新規結核治療薬の開発に向けてブロード研究所、コロラド州立大学、シカゴ大学と共同研究契約を締結

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、ブロード研究所(Broad Institute、所在地:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)、コロラド州立大学(Colorado State University、所在地:米国コロラド州フォート・コリンズ)のマイコバクテリア研究所、シカゴ大学(University of Chicago、所在地:米国イリノイ州シカゴ)と、新規結核治療薬の開発に向けた共同研究契約を締結しましたのでお知らせします。

 

 本共同研究プログラムでは、ブロード研究所の多様性指向型合成(DOS)化合物ライブラリーから同定された化合物群を用いて、結核治療薬としてより優れた化合物をデザインします。本研究により、結核菌の生存に必須な酵素であるトリプトファン合成酵素を阻害する新規作用機序によって、抗結核作用を発揮する化合物の創出をめざします。

 

 結核は、死亡者数が最も多い10 疾患の一つであり、2016年には、世界で1,040万人が新たに結核に感染し、170万人が命を落としたと報告されています1。既存の結核治療薬は数十年前に導入されたもので、治療に6~9ヶ月を要するため服薬順守に課題があるとともに、世界の各地域で既存の結核治療薬に対する耐性が生じています。そのため、より短期間で治療可能な新規作用機序の新薬開発が喫緊の課題となっています。

 

 本共同研究プログラムは、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)の助成金交付対象として採択されました。なお、本共同研究プログラムのアドバイザーをTBアライアンスが務めています。

 

 当社はヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念のもと、政府や国際機関、非営利民間団体などと積極的にパートナーシップを締結して、結核やマラリア、顧みられない熱帯病に苦しんでいる患者様とそのご家族に貢献する新たな治療法の早期開発をめざしてまいります。

以上

<参考資料>

 

1. ブロード研究所について

 マサチューセッツ工科大学とハーバード大学とが共同で運営しているブロード研究所(Broad Institute)は、創造的な科学者による医療変革を奨励するために2004年に発足しました。ブロード研究所は、生命活動に繋がる全ての分子成分の表出、主なヒトの疾患のもととなる分子標的の発見、効果的で新しい診断や治療へのアプローチの開発、およびそれら発見・ツール・方法・データの科学者コミュニティーへの拡散に取り組んでいます。
ブロード研究所は、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、ハーバード大付属病院、ロサンゼルスのビジョナルな篤志家のEliとEdythe L. Broad夫妻によって設立されました。同研究所は、研究施設、プロフェッショナルな職員、およびマサチューセッツ工科大学とハーバード大学のバイオメディカル研究集団の学生からなり、40カ国以上にわたる100以上の官民機関と連携しています。詳細は、www.broadinstitute.orgをご覧ください。

 

2. コロラド州立大学について

 1870年にコロラド農業大学として創設されたコロラド州立大学(Colorado State University)は、米国有数の総合大学の一つです。現在、33,000名の学生と、8つの大学で働く1,800名の職員からなっています。 
コロラド州立大学は、米国トップランクの研究組織であり、メディカルスクールを除く研究費用において米国の総合大学ランキングで常にトップの一つです。2017年度のコロラド州立大学の研究費用は合計3.38億米ドルであり、10年にわたり3億米ドル以上の予算を獲得してきました。詳細は、www.colostate.eduをご覧ください。

  

3. シカゴ大学について

 シカゴ大学(The University of Chicago)は、1890年に創設された、新たな考え方の開拓をめざす米国有数の学術研究機関です。優れた学術研究環境により、世界中から研究者や生徒が集っており、シカゴのハイドパーク地域を本拠として世界中に施設があります。シカゴ大学には、際立った教育能力、従来の考え方に対する挑戦および世界的に影響を与える新たな見解やブレークスルーをもたらす研究を促進しています。

 

4. 公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)について

 公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、グローバルヘルス分野の製品開発に特化した世界初の官民パートナーシップとして、日本政府(外務省、厚生労働省)、製薬企業などの民間企業、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム・トラスト、国連開発計画が参画する、国際的な非営利組織です。GHIT Fund は2013 年4 月に設立され、世界の最貧困層の健康を脅かす感染症と闘うために、製品開発パートナーシップへの投資ならびに、ポートフォリオマネジメントを行っています。開発途上国に蔓延するHIV/AIDS、マラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症の制圧を目指し、日本と海外の研究機関の連携促進を行い、製品開発パートナーシップへの投資を通じて新薬開発を推進しています。詳しくは、www.ghitfund.org をご覧ください。

  

5. TBアライアンスについて

 TBアライアンスは結核(tuberculosis:TB)と闘うために即効性のある低価格な治療薬レジメンを見出すことをめざす非営利団体です。革新的科学と世界中のパートナーとの協働を通じて、より早くより良い結核根治へのアクセスを公平に確保することで、グローバルに健康と繁栄を促進することをめざしています。

 TBアライアンスは、オーストラリア外務貿易省、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ドイツ連邦教育科学研究技術省、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金、アイルランド政府による開発プログラムIrish Aid、インドネシアヘルスファンド、米国国立アレルギー・感染症研究所、オランダ外務省、英国国際開発省、米国国際開発庁、米国食品医薬品局から支援を受けています。

 

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