

 詳細についてはhttps://www.meiji-seika-pharma.co.jp/index.html をご覧ください。

 

 

1日本神経学会 パーキンソン病診療ガイドライン 2018

2 E Ray Dorsey et al. Global, regional, and national burden of Parkinson’s disease, 1990–2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016 Lancet Neurol. 2018;17:939–53

3 難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/