肥満症治療剤lorcaserinに関するFDAの審査完了報告通知に対する回答書をアリーナ社が提出

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、アリーナ・ファーマシューティカルズ・インク(Arena Pharmaceuticals, Inc. 本社:米国カリフォルニア州、社長:ジャック・リーフ、以下 アリーナ社)が、米国で申請中の肥満症治療剤lorcaserin(一般名)の新薬承認申請に関する米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)の審査完了報告通知(Complete Response Letter: CRL)に対する追加データを含む回答書を提出した、と発表しました。

Lorcaserinは、肥満症の患者様(BMI≧30)、または1つ以上の合併症を有する過体重の患者様(BMI≧27)の、体重減少を含む肥満症の治療剤として開発されている、アリーナ社創製の新規化合物です。当社の米国子会社であるエーザイ・インクは、アリーナ社のスイス子会社アリーナ・ファーマシューティカルズGmbH と、本剤に関する米国での独占的販売供給契約を締結しています。

提出された回答書は、FDAから2010年10月に発行されたCRLにおいて要求された事項に応えるものであり、2型糖尿病を有する患者様における体重減少に関してlorcaserinの有用性を評価したフェーズⅢ試験であるBLOOM-DM(Behavioral modification and Lorcaserin for Overweight and Obesity Management in Diabetes Mellitus)試験の解析データが新たに追加され、また、ラット癌原性試験結果に関して精査した解析結果を含んでいます。

FDAによる本回答書の受領後、新たな審査終了目標日としてPDUFA(Prescription Drugs User Fee Act)アクション・デートが設定される予定です。

以上

[参考資料として、lorcaserin、lorcaserinのフェーズⅢ試験概要、アリーナ・ファーマシューティカルズ・インク、
米国における肥満症の現状について、を添付しています]

<参考資料>

1.lorcaserinについて

lorcaserinはアリーナ社創製の化合物であり、選択的なセロトニン2C(5-HT2C)受容体アゴニストとして作用することが知られています。また、セロトニン2C受容体は、食欲や代謝を司る視床下部を含めた脳に発現しており、視床下部の5-HT2Cへの刺激は摂食抑制、飽食に強い関連を有していることが報告されています。

2.lorcaserin のフェーズⅢ試験概要について

本剤のフェーズⅢ試験は3つの二重盲検、無作為化、プラセボ対照比較試験、1) BLOOM(Behavioral modification and Lorcaserin for Overweight and Obesity Management)試験、2) BLOSSOM(Behavioral modification and LOrcaserin Second Study for Obesity Management)試験、3) BLOOM-DM (Behavioral modification and Lorcaserin for Overweight and Obesity Management in Diabetes Mellitus)試験が実施され、合計で約7,800人の患者様が登録されました。

BLOOM試験およびBLOSSOM試験では、肥満症の患者様(BMI≧30)、または1つ以上の合併症を有する過体重の患者様(BMI≧27)を対象としており、BLOOM試験(3,182人)では2年間以上、またBLOSSOM試験(4,008人)では1年間以上にわたり、プラセボを対照としたlorcaserinの有効性および安全性が評価されました。両試験において、lorcaserinはプラセボに比較し、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある体重減少を認め、良好な忍容性を示しました。最も多く報告された有害事象は、頭痛、上部呼吸器感染、鼻咽頭炎、眩暈、吐き気などです。BLOOM試験とBLOSSOM試験の総合解析データは、2010年6月に開催された第70回米国糖尿病学会の年次会で発表されました。また、2年間にわたり実施されたBLOOM試験の結果は、New England Journal of Medicine 2010年7月15日号に掲載されました。

BLOOM-DM試験(604人)では2型糖尿病を有する肥満または過体重の患者様を対象として、lorcaserinの効果が評価されました。本試験のトップラインの結果について、lorcaserinはプラセボに比較し、統計学的に有意な体重減少を示したことを、2010年11月9日にアリーナ社は発表しています。

3.アリーナ・ファーマシューティカルズ・インクについて

アリーナ・ファーマシューティカルズ・インクは、循環器、中枢系、炎症、代謝異常分野におけるGタンパク結合受容体、有効な創薬標的をターゲットとする、経口剤の発見、開発、商品化にフォーカスするバイオ製薬会社です。Arena Pharmaceuticals®およびArena®は、アリーナ・ファーマシューティカルズ・インクの登録商標です。

4.米国における肥満症の現状について

米国疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)によると、米国成人の 3分の2 以上は肥満又は過体重であるとされています。さらに、米国における肥満の割合は、1980年から2008年にかけて2倍以上(15%から34%)に増加しています。