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- 2025年9月4日
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、9月5日から10日までシンガポールで開催される世界睡眠学会(World Sleep2025)において、選択的オレキシン2受容体作動薬E2086の臨床試験データおよび自社創製のオレキシン受容体拮抗剤レンボレキサント(製品名「デエビゴ®」、海外製品名「Dayvigo®」)に関する最新データを含む合計11演題を発表することをお知らせします。
主な発表としては、選択的オレキシン2受容体作動薬E2086のナルコレプシータイプ1当事者様に対する有効性(Proof of Mechanism)を検証した臨床第Ⅰb相試験の結果や大うつ病性障害および双極性障害の抑うつエピソードを併発した不眠症当事者様に対するレンボレキサントの作用を検討した臨床第IV相試験(SELENADE試験)の結果(ポスター3-133)などが有ります。また、当社はアジアにおけるレンボレキサントの最新のエビデンスを紹介するシンポジウムを主催します。
当社は、神経領域を重点疾患領域と位置づけており、不眠症やナルコレプシーを含む睡眠障害などのアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患に対して、革新的な治療薬を一日も早く創出し、当事者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。
口頭発表
アセット、発表日時(現地時間) | タイトル |
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E2086 |
選択的オレキシン2受容体作動薬E2086によるナルコレプシー |
ポスター発表
アセット、発表日 | ポスター番号、タイトル |
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レンボレキサント |
ポスター1-121 |
レンボレキサント |
ポスター2-155 |
レンボレキサント |
ポスター2-158 |
レンボレキサント |
ポスター2-163 |
レンボレキサント |
ポスター2-171 |
レンボレキサント |
ポスター2-178 |
レンボレキサント |
ポスター3-125 |
レンボレキサント |
ポスター3-133 |
レンボレキサント |
ポスター3-149 |
レンボレキサント |
ポスター3-150 |
エーザイ主催シンポジウム: RISE - Regional Insights in Sleep Excellence
9月8日(月)午後12:45-13:45
タイトル |
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不眠症治療の最適化への動き:タイにおける不眠症マネジメントガイドラインの進化(2025年度版) |
精神疾患併存不眠症に対するレンボレキサントの最新エビデンス:SELENADE試験からの知見 |
以上
<参考資料>
- 1. レンボレキサント(一般名、製品名「デエビゴ」)について
レンボレキサントは、当社創製の新規低分子化合物で、オレキシン受容体の2種のサブタイプ(オレキシン1および2受容体)に対し、オレキシンと競合的に結合する拮抗剤です。正常な睡眠覚醒リズムにおいて、オレキシンの神経伝達によって覚醒が促進されると考えられていますが、不眠障害では、覚醒を制御するオレキシンの神経伝達が正常に働いていない可能性があります。正常な睡眠時はオレキシン作動性神経が抑制されることから、オレキシンによる神経伝達の阻害により睡眠導入や睡眠維持をはかることができる可能性があると考えられています。日本、米国、中国、カナダ、オーストラリア、アジア、中東など、25以上の国と地域において、不眠症に係る適応で承認を取得しています。
2. E2086について
E2086は、当社創製の新規低分子化合物で、選択的オレキシン2受容体作動薬です。前臨床試験において、覚醒時間の統計学的に有意な増加およびカタプレキシー発作率の有意な減少が示されています。オレキシン欠乏症のある方は、ナルコレプシータイプ1の当事者様で見られるように、オレキシン作動性ニューロンの消失および脳脊髄液(CSF)中のオレキシン濃度の低下を伴い、日中の過度の眠気(EDS)を示します。E2086は、オレキシン受容体の活性を高めることによって当事者様の症状を改善することが期待されています。
3. ナルコレプシーについて
ナルコレプシーは慢性的な睡眠障害であり、EDSを特徴としています。疲労、認知機能の問題、治療後も残存する症状などにより、疾患負担は大きいとされています1。ナルコレプシーは、カタプレキシー(情動脱力発作)を伴うタイプ1と、伴わないタイプ2の2つに分類されます。
参考文献
- 1. Maski. K, et.al. Listening to the Patient Voice in Narcolepsy: Diagnostic Delay, Disease Burden, and Treatment Efficacy. J. Clinical Sleep Medicine. 2017, 13 (3) p419-, https://jcsm.aasm.org/doi/pdf/10.5664/jcsm.6494