アルツハイマー病協会国際会議2018(AAIC2018)においてエーザイのアルツハイマー病/認知症領域の開発品に関する最新データを発表BAN2401の臨床第Ⅱ相試験結果の口頭発表に加え、elenbecestatの臨床第Ⅱ相試験結果など、合計13演題の発表を予定

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、2018年7月22日から26日まで米国イリノイ州シカゴで開催されるアルツハイマー病協会国際会議(Alzheimer's Association International Conference: AAIC2018)において、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体BAN2401の臨床第Ⅱ相試験(201試験)および経口βサイト切断酵素(BACE)阻害剤elenbecestat(開発コード:E2609)の臨床第Ⅱ相試験(202試験)結果に加え、抗Aβ抗体aducanumabをはじめとする当社のアルツハイマー病/認知症パイプラインに関する最新データについて、合計13演題の発表を行いますのでお知らせします。当社は、BAN2401、elenbecestatおよびaducanumabについて、バイオジェン・インク (本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、以下 バイオジェン)と共同で開発しています。

 BAN2401については、今月10日の公表のとおり、Late Breaking Abstractとして、早期アルツハイマー病(軽度認知障害から軽度アルツハイマー病)を対象とした201試験(ClinicalTrials.gov identifier NCT01767311)の結果について口頭発表を予定しています。本試験については、事前設定した18カ月時点の有効性を評価するエンドポイントである臨床症状の評価指標ADCOMS (Alzheimer’s Disease Composite Score)での進行抑制およびバイオマーカーエンドポイントであるアミロイドPETによる脳内アミロイド蓄積量減少を統計学的有意差をもって達成したことを今月6日に公表しています。本試験は、臨床症状および脳内Aβ蓄積の両エンドポイントで疾患修飾効果を世界で初めて後期臨床試験で実証した試験となります。最も頻度高く報告された有害事象は注射に伴う反応とアミロイド関連画像異常(ARIA)でした。
 なお、本発表は、ウェブキャストによりライブ配信される予定です。ライブ配信には、エーザイコーポレートサイトの下記URLよりアクセスが可能です。
 https://www.eisai.co.jp/ir/index.html

 Elenbecestatについては、同じくLate Breaking Abstractとして、軽度認知障害および軽度から中等度のアルツハイマー病を対象とした202試験(ClinicalTrials.gov identifier NCT02322021)結果のポスター発表を予定しています。本試験については、2018年6月6日に、18カ月投与時のトップラインにおいて、安全性と良好な忍容性を示すとともに(主要目的)、アミロイドPETによる脳内Aβレベルの統計学的に有意な減少を示した(探索目的)ことを公表しています。また、臨床症状に対する有効性については、統計学的に有意ではありませんでしたが、臨床症状評価スケールにおいて、臨床的に重要な変化と考えうる数値的な悪化抑制が観察されました。頻度が高く報告された有害事象(上位6つ)は、接触性皮膚炎、上気道感染、頭痛、下痢、転倒、皮膚炎でした。Elenbecestatについて、現在、当社とバイオジェンは、早期アルツハイマー病を対象とした2つの臨床第Ⅲ相試験(MISSION AD1/2)を実施中です。

 Aducanumabについては、バイオジェンが実施している臨床第Ⅰb相試験の長期継続投与に関する口頭発表およびポスター発表が予定されています。Aducanumabについて、現在、当社とバイオジェンは、2つの臨床第3相試験(ENGAGE/EMERGE)を実施中です。

 また、当社が創製し、レビー小体型認知症を対象としたフェーズⅡ/Ⅲ試験を単独で実施しているホスホジエステラーゼ9阻害剤E2027について、臨床第Ⅰ相試験結果に関する口頭発表および非臨床試験結果のポスター発表を予定しています。

 加えて、睡眠と覚醒を調整する薬剤として開発中のレンボレキサントについて、アルツハイマー型認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を対象とした臨床第Ⅱ相試験(202試験)におけるベースラインのデータに関する発表を予定しています。当社が創製したレンボレキサントは、2015年8月からPurdue Pharma L.P.(本社:米国コネチカット州、以下 Purdue Pharma)と共同開発を進めています。

 当社は、アルツハイマー病/認知症領域分野における30年以上の創薬活動の経験を基盤に、包括的なアプローチによる創薬研究を通じて、認知症の予防と治癒の実現をめざしています。革新的な治療薬を一日も早く創出し、アンメット・メディカル・ニーズの充足と患者様とそのご家族のベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

■AAIC2018における発表演題

※左右にスクロールできます

開発品・演題番号発表演題・予定日時(現地時間)
BAN2401
Abstract ID: 27531
口頭発表番号: DT-01-07
(Late Breaking Abstract)
抗アミロイドベータ プロトフィブリル モノクローナル抗体BAN2401による早期アルツハイマー病の治療における、有意なアミロイドプラークの減少と臨床症状の進行抑制
口頭発表:7月25日(水)15:30-16:00
Elenbecestat
Abstract ID: 27524
ポスター番号: P4-389
(Late Breaking Abstract)
BACE阻害剤Elenbecestat (E2609):アルツハイマー病に伴う軽度認知障害および軽度から中等度のアルツハイマー病を対象とした臨床第Ⅱ相試験結果
ポスター発表:7月25日(水)13:00-14:00
Elenbecestat
Abstract ID: 24768
ポスター番号: P1-040
新規BACE阻害剤elenbecestatの日本人および非日本人における反復投与時の薬物動態および忍容性の類似性
ポスター発表:7月22日(日)9:30-10:30
Aducanumab
Abstract ID: 22962
口頭発表番号: O1-09-06

抗アミロイドベータ・モノクロナール抗体Aducanumabを用いた無作為化臨床第Ⅰb相試験(PRIME)における24カ月時点のCDR(Clinical Dementia Rating)のベースラインからの変化
口頭発表:7月22日(日)15:15-15:30

Aducanumab
Abstract ID: 22959
ポスター番号:P1-041
抗アミロイドベータ・モノクロナール抗体Aducanumabを用いた無作為化臨床第Ⅰb相試験(PRIME)におけるAPOEε4保有者の24カ月解析
ポスター発表:7月22日(日)9:30-10:30
Aducanumab/アルツハイマー病全般
Abstract ID: 22897
ポスター番号:P1-339
アルツハイマー病診断前後における電子健康記録中の認知機能および他の神経心理学的評価
ポスター発表:7月22日(日)12:00-13:00
E2027
Abstract ID: 24975
口頭発表番号: O1-12-06
ホスホジエステラーゼ(PDE)9阻害剤E2027の臨床第Ⅰ相試験(反復投与試験):薬剤標的に対する作用の確認およびレビー小体型認知症を対象とした臨床第Ⅱ相試験の用量設定
口頭発表:7月22日(日)17:30-17:45
E2027
Abstract ID: 24835
ポスター番号: P1-055
レビー小体型認知症治療剤として開発中の新規PDE9阻害剤E2027:ジルチアゼムとの薬物相互作用について
ポスター発表:7月22日(日)9:30-10:30
E2027
Abstract ID: 24657
ポスター番号: P3-062
ラット脳脊髄液中のCyclic GMPレベルに対する新規PDE9阻害剤E2027の反復投与の影響
ポスター発表:7月24日(火)9:30-10:30
レンボレキサント
Abstract ID: 21595
ポスター番号: P3-015
アルツハイマー型認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)におけるアクチグラフによる概日リズムの測定
ポスター発表:7月24日(火)9:30-10:30
アルツハイマー病全般
Abstract ID: 25196
ポスター番号: P1-361
早期アルツハイマー病における機能評価:Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative (ADNI) 3におけるFinancial Capacity Instrument Short Form (FCI-SF)の解析結果
ポスター発表:7月22日(日)12:00-13:00
アルツハイマー病全般
Abstract ID: 23164
ポスター番号: P4-075
「Lumipulse® G Total Tau」による総タウ蛋白とアミロイドベータ1-42の比率によるアミロイド陽性スクリーニングの閾値の決定
ポスター発表:7月25日(水)9:30-10:30
アルツハイマー病全般
Abstract ID: 27140
ポスター番号: P4-291
アミロイドPETイメージング剤FlorbetapirのSUVR(Standard Uptake Value Ratio)によるプロドローマルアルツハイマー病の臨床進行状態の予測
ポスター発表:7月25日(水)13:00-14:00

以上

<参考資料>

 

1. BAN2401について

 BAN2401は、バイオアークティックとエーザイの共同研究から得られた、アルツハイマー病に対するヒト化モノクローナル抗体です。アルツハイマー病を惹起させる因子の一つと考えられている、神経毒性を有する可溶性のAβ凝集体に選択的に結合して無毒化し、脳内からこれを除去するモノクローナル抗体です。本抗体による治療アプローチは、疾患病理への作用と症状の進行抑制が期待されています。エーザイは、本抗体について、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるアルツハイマー病を対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を獲得しています。

 

2. Elenbecestat(一般名、開発コード:E2609)について

 Elenbecestatは、次世代経口アルツハイマー病(AD)治療剤として開発しているエーザイ創製のBACE阻害剤です。BACEはアミロイド前駆体タンパク質のβサイトを切断するAβ産生の律速酵素です。ElenbecestatはBACEを阻害することで、Aβの総量を低下させ、ADの進行を抑制する疾患修飾作用が期待されています。現在、ADに伴う軽度認知障害から軽度のAD(総称して早期AD)を対象とした2つのグローバル臨床第Ⅲ相試験(MISSION AD1/2)が進行中です。本剤の米国での開発については、重篤な疾患に対する新たな治療法やアンメット・メディカル・ニーズを満たす可能性のある薬剤について、米国食品医薬品局(FDA)が迅速に審査するファストトラック指定を受けています。

3. Aducanumab(BIIB037)について

 アルツハイマー病の治療薬として開発中の治験薬です。Aducanumabは、リバース・トランスレーショナル・メディシン(RTM)と呼ばれるNeurimmune社のテクノロジー・プラットフォームを用いて作成されたヒト遺伝子組換えモノクローナル抗体(mAb)であり、認知障害の兆候のない健康な高齢者、または進行が異常に遅い認知機能障害のある高齢者から採取した、非特定化B細胞ライブラリーに由来します。バイオジェンは、Neurimmune社より共同開発およびライセンス契約締結のもとにaducanumabを導入しました。

 Aducanumabは、可溶性オリゴマーと不溶性線維などが凝集してアミロイドプラークを形成しうる形態のAβを標的とすると考えられています。これらのAβは、アルツハイマー病患者の脳内でアミロイドプラークを形成します。非臨床データおよびこれまでに得られた臨床第Ⅰb相試験データに基づき、aducanumab投与はアミロイドプラークのレベルを下げることが示されています。

 2017年4月にaducanumabは厚生労働省の先駆け審査指定制度の対象となっています。2016年9月に米国食品医薬品局(FDA)のファストトラック指定、2016年8月には欧州医薬品庁(EMA)のPRIME(プライオリティー・メディシンズ)制度の対象になっています。

 2017年10月に、エーザイとバイオジェンはaducanumabの共同開発・共同販促に関るグローバルな提携に合意しました。

4. エーザイとバイオジェンによるアルツハイマー病領域の提携内容について

 エーザイとバイオジェンは、アルツハイマー病治療剤の共同開発・共同販売に関して、幅広い提携を行っています。BACE阻害剤elenbecestatと抗Aβプロトフィブリル抗体BAN2401についてはエーザイ主導のもとで、抗Aβ抗体aducanumabについてはバイオジェン主導のもとで、グローバルでの承認取得に向けた開発を進め、承認取得後は米国、欧州(EU)、日本といった主要市場で共同販促を行います。

5. E2027について

 E2027は、自社創製の選択的なホスホジエステラーゼ(PDE)9阻害剤です。PDE9阻害作用により、細胞内のシグナル伝達に重要なサイクリックGMP(環状グアノシン一リン酸:cGMP)の分解を抑制し、cGMPの脳内濃度維持することにより、レビー小体型認知症に対する新たな治療薬になることを期待しています。

6. レンボレキサント(一般名、開発コード:E2006)について

 レンボレキサントは、自社創製の新規低分子化合物で、オレキシン受容体の2種のサブタイプ(オレキシン1および2受容体)に対し、オレキシンと競合的に結合する拮抗剤です。不眠障害では、オレキシンが関与する睡眠・覚醒の制御機構が正常に働いていない可能性があります。正常な睡眠時はオレキシン作動性神経が抑制されることから、オレキシンによる神経伝達の阻害により睡眠導入や睡眠維持をはかることができる可能性があり、エーザイとPurdue Pharmaは、レンボレキサントを複数の睡眠障害を対象とした臨床試験での開発を進めています。

 また、軽度、中等度アルツハイマー型認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を対象とした臨床第Ⅱ相試験が進行中です。