中心循環系血管内塞栓促進用補綴材「ディーシー ビーズ®」を日本で新発売

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、日本において、中心循環系血管内塞栓促進用補綴材「ディーシー ビーズ®」(高度管理医療機器、以下、「本品」)を、2月4日に新発売いたします。

本品は、BTG インターナショナルグループ傘下のBiocompatibles UK Limited(以下、「Biocompatibles社」)が開発した、架橋化ポリビニルアルコール高分子からなる親水性の球状微粒子(マイクロスフィア)であり、注入用カテーテルを通じて目標とする血管を選択的に塞栓するための血管塞栓用ビーズです。肝細胞癌等に対する血管塞栓療法に用いる有用な血管塞栓材として、欧米を中心に世界50カ国以上で販売されています。

当社は、2009年7月にBiocompatibles社から、本品の日本における独占的開発および販売権を獲得した後、2013年4月に肝細胞癌患者に対する肝動脈塞栓療法を使用目的として製造販売承認を取得しました。本品は、2014年2月1日より特定保険医療材料として保険適用になりました。

当社グループは、日本において肝細胞癌の画像診断領域で使用する非イオン性造影剤「イオメロン®」ならびに非イオン性MRI用造影剤「プロハンス®」、肝細胞癌の腫瘍マーカーであるPIVKA-Ⅱの体外診断用医薬品「PIVKA-Ⅱキット」、および肝臓疾患用剤・アレルギー用薬「強力ネオミノファーゲンシー®」、「グリチロン配合錠®」を販売しています。このたびの「ディーシー ビーズ®」の新発売により、日本における肝臓疾患関連製品をさらに充実させ、肝細胞癌の患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上に一層貢献してまいります。

以上

[参考資料として、製品概要、ディーシー ビーズ®、肝動脈塞栓療法について、並びに製品写真を添付しています]

<参考資料>

1. 製品概要

※左右にスクロールできます

1)商品名: ディーシー ビーズ®
2)特定保険医療材料機能区分: 183 血管内塞栓材(3)動脈化学塞栓療法用
3)同機能区分の保険償還価格: 99,000円
4)使用目的、効能・効果: 肝細胞癌患者に対する肝動脈塞栓療法
5)使用粒子サイズ・使用量: 標的血管の血管径、腫瘍の大きさ及び塞栓範囲を考慮し、100~300µm粒、300~500µm粒及び500~700µm粒の3種の粒子サイズの製品から適切に選択し使用する。粒子サイズの選択及び使用量の決定は、造影により血管の走行像を確認しながら行うこと。原則として、1塞栓術あたりの総使用量は、1バイアル(球状微粒子として2mL)とするが、標的血管径及び範囲を考慮し増量を要する場合には、2バイアル(球状微粒子として4mL)以内を目処とする。
6)包装: 100~300µm粒 1バイアル(マイクロスフィア2mL含量)/1箱
300~500µm粒 1バイアル(マイクロスフィア2mL含量)/1箱
500~700µm粒 1バイアル(マイクロスフィア2mL含量)/1箱

2. ディーシー ビーズ®について

本品は、架橋化ポリビニルアルコール高分子からなる親水性の球状微粒子(マイクロスフィア)であり、注入用カテーテルを通じて目標とする血管を選択的に塞栓するための血管塞栓用ビーズです。微細で均一な球状の粒子であるため、血管径や腫瘍の大きさ等の対象範囲に合わせた持続的な塞栓効果が期待できます。本品を用いた塞栓は、X線透視下において標的血管の血流停滞を観察して確認します。このたび日本で発売する本品には、粒子サイズの異なる3種の製品(100~300µm粒、300~500µm粒、500~700µm粒)があり、標的血管の血管径、腫瘍の大きさおよび塞栓範囲を考慮し、適切な粒子サイズを選択することができます。

当社は、肝細胞癌に対する肝動脈塞栓療法の適応に加え、現在、日本において多血性腫瘍等に対する血管塞栓療法の臨床第Ⅲ相試験を実施しています。

  • 多血性腫瘍とは腫瘍組織に発達した血管網を介して栄養供給を受けている悪性腫瘍の総称で、一般的に、肝細胞癌、腎細胞癌、骨軟部腫瘍などの腫瘍疾患を指しています。

3. 肝動脈塞栓療法について

肝動脈塞栓療法は、肝細胞癌の栄養血管である肝動脈に塞栓物質を注入し、血流を途絶させることにより、選択的に肝細胞癌を阻血に導き、壊死させる治療法です。正常な肝細胞は、動脈血と門脈血の両者から血流を受けますが、肝細胞癌は腫瘍組織に発達した肝動脈を主体に動脈血流を受けています。従って、腫瘍の栄養血管である肝動脈を塞栓物質で選択的に塞栓することで、肝細胞癌に対する選択的な腫瘍壊死効果が期待されます。肝動脈塞栓療法には肝動脈塞栓療法(Transcatheter Arterial Embolization: TAE)と、補助的にがん細胞の活性抑制効果を期待して抗がん剤を併用する肝動脈化学塞栓療法(Transcatheter Arterial Chemoembolization: TACE)という2つの療法があります。

4. 製品写真

ディーシー ビーズ®