非イオン性造影剤「イオメロン® 350」「イオメロン® 350シリンジ」 肝臓領域のダイナミックコンピューター断層撮影における造影に関する 用法・用量等の追加承認を取得

エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)の関係会社であるブラッコ・エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:平野靖)は、このたび、非イオン性造影剤「イオメロン® 350」「イオメロン® 350シリンジ」(一般名:イオメプロール)について、肝臓領域のダイナミックコンピューター断層撮影(以下、肝臓ダイナミックCT)における造影に関する用法・用量の追加承認を取得しました。

あわせて、「イオメロン® 350シリンジ」の高容量製剤である135mL製剤の剤形追加承認も取得しました。(135mL製剤は薬価未収載)

肝臓がんなどを診断するための肝臓ダイナミックCTは、近年普及してきたマルチスライスCTを用いることで、肝臓すべての領域を1回の呼吸停止下で撮影でき、また短時間で高い造影効果を得ることが可能となりました。一方、そのために高濃度の造影剤を短時間で注入する、あるいは総投与量を増加させることが医療現場から求められていました。

イオメロン®の高濃度製剤である「イオメロン® 350」「イオメロン® 350シリンジ」は、今回の用法・用量の追加により、肝臓ダイナミックCTにおける造影では、体重に応じて1.8mL/kgを静脈内投与する(最大135mL)ことが可能となりました。これにより、マルチスライスCTを用いた肝臓ダイナミックCT撮影時に、造影剤の急速投与を行うことができるとともに、高体重の患者様にも十分な量を投与することが可能となりました。なお、より安全にご使用いただくためのデータを収集するために、今回承認された用法・用量に関する製造販売後調査を実施します。

当社およびブラッコ・エーザイは、「イオメロン®」の用法・用量ならびに高容量製剤の追加により、マルチスライスCTを用いた肝臓ダイナミックCTに対応することで、患者様の負担の軽減と肝臓疾患の診断能の向上に貢献してまいります。

以上

[参考資料として用語解説、製品概要を添付しています]

<参考資料>

1.用語解説

○肝臓領域のダイナミックコンピューター断層撮影(肝臓ダイナミックCT)

肝臓領域の造影CT(コンピューター断層法)として、動脈相、門脈相などの部位に応じて一定のタイミングで撮影する事により造影剤の動態を評価する、肝臓ダイナミックCTが用いられています。

肝臓は他の実質性臓器と異なり、肝動脈と門脈の二重の血流支配を受ける特徴があります。造影剤投与後、血管増生度の高い肝細胞がんや原発性腫瘍では動脈の血流が優位なため主に動脈優位相の造影で診断され、また、転移性肝がんでは主に門脈相の肝臓実質の造影で診断されます。

動脈相の造影効果を増強させるためには、造影剤の投与速度を速くするか、高濃度の造影剤を投与するかのいずれかを選択することが必要となります。また、門脈相の造影効果を増強させるためには、造影剤の総投与量を増加させるか、高濃度の造影剤を投与するかのいずれかを選択することが必要となります。

○マルチスライスCT

1列の検出器で1回転につき1スライスのデータを収集するCTスキャナに対し、マルチスライスCTは、体軸方向に並べた複数の検出器を備え、1回転で複数のスライスデータを収集できるコンピューター断層法のことをいいます。また、1列の検出器をらせん状に動かして撮影するヘリカルCTとは異なり、スライス画像間にズレが生じないこと、被爆量が少なくてすむだけでなく、撮影時間も大幅に短縮できることが特長です。呼吸を止めにくい乳幼児や高齢者および重篤な患者様の状態も鮮明に撮影ができます。

2.製品概要(用法・用量等の追加概要など)

(1)製品名、一般名

製品名:「イオメロン® 350」「イオメロン® 350シリンジ」

一般名:イオメプロール

(2)効能・効果(変更なし)

心臓血管撮影、胸部血管撮影、腹部血管撮影、四肢血管撮影、ディジタルX線撮影法による静脈性血管撮影、ディジタルX線撮影法による動脈性血管撮影、コンピューター断層撮影における造影、静脈性尿路撮影

(3)用法・用量 (下線部が今回の追加部分)

コンピューター断層撮影における造影:40~100mL 肝臓領域のダイナミックコンピューター断層撮影における造影の場合には、体重に応じて1.8mL/kgを静脈内投与することができる(最大投与量は135mLとする)。

(4)容量 (下線部が今回の追加部分)

イオメロン® 350 20mL

イオメロン® 350 50mL

イオメロン® 350 100mL

イオメロン® 350シリンジ 50mL

イオメロン® 350シリンジ 75mL

イオメロン® 350シリンジ 100mL

イオメロン® 350シリンジ 135mL(薬価未収載)

(5)特長など

「イオメロン®」は、イタリアのブラッコ社が開発した非イオン性ヨード造影剤です。同一濃度製剤と比べ低浸透圧、低粘度という特性を有しており、各種の血管撮影、コンピューター断層撮影、静脈性尿路撮影において臨床上の有用性が高い造影剤です。日本では、バイアル製剤を1994年5月より販売し、1996年6月にシリンジ製剤を追加しています。製造販売元はブラッコ・エーザイ株式会社、販売元はエーザイ株式会社です。

「イオメロン®」は、日本を含めて世界42カ国で承認されています。(2007年6月現在)

(6)製造販売元・販売元

製造販売元:ブラッコ・エーザイ株式会社

販売元:エーザイ株式会社

3.非イオン性造影剤「イオメロン®」シリーズ ([ ]内は容量、下線部は今回の追加部分)

イオメロン® 300(尿路・CT・血管用)[20mL、50mL、100mL]

イオメロン® 350(尿路・CT・血管用)[20mL、50mL、100mL]

イオメロン® 400(尿路・血管用)[20mL、50mL、100mL]

イオメロン® 300シリンジ(尿路・CT・血管用)[50mL、75mL、100mL]

イオメロン® 350シリンジ(尿路・CT・血管用)[50mL、75mL、100mL、135mL(薬価未収載)