抗がん剤「HALAVEN®」の中東欧地域におけるファーマスイス社との販売提携

エーザイ株式会社(本社:東京、社長:内藤晴夫)は、英国子会社であるエーザイ・ヨーロッパ・リミテッドが、当社が創製・開発した抗がん剤「HALAVEN®」(一般名:エリブリン メシル酸塩)について、中東欧地域における販売提携契約をバリアント・ファーマスーティカルズ・インターナショナル社(本社:カナダ)の子会社であるファーマスイス社(本社:スイス)と締結したと、発表しました。

本剤は、前治療歴のある転移性乳がんの患者様において、単剤で統計学的に有意に全生存期間を延長した世界で初めての新規抗がん剤であり、「アントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤を含む少なくとも2種のがん化学療法による前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん」患者様に対する単剤療法として2011年3月に欧州委員会(European Commission)から承認され、現在、欧州11カ国において販売されています。

今回の契約に基づき、ファーマスイス社はブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、 ルーマニア、ハンガリー、スロベニアにおいて、「HALAVEN®」の販売活動を行います。ファーマスイス社は、中東欧地域における最大の医薬品販売代理店であり、これらの地域におけるレギュラトリー、コンプライアンス、販売、マーケティング、物流などに優れた専門的ノウハウを有しています。本提携により、当社が販売拠点を持たないこれら中東欧の国々の患者様に、革新的新薬である「HALAVEN®」をより迅速にお届けすることが可能となります。

当社は、さまざまなパートナーシップモデルを通して、医薬品のアフォーダビリティー(affordability:「購入し易さ」)、アベイラビリティー(availability:「入手の機会」)、アドプション(adoption:「服用の意向」)の向上をはかることにより、当社製品へのアクセスを改善し、世界のより多くの患者様とそのご家族の ベネフィット向上に貢献してまいります。

以上

[参考資料として、ファーマスイス社の概要、HALAVEN® 注射剤、転移性乳がんについて添付しています]

<参考資料>

1)ファーマスイス社(PharmaSwiss SA)の概要

ファーマスイス社はバリアント・ファーマスーティカルズ・インターナショナル社傘下のスイスのツークを 本拠とするブランドジェネリック、OTC製品を取り扱う製薬企業であり、ポーランド、ハンガリー、チェコ、セルビアをはじめとする中東欧諸国、ギリシャ、イスラエルに拠点を展開しています。また、多くの製薬企業やバイオ企業に対して、中東欧地域におけるレギュラトリー、コンプライアンス、販売、マーケティング、物流などに関する優れた専門的ノウハウを提供しています。

2)HALAVEN®(エリブリン メシル酸塩)注射剤について

HALAVEN® は、アントラサイクリン系ならびにタキサン系抗がん剤を含む少なくとも2種類の化学療法剤での前治療歴のある患者様を対象とする、転移性乳がんの治療を適応とする、新規の作用機序を有する非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤です。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出されたハリコンドリン類の全合成類縁化合物であり、微小管の短縮(脱重合)には影響を与えずに伸長(重合)のみを阻害し、さらに チューブリン単量体を微小管形成に関与しない凝集体に変化させる作用を有しています。

現在、新たな適応の拡大をめざし、前治療歴の少ない難治性乳がん、非小細胞肺がん、肉腫、前立腺がん など、他のがん種についても単剤での後期臨床試験が進行中です。

3)転移性乳がんについて

世界では、欧州での421,000人を含めて、100万人以上の女性が乳がんと診断されます。早期乳がんと診断された患者様の約30%が再発性・転移性へと移行し、10人に9人が5年間以上生存しますが、診断時に転移性が見られた患者様の場合は、10人に1人しか5年間以上生存しないといわれています。転移性乳がん患者様の過半数は、約18~24ヶ月という限られた期間の生存になります。