中心循環系血管内塞栓促進用補綴材「ディーシー ビーズ®」日本で多血性腫瘍又は動静脈奇形に対する動脈塞栓療法としての追加承認を取得収載手続き後に保険適用予定

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、日本において、中心循環系血管内塞栓促進用補綴材「ディーシー ビーズ®」(高度管理医療機器、以下 本品)について適応追加承認を取得し、使用目的又は効果が「多血性腫瘍又は動静脈奇形を有する患者に対する動脈塞栓療法」となりましたことをお知らせします。なお、今回取得した肝細胞癌以外の使用目的又は効果に対する保険適用は、特定保険医療材料としての収載手続き後となります。

本品は、BTGインターナショナルグループ傘下のBiocompatibles UK Limited (以下 Biocompatibles社)が開発した、架橋化ポリビニルアルコール高分子からなる親水性の球状微粒子であり、注入用カテーテルを通じて目標とする血管を選択的に塞栓するための血管塞栓用ビーズです。当社は、2009年7月に、Biocompatibles社から本品の日本における独占的開発および販売権を獲得した後、2013年4月に「肝細胞癌患者に対する肝動脈塞栓療法」を使用目的又は効果として製造販売承認を取得し、2014年2月より発売しています。

多血性腫瘍は、腫瘍組織に発達した血管網を介して栄養供給を受けている腫瘍の総称で、一般的に肝細胞癌、一部の転移性肝癌、腎細胞癌、骨軟部腫瘍、子宮筋腫などが知られています。一方、動静脈奇形は、動静脈が毛細血管を介さずに異常連結したことにより血液循環動態に異常をきたし、種々の機能障害、器質障害、発育障害等を惹起する先天性の血管奇形です。腫瘍組織に栄養供給している血管や奇形部位を選択的に塞栓することで、腫瘍の縮小・壊死効果や動静脈奇形に伴う症状の改善が期待できます。

本品は、厚生労働省の「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」において、多血性腫瘍および動静脈奇形の適応について、早期導入すべき医療機器として推奨されていました。これを受けて当社は、適応拡大のため、多血性腫瘍および動静脈奇形(中枢・心・肺を除く)を対象として、本品を用いた血管塞栓療法の有効性と安全性を確認する臨床試験を国内で実施しました。その結果、中心循環系血管内塞栓促進用補綴材としての性能、安全性を示唆する結果を得たため、2014年9月に、本使用目的又は効果の追加申請を行なっていました。

当社は、本品の適応拡大の承認を機に、患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1. ディーシー ビーズについて

本品は、架橋化ポリビニルアルコール高分子からなる親水性の球状微粒子であり、注入用カテーテルを通じて目標とする血管を選択的に塞栓するための血管塞栓用ビーズです。微細で均一な球状の粒子であるため、血管径や腫瘍の大きさ等の対象範囲に合わせた持続的な塞栓が可能になることが期待されています。本品を用いた塞栓は、X線透視下において標的血管の血流停滞を観察して確認します。本品には、粒子サイズの異なる3種の製品(100~300µm粒、300~500µm粒、500~700µm粒)があり、標的血管の血管径、腫瘍の大きさおよび塞栓範囲を考慮し、適切な粒子サイズを選択することができます。国内臨床試験において確認された主な有害事象は、塞栓術後症候群、リンパ球減少、便秘などです。日本では、2013年4月に「肝細胞癌患者に対する肝動脈塞栓療法」の適応を取得し、2014年2月より発売しています。

2. 多血性腫瘍について

多血性腫瘍は、腫瘍組織に発達した血管網を介して栄養供給を受けている腫瘍の総称で、一般的に、肝細胞癌、一部の転移性肝がん、腎細胞癌、骨軟部腫瘍、子宮筋腫などが知られています。これらのがん腫では腫瘍組織に栄養供給している血管を選択的に塞栓することで、腫瘍の縮小・壊死効果が期待できます。

3. 動静脈奇形について

動静脈奇形は、動静脈が毛細血管を介さずに異常連結したことにより血液循環動態に異常をきたし、種々の機能障害、器質障害、発育障害等を惹起する先天性の血管奇形です。基本的な治療法は奇形部位の外科的切除とされていますが、存在部位の機能や外見を温存して動静脈奇形を完全切除することは難しい場合が多く、再発も高頻度に見られます。血管塞栓術による治療では、奇形部位への異常血液流入を遮断することにより、血液循環動態を正常化するとともに、周辺正常血管の血流を回復させることにより、動静脈奇形に伴う症状の改善が期待できます。