抗悪性腫瘍剤「トレアキシン®点滴静注用100mg」、日本で新発売日本においてがん領域へ本格展開

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、日本において、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫ならびにマントル細胞リンパ腫を適応症とする、抗悪性腫瘍剤「トレアキシン®点滴静注用100mg」(一般名:ベンダムスチン塩酸塩、以下「トレアキシン®」)を12月10日に新発売しました。

本剤は当社にとって日本における抗がん剤の第一号製品となり、米国に続き、日本においてもがん領域へ本格展開することとなります。

本剤は、シンバイオ製薬株式会社(本社:東京都、社長:吉田文紀、以下、シンバイオ社)が本年10月27日に製造販売承認を取得し、12月10日に薬価収載されました。シンバイオ社と当社が締結した日本におけるライセンス契約に基づき、販売は当社が行います。

当社の日本におけるがん領域のプロモーション体制は、がん領域に特化した専門学術担当を各エリアに配置し、国内の全MR約1,400名が情報提供を行います。なお、本剤に関しては、承認条件として定められている特定使用成績調査(全例調査)を円滑に遂行し、本剤の有効かつ安全な適正使用を推進してまいります。

「トレアキシン®」は、アルキル化剤が有するナイトロジェンマスタード骨格と代謝拮抗剤様構造を有する新しいタイプの抗がん剤です。本剤は、日本の臨床試験において高い奏効率および長期の無増悪生存期間が認められ、優れた有効性が確認されました。特に、再発のマントル細胞リンパ腫に対する単剤投与では、高い完全寛解率が確認されました。また、主な副作用は、骨髄抑制、悪心、嘔吐、感染症、血管炎・血管痛などが報告されていますが、管理可能で忍容性が高い安全性プロファイルを示しています。なお、現在、適応追加をめざし、再発又は難治性の中高悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫および未治療の多発性骨髄腫を対象とした第Ⅱ相臨床試験をシンバイオ社が実施しています。

日本における非ホジキンリンパ腫の発症数は年間約12,000人と推定され、近年増加傾向であるとされています。その中で低悪性度の患者様では初期治療により寛解が見られても再発を繰り返す場合が多く、延命期間は長いものの完治する例は極めて少ないことが知られています。また、マントル細胞リンパ腫は、発症頻度の低い病型であり、進行した病期で見つかることが多く、標準治療はまだ確立していないとされています。

当社は、がん領域を最重点領域と位置付けており、日本での抗がん剤第一号製品となる「トレアキシン®」に続き、乳がんに係る適応で申請中の当社創製の新規抗がん剤「エリブリン」(一般名)など、今後、日本におけるがん関連疾患領域の製品の充実化をはかり、がん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足に一層貢献してまいります。

以上

[参考資料としてベンダムスチン塩酸塩と製品の概要、製品写真を添付しています]

<参考資料>

1.ベンダムスチン塩酸塩について

ベンダムスチン塩酸塩は、旧東ドイツのイエナファルマ社により合成された抗がん剤で、現在、欧州の各国において、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病などの治療剤として、「Ribomustin®」または「Levact®」の製品名で販売されています。米国では、慢性リンパ性白血病および再発性B細胞性非ホジキンリンパ腫の治療剤として「TREANDA®」の製品名で販売されています。

当社は、本剤に関してシンバイオ社と2008年8月に日本における共同開発および販売に係る独占的ライセンス契約、2009年5月にはシンガポールおよび韓国の2カ国を対象とした開発・販売に係る独占的ライセンス契約を締結しています。シンガポールでは当社のシンガポール子会社Eisai (Singapore) Pte. Ltd.が低悪性度非ホジキンリンパ腫および慢性リンパ性白血病の治療剤として「Symbenda®」の製品名で2010年9月から販売を開始しています。

2.「トレアキシン®」の製品概要

製品名:

トレアキシン点滴静注用100 mg

一般名:

ベンダムスチン塩酸塩

効能・効果:

再発又は難治性の下記疾患

低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫
マントル細胞リンパ腫

用法・用量:

通常、成人には、ベンダムスチン塩酸塩として120 mg/m2(体表面積)を1日1回1時間かけて点滴静注する。投与を2日間連日行い、19日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

薬価基準:

トレアキシン® 点滴静注用100 mg 1瓶 92,356円

3.製品画像

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