エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.
「レンビマ®」と「キイトルーダ®」との併用療法について、米国FDAにより子宮内膜がんに係る適応でブレイクスルーセラピーに指定マイクロサテライト不安定性が低頻度または陰性、あるいはDNAミスマッチ修復機能を有し、前治療歴がある進行性または転移性の子宮内膜がん

エーザイ株式会社
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とMerck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.(NYSE:MRK、Chairman and CEO:Kenneth C. Frazier、北米以外ではMSD)は、このたび、エーザイ創製の経口マルチキナーゼ阻害剤「レンビマ®」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)とMerck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗PD-1抗体「キイトルーダ®」(一般名: ペムブロリズマブ)との併用療法による、マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability: MSI)が 低頻度または陰性、 あるいはDNA ミスマッチ修復機能(proficient mismatch repair: pMMR)を有し、少なくとも1回の全身治療歴のある進行性または転移性の子宮内膜がんに係る適応で米国食品医薬品局(FDA)より、ブレイクスルーセラピーの指定を受けましたのでお知らせします。

 「レンビマ」と「キイトルーダ」との併用療法は、2018年3月に発表されたエーザイとMerck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.の戦略的提携に基づき、両社が共同開発しています。「レンビマ」のブレイクスルーセラピー指定は今回で3回目であり、そのうち「レンビマ」と「キイトルーダ」との併用療法におけるブレイクスルーセラピー指定は、2018年1月にお知らせした腎細胞がんに係る適応に続いて2回目となります。

 ブレイクスルーセラピーとは、重篤なあるいは命にかかわる疾患に関する薬剤の開発および審査の促進を目的とした米国FDAの制度です。この指定を受けるためには、一つ以上の臨床的に重要な評価項目において、既存の治療法と比較し、当該薬剤の顕著な改善を示す予備的臨床エビデンスが必要です。ブレイクスルーセラピーの指定を受けることのベネフィットとしては、効率的な開発計画のための助言、審査迅速化のための当局シニアマネージャーや経験豊富な担当者へのアクセス、そしてプライオリティーレビューのみならず、審査資料の段階的提出・審査(ローリング・サブミッション)などの制度が利用可能になります。

 今回のブレイクスルーセラピーの指定は、111試験/KEYNOTE-146試験のうち、子宮内膜がんコホートに関する中間解析結果に基づくもので、6月に米国シカゴで開催された「第54回米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology: ASCO)年次総会」において発表しています1,2。固形がんを対象とした本試験は、「レンビマ」と「キイトルーダ」との併用療法の有効性と安全性を評価する多施設共同、非盲検、単群、バスケット型の臨床第Ⅰb/Ⅱ相試験です。

Merck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.のシニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynes博士は、「今回、2回目のブレイクスルーセラピーに指定された「レンビマ」と「キイトルーダ」との併用療法は、エーザイとの共同研究における、さらなる一歩です。今後、11種類以上のがんに対する本併用療法の評価を進めていきます。両社は、引き続き、進行性子宮内膜がんに対する「レンビマ」と「キイトルーダ」との併用療法に関する堅牢なデータを蓄積することで患者様に新たな治療の選択肢を提供し、重要なアンメットニーズの充足をめざしてまいります」と述べています。

エーザイ株式会社の執行役 オンコロジービジネスグループ チーフメディスンクリエーションオフィサーである大和隆志博士は、「新たな治療選択肢を必要とする患者様に貢献すべく、「レンビマ」と「キイトルーダ」との併用療法に関する知見をできる限り効果的に得るために111試験をデザインしました。今回のFDAによるブレイクスルーセラピーの指定を受け、患者様を第一とするヒューマン・ヘルスケア 企業として新たな治療選択肢を必要とする子宮内膜がんの患者様に、本併用療法を一日も早く提供できるよう全力を尽くしてまいります」と述べています。

 以上 

本件に関する報道関係お問い合わせ先

  • エーザイ株式会社

    PR部

    TEL:03-3817-5120

    FAX:03-3811-3077

<参考資料> 

1. 111試験/KEYNOTE-146試験について
 米国および欧州(EU)で実施されている本試験は、「レンビマ」と「キイトルーダ」との併用療法の有効性と安全性を評価する多施設共同、非盲検、単群、バスケット型の臨床第Ⅰb/Ⅱ相試験です。臨床第Ⅰb相パートでは、最大耐性量の決定を主要目的とし、標準治療後に進行した、または適切な治療法がない固形がん(腎細胞がん、子宮内膜がん、非小細胞肺がん、尿路上皮がん、頭頸部がん、メラノーマ)の患者様を対象に、「レンビマ」は24mg/日の用量を経口投与し、「キイトルーダ」は3週ごと200mgを静脈内投与しました。なお、「レンビマ」は患者様の状態により適宜減量し、患者様はMSIまたはPD-L1の腫瘍マーカーの値によらず選択されました。臨床第Ⅱ相パートでは、腫瘍免疫療法の効果判定基準であるimmune-related RECIST(irRECIST)を用いた主治医判定により、投与24週時点の奏効率(ORRweek24)を主要評価項目として、また、奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、そして完全奏効および部分奏功の基準を満たした患者様に関する奏効期間(DOR)などを副次評価項目として評価しています。なお、本試験はすでに治療を受けた転移性子宮内膜がんの患者様53名を対象とし、子宮内膜がんコホートでの評価を行いました。現在、本試験は、子宮内膜がんコホートの症例数を拡大した臨床第Ⅱ相パートが進行中です。また、再発性子宮内膜がんを対象とした、無作為化、グローバル、2アームによる臨床第III相試験が進行中です(309試験 / KEYNOTE-775、 NCT03517449、詳細はclinicaltrials.govをご覧ください)。なお、本試験は、エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の戦略的提携に基づき、両社が共同で実施しています。

 
2. 子宮内膜がんについて
   
 子宮内膜がんは、子宮の内膜部位(子宮内膜)に発生し、子宮のがんのほとんどは子宮内膜がんです3。米国では、2018年には63,230人が新たに子宮がんと診断され、11,350人が亡くなられると推計されています4。子宮内膜がんはステージ1から4までの病期ステージに分類されます5。子宮内膜がんステージ1Aと診断された患者様の5年生存率は88%ですが、ステージ4Bと診断された患者様では15%に低下します6

   

3. エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.による戦略的提携について  
 2018年3月に、エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.はレンビマのグローバルな共同開発および共同販促をおこなう戦略的提携に合意しました。本合意に基づき、レンビマについて、単剤療法およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗PD-1抗体「キイトルーダ」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法における共同開発、共同販促を行います。併用療法については、既に実施している臨床試験に加え、6種のがん(子宮内膜がん、非小細胞肺がん、肝細胞がん、頭頸部がん、膀胱がん、メラノーマ)における11の適応取得を目的とした臨床試験、さらに6種のがんに対するバスケット型臨床試験を共同して同時並行で実施します。「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法については、現在、臨床の試験段階にあり、その有効性と安全性を精査中です。また、現時点で承認された「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法の適応はありません。

 

4.「レンビマ」(一般名: レンバチニブメシル酸塩)について    
 「レンビマ」は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、エーザイが創製した新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤であり、現在、エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.が共同開発しています。

 現在、本剤は、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州など50カ国以上で承認を取得しています。また、米国、欧州など40カ国以上で、腎細胞がん(二次治療)に対するエベロリムスとの併用療法に係る承認も取得しています。欧州での腎細胞がんに係る適応については「Kisplyx®」の製品名で発売しています。

 さらに、日本において「根治切除不能な肝細胞がん」の適応を取得しています。肝細胞がんに係る適応について、米国・欧州 (2017年7月)、中国(同年10月)、および台湾(同年12月)などにおいて承認申請中です。

  

5. 「キイトルーダ」(一般名:ペムブロリズマブ)について    
 「キイトルーダ」は、T細胞に主に発現する受容体であるPD-1と、腫瘍細胞に発現するそのリガンドPD-L1およびPD-L2の相互作用を阻害する抗体です。「キイトルーダ」はPD-1に結合し、この受容体とリガンドとの結合を阻害することによって、T細胞に生じたPD-1経路を介する抗腫瘍活性の抑制を解除します。

 

6. エーザイ株式会社について    
 エーザイは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する 「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「がん」「神経領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界で約 1 万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

また、当社は開発途上国・新興国における医薬品アクセスの改善に向け主要なステークホルダーズとの連携を通じ積極的な活動を展開しています。

 エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jp をご覧ください。

 

7. Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.について    
 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は 1 世紀以上にわたり、バイオ医薬品のグローバルリーダー企業として人々の生命を救い、生活を改善するために、世界で最も治療が困難な病気のための革新的な医薬品やワクチンの製造に取り組んできました。Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は、米国およびカナダ以外の地域では MSD の名称で知られています。医療用医薬品、ワクチン、バイオ医薬品およびアニマルヘルス製品の提供を通じてお客様と協力し、世界 140 カ国以上で事業を展開して革新的なヘルスケア・ソリューションを提供しています。また、さまざまなプログラムやパートナーシップを通じて、医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。Merck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.は今も、がん、生活習慣病、新種の動物病、アルツハイマー病、HIV やエボラなどの感染病をはじめとして、世界中で人々の命やコミュニティを脅かしている病気の治療や予防のために、研究開発の最前線に立ち続けています。詳細については当社ウェブサイト www.merck.com や Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の Twitter、Facebook、YouTube、LinkedIn をご参照ください。

 

8. Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の将来に関する記述     
 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(以下、当社)が発行した本リリースには、米国の 1995 年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、当社の経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、当社による将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対する当社の特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。当社は、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、当社に関する Form 10-K の 2017 年度年次報告書および SEC のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できる米国証券取引委員会(SEC)に対するこの他の書類で確認できます。

   

1 Makker V, et al. Lenvatinib + pembrolizumab in patients with advanced endometrial cancer: Update results. ASCO Meeting Abstract, 2018; #5596

2 Makker V, et al. Biomarker results and preclinical rationale for combination lenvatinib and pembrolizumab in advanced endometrial carcinoma. ASCO Meeting Abstract, 2018; #5597

3 American Cancer Society. What Is Endometrial Cancer. https://www.cancer.org/cancer/endometrial-cancer/about/what-is-endometrial-cancer.html.

4 American Cancer Society. Key Statistics for Endometrial Cancer. https://www.cancer.org/cancer/endometrial-cancer/about/key-statistics.html.

5 American Cancer Society. Endometrial Cancer Stages. https://www.cancer.org/cancer/endometrial-cancer/detection-diagnosis-staging/staging.html.

6American Cancer Society. Endometrial Cancer Survival Rates, by Stage. https://www.cancer.org/cancer/endometrial-cancer/detection-diagnosis-staging/survival-rates.html.