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- 2026年7月14日
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、このたび、抗MTBR抗体etalanetug(開発コード:E2814)が、アルツハイマー病(AD)におけるタウ凝集体病理を反映する重要なバイオマーカーである 血液中eMTBR-tau243 のレベルを低下させたことを示す最新の研究結果を発表したことをお知らせします。
Etalanetugは、タウタンパク質の微小管結合領域(MTBR)に結合し、タウ病理のシード形成と伝播を阻止する可能性を有する治験薬です。タウ凝集体はADの代表的な病理所見の一つであり、記憶障害、認知機能の低下、および疾患の進行と強く関連していると考えられています1。
これらの研究成果は、ロンドンおよびオンラインで開催中のAlzheimer's Association International Conference(AAIC)2026において、「アミロイドに次ぐメカニズム:Etalanetugが顕性遺伝性アルツハイマー病(DIAD)においてタウ凝集体特異的な血液バイオマーカーeMTBR-tau243を低下させる」と題したFeatured Research Sessionで発表されました。
eMTBR-tau243を測定する高感度の血液バイオマーカーは、脳脊髄液(CSF)検査やPET(陽電子放出断層撮影)検査に代わる手法となる可能性を持つ検査法として開発されました。
本解析では、臨床第Ⅰb/Ⅱ相103試験(NCT04971733)に参加したDIAD 当事者様を対象に、etalanetug投与後における血液中のタウバイオマーカーの変化を評価するとともに、その変化をCSF中のバイオマーカーの変化と比較しました。
主な研究結果
血液中eMTBR-tau243は、脳内のタウ病理に由来する疾患特異的な病理変化を反映
- Etalanetugは、CSF中のeMTBR-tau243を、投与3カ月後に62%、9カ月後に89%低下させました。
- また、etalanetugは、血液中のeMTBR-tau243を、投与3カ月後に78%、9カ月後には90%以上低下させました。これらの結果は、CSFで認められるADに伴う変化を血液中eMTBR-tau243がよく反映していることを示しています。
- 一方で、血液中のリン酸化タウ(p-tau217、p-tau181、p-tau231)および総タウは、etalanetug投与後、DIAD当事者様および健常人のいずれにおいても増加しました。この変化は、末梢組織に由来する非中枢性のタウ種が血液中のetalanetugと結合することにより安定化され、分解が妨げられたことによるものと考えられます。
- これに対し、eMTBR-tau243は、健常人の血液中にはほとんど存在せず、DIAD当事者様の血液中でのみ検出されることから、疾患に関連するタウ病理を反映すると考えられ、etalanetug投与によりそのバイオマーカーの値が低下しました。
- これらの結果は、血液中eMTBR-tau243 が、血液中の複数のリン酸化タウ種や総タウとは異なり、脳内タウ病理に由来する疾患特異的な病理変化を捉えるバイオマーカーであることを示唆しています。
EtalanetugがADの原因病理の一つである脳内タウに作用
- Etalanetugは、DIAD当事者様において、CSF中の複数のリン酸化タウ種および総タウを低下させました。これらのうち p-tau205 は、米国アルツハイマー病協会(Alzheimer's Association)のガイドラインにおいて、進行した段階のタウ病理を反映するバイオマーカー(T2バイオマーカー)と位置付けられています2。
- 本結果は、DIAD当事者様において、抗タウ療法がCSF中の p-tau205を低下させたことを示す初めての報告です。
以上の結果は、etalanetugがADの原因病理の一つである脳内タウ病理に作用していることを示しています。また、血液中 eMTBR-tau243は、AD特異的な病理変化を捉える実用的かつ低侵襲なバイオマーカーであり、今後のetalanetugの臨床開発において重要な役割を果たすことが期待されています。
* DIAD(Dominantly inherited Alzheimer‘s disease/顕性遺伝アルツハイマー病)は、稀な遺伝性遺伝子変異によって生じるADで、AD当事者様の総数の1%未満の方がこの病気を患っています。典型的には30代から50代にかけて、記憶消失や認知症を引き起こします。
**eMTBR-tau243は、タウタンパク質の243番残基と微小管結合領域を含み、且つ256番残基のC末端側が内因性切断(endogenously cleaved)されたタウ断片で構成される新規液性バイオマーカーであり、ADの重要な病理上の特徴である神経原線維変化の形成過程で生じると考えられています3。
以上
<参考資料>
1.Etalanetug (E2814)について
Etalanetugは抗MTBR(Microtubule binding region)タウ抗体です。Etalanetugは、当社とユニバーシティ・カレッジ・ロンドンとの共同研究を通じて見出されました。Etalanetugは、タウ伝播種の脳内拡散を抑制する抗体として設計されています。Etalanetugは、孤発性ADを含むタウオパチーに対する疾患修飾薬として開発されました。現在、etalanetugについて、二つの臨床試験が進行中です。一つは、セントルイス・ワシントン大学医学部が主導するDIAN-TUで実施されている、DIADに対する臨床第Ⅱ/Ⅲ相Tau NexGen試験であり、標準治療である抗アミロイドβプロトフィブリル抗体レカネマブ(製品名「レケンビ」)との併用を評価する試験です。もう一つは、孤発性早期ADに対するグローバル無作為化臨床第Ⅱ相202試験であり、こちらもレカネマブとの併用を評価する試験です。2025年9月に、米国食品医薬品局(FDA)よりFast Track指定を受領しました。
2.臨床第Ⅰb/Ⅱ相103試験(NCT04971733)について
臨床第Ⅰb/Ⅱ相103試験は、DIADの当事者様を対象に、etalanetugの安全性、忍容性、および脳脊髄液(CSF)中のタウ関連バイオマーカーへの影響を評価する非盲検試験です。
参考文献
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1
Macedo AC, Tissot C, Therriault J, Servaes S, Wang YT, Fernandez-Arias J, et al. The Use of Tau PET to Stage Alzheimer Disease According to the Braak Staging Framework. Journal of Nuclear Medicine. 2023;64(8):1171-1178. doi:10.2967/jnumed.122.265200.
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2
Jack, C.R. Jr. et al. Revised criteria for diagnosis and staging of Alzheimer's disease: Alzheimer's Association Workgroup. Alzheimers Dement 20, 5143–5169 (2024). https://doi.org/10.1002/alz.13859
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3
Horie, K.et al. Plasma MTBR-tau243 biomarker identifies tau tangle pathology in Alzheimer’s disease. Nat Med 31, 2044–2053 (2025). https://doi.org/10.1038/s41591-025-03617-7
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