自社開発中の抗がん剤「E7777」欧米と一部新興国における権利をDr. Reddy's Laboratoriesに譲渡

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、Dr. Reddy's Laboratories Ltd.(以下 Dr. Reddy's社)に対して、開発中の抗がん剤「E7777」の日本とアジアを除く全世界の独占的な開発および販売権を譲渡する契約を締結しましたのでお知らせします。

本契約に基づき、当社が日本とアジアにおける開発と販売を行い、Dr. Reddy's社がその他の地域における開発と販売を行うことにより、「E7777」の開発加速と価値最大化の実現をめざします。なお、Dr. Reddy's社は、インドにおいて開発および販売を行うオプション権を有します。また、当社はDr. Reddy's社による承認取得や売上高達成に応じてマイルストンを受領します。

「E7777」は、インターロイキン2(IL-2)の受容体結合部分とジフテリア酵素の融合タンパク製剤であり、細胞表面上のIL-2受容体と特異的に結合し、細胞内に移行したジフテリア毒素がタンパク質合成を阻害します。現在、日本において、皮膚T細胞性リンパ腫および末梢性T細胞リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験が進行中です。また、米国においては、皮膚T細胞性リンパ腫を対象とした臨床第Ⅲ相試験の準備中です。

当社は、がん関連領域を重点領域の一つと位置づけており、新規抗がん剤によるがん治療の可能性を引き続き追求し、がん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1. E7777について

「E7777」は、インターロイキン2(IL-2)の受容体結合部分とジフテリア酵素の融合タンパク製剤であり、細胞表面上のIL-2受容体と特異的に結合し、細胞内に移行したジフテリア毒素がタンパク質合成を阻害します。

現在、日本において、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL: Cutaneous T-Cell Lymphoma)および末梢性T細胞リンパ腫(PTCL:Peripheral T-Cell Lymphoma)を対象とした臨床第Ⅱ相試験が進行中です。なお、米国においてCTCLを対象とした臨床第Ⅲ相試験の準備中です。

2. Dr. Reddy's Laboratories Ltd.について

Dr. Reddy's Laboratories Ltd.(以下 Dr. Reddy's社)は、アフォーダブルで革新的な薬の提供をめざす総合製薬企業です。原薬、グローバルなジェネリックおよび新薬開発の3つのビジネスを通じて、原薬提供、バイオシミラーや新剤形を含む製品とサービスを提供しています。主な治療領域は、胃腸、心疾患、糖尿病、がん、疼痛、抗感染症薬です。Dr. Reddy's社は、グローバルに運営されている会社です。主なマーケットは、米国、ロシアおよびCIS諸国、ベネズエラ並びにインドです。Dr. Reddy's社についての詳細は、www.drreddys.comをご参照ください。

3. 皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL: Cutaneous T-Cell Lymphoma)について

皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)は、さまざまな病型を持つ皮膚原発性の非ホジキンリンパ腫の一種で、T細胞非ホジキンリンパ腫としてはもっとも一般的な疾患の一つです。T細胞(免疫機構に関与するリンパ球の一つ)の一部ががん化して、皮膚病変が起こり、疼痛や掻痒感などによって患者様のQOLは低下します。CTCLは、一般的に悪性度の低いリンパ腫ですが、緩徐に進行し、数年から十数年かけて腫瘍期へと進展します。腫瘍期に移行すると悪性度が高くなり、リンパ節や内臓に浸潤が見られ予後不良となるため、依然としてアンメット・メディカル・ニーズが非常に高い疾患の一つです。

4. 末梢性T細胞リンパ腫(PTCL:Peripheral T-Cell Lymphoma)

末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)は、T細胞非ホジキンリンパ腫の一種で、中悪性度に分類されます。進行期になってから発見されることが多く、リンパ節の腫れやしこりと発熱、大量の寝汗、体重減少などの症状がみられます。PTCLのうち、ALK陽性未分化大細胞リンパ腫は、20∼30歳代で発生し、予後が良く治癒しやすいという特徴がありますが、その他の病型では60歳前後に発症することが多く、予後不良や治療が難しい場合があり、依然として、アンメット・メディカル・ニーズが非常に高い疾患の一つです。