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- 2024年11月15日
エーザイ株式会社
バイオジェン・インク
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク(Nasdaq:BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:Christopher A. Viehbacher、以下 バイオジェン)は、このたび、抗Aβモノクローナル抗体レカネマブ(一般名、ブランド名:「レケンビ®」)について、「ApoEε4ステータスが非保有またはヘテロ接合体である成人におけるアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症の治療」を適応として、欧州医薬品委員会(Committee for Medicinal Products for Human Use: CHMP)より承認勧告を受領したことをお知らせします1。エーザイは、2024年7月に採択されたCHMPの否定的な見解に対して、再審議(re-examination)の請求を行っていました。欧州医薬品庁の新薬承認プロセスに従い、欧州委員会(European Commission)は、本承認勧告に基づくレカネマブの最終的な販売承認の決定を67日以内に行います2。
レカネマブは、ADにおける可溶性Aβ凝集体(プロトフィブリル*)に選択的に結合するとともに、Aβプラークの主要構成成分である不溶性Aβ凝集体(フィブリル)にも結合し、脳内のAβプロトフィブリルおよびAβプラークを減少させると考えられています3,4,5。
欧州におけるAD当事者数は690万人と推定され6、今後高齢化の進展に伴い2050年までに約2倍になると考えられています7。ADは、時間の経過とともに段階的に進行して重症度が増し、AD当事者様と介護者の皆様にそれぞれ困難をもたらすため、早期ADの進行を遅らせ、AD当事者様と社会の全体的な負担を軽減する新しい治療オプションに対する大きなアンメット・メディカル・ニーズが存在します。
エーザイは、本剤の開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。
* プロトフィブリルは、ADによる脳損傷に寄与し、この進行性の深刻な疾患の認知機能低下に主な役割を果たす、最も毒性が高いAβ種であると考えられています。プロトフィブリルは脳内の神経細胞の損傷を引き起こし、その結果、複数のメカニズムを介して認知機能に悪影響を及ぼす可能性があります8。そのメカニズムとして、不溶性Aβプラークの発生を増加させるだけでなく、神経細胞やその他の細胞間のシグナル伝達に直接的な損傷を起こすことも報告されています。プロトフィブリルを減らすことで、神経細胞への損傷や認知機能障害を軽減させ、ADの進行を防ぐ可能性があると考えられています9。
以上
本件に関する報道関係お問い合わせ先
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エーザイ株式会社
PR部
TEL:03-3817-5120
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バイオジェン・インク
パブリック アフェアーズ
<参考資料>
- 1. レカネマブ(一般名、ブランド名「レケンビ」)について
レカネマブは、BioArctic AB(本社:スウェーデン、以下 バイオアークティック)とエーザイの共同研究から得られた、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体です。
今回のCHMPによる承認勧告は、エーザイが実施したグローバル臨床第Ⅲ相試験であるClarity AD試験のデータ等に基づくものであり、本試験でレカネマブは主要評価項目とすべての主要な副次評価項目を統計学的に有意な結果をもって達成しました1,3。Clarity AD試験は、脳内アミロイド病理が確認された早期 AD (ADによるMCIまたは軽度認知症)の被験者1,795 名を対象とした、18カ月間のプラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、無作為化、グローバル臨床第Ⅲ相試験であり、そのうち 1,521 名が適応として承認勧告を受けた対象集団でした1。被験者は、レカネマブ投与群またはプラセボ投与群に1:1で割り付けられ、レカネマブ投与群にはレカネマブ10mg/kgが2週間ごとに投与されました1。
Clarity AD試験では、適応として承認勧告を受けた対象集団であるApoEε4ステータスが非保有またはヘテロ接合体の被験者において、18カ月間のレカネマブによる治療により、プラセボと比較して主要評価項目であるCDR-SBで臨床症状の悪化を31%抑制しました1。ベースラインにおける平均CDR-SBスコアは、両グループとも約3.2でした1。18カ月時点でのベースラインからの調整最小二乗平均変化は、レカネマブ投与群で1.217、プラセボ群で1.752であり、変化量の差は−0.535(95%信頼区間[CI]、−0.778~−0.293、P=0.00001)でした1。CDR-SBは、記憶、見当識、判断力と問題解決、地域社会の活動、家庭状況と趣味、身の回りの世話の6項目について評価する全般臨床症状の評価指標です10。
また、副次的評価項目の一つである介護者により評価される日常生活動作スケール(ADCS MCI-ADL)では、18カ月時点でプラセボと比較して33%の悪化抑制を示しました1。ADCS MCI-ADLスコアの18カ月時点でのベースラインからの調整平均変化は、レカネマブ投与群で−3.873、プラセボ群で−5.809であり、変化量の差は1.936(95%CI、1.029~2.844、P=0.00002)でした1。ADCS MCI-ADLは、当事者様が服を着たり、食事をしたり、地域社会の活動に参加したりする能力など、患者が自立して生活する能力を評価します。
安全性に関して、ApoEε4ステータスがヘテロ接合体または非保有の被験者において、レカネマブ投与群で最も多く見られた有害事象はInfusion reaction(26%)、ARIA-H(13%)、頭痛(11%)、ARIA-E(9%)でした1。
レカネマブは、アルツハイマー病(AD)による軽度認知障害または軽度認知症に係る適応で、米国、日本、中国、韓国、香港、イスラエル、アラブ首長国連邦、英国(北アイルランドを除く)で承認を取得しており、EUを含む17の国で承認申請を行っています。また、2024年3月に静注維持投与に関する米国食品医薬品局(FDA)への生物製剤承認一部変更申請(sBLA)を提出し、2024年6月、受理されました。2024年5月に、利便性向上をめざし開発を進めている皮下注射(SC)製剤について、米国FDAに、Fast Track指定の下、維持投与に関する生物製剤承認申請の段階的申請を開始し、2024年10月に完了しました。
2020年7月から、臨床症状は正常で、ADのより早期ステージにあたる脳内Aβ蓄積が境界域レベルおよび陽性レベルのプレクリニカルADを対象とした臨床第Ⅲ相試験(AHEAD 3-45試験)を米国のADおよび関連する認知症の学術的臨床試験のための基盤を提供するAlzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)とのパブリック・プライベート・パートナーシップ(PPP)で行っています。ACTCは、National Institutes of Health傘下のNational Institute on Agingによる資金提供を受けています。また、2022年1月から、セントルイス・ワシントン大学医学部(米国ミズーリ州セントルイス)が主導する優性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(Dominantly Inherited Alzheimer Network Trials Unit、以下 DIAN-TU)が実施する優性遺伝アルツハイマー病(DIAD)に対する臨床試験(Tau NexGen試験)が進行中です。本試験において、レカネマブは抗Aβ療法による基礎療法として選定されました。
- 2. エーザイとバイオジェンによるAD領域の提携について
エーザイとバイオジェンは、AD治療剤の共同開発・共同販売に関する提携を2014年から行っています。レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。
- 3. エーザイとバイオアークティックによるAD領域の提携について
2005年以来、エーザイとバイオアークティックはAD治療剤の開発と商業化に関して長期的な協力関係を築いてきました。エーザイは、レカネマブについて、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるADを対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を取得しています。2015年5月にレカネマブのバックアップ抗体の開発・商業化契約を締結しました。
- 4. エーザイ株式会社について
エーザイ株式会社は、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念とし、この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
また、当社は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧に向けた活動に世界のパートナーと連携して積極的に取り組んでいます。
エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。SNSアカウントX、LinkedIn、Facebookでも情報公開しています。
- 5. バイオジェン・インクについて
1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。
私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。
バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体X, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。
1. Committee for Medicinal Products for Human Use. 2024. Leqembi (Lecanemab). Overview. Last accessed: November 2024
2. European Medicines Agency. The Centralised Procedure at the EMA. Available at: https://www.ema.europa.eu/en/about-us/what-we-do/authorisation-medicines. Last accessed: Novemver 2024.
3. van Dyck, H., et al. Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease. New England Journal of Medicine. 2023;388:9-21. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2212948
4. Johannesson, M., et al. Lecanemab demonstrates highly selective binding to Aβ protofibrils isolated from Alzheimer's disease brains. Molecular and Cellular Neuroscience. 2024;130:103949. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1044743124000344.
5. Sehlin D, Englund H, Simu B, Karlsson M, Ingelsson M, Nikolajeff F, Lannfelt L, Pettersson FE. Large aggregates are the major soluble Aβ species in AD brain fractionated with density gradient ultracentrifugation. PLoS One. 2012;7(2):e32014. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0032014 Epub 2012 Feb 15. PMID: 22355408; PMCID: PMC3280222.
6. Gustavsson, A., et al. Global estimates on the number of persons across the Alzheimer's disease continuum. Alzheimer’s & Dementia. 2023;19:658-670. https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/alz.12694.
7. Alzheimer Europe. Prevalence of dementia in Europe. Available at: https://www.alzheimer-europe.org/dementia/prevalence-dementia-europe.
8. Amin L, Harris DA. Aβ receptors specifically recognize molecular features displayed by fibril ends and neurotoxic oligomers. Nat Commun. 2021;12:3451. doi:10.1038/s41467-021-23507-z
9. Ono K, Tsuji M. Protofibrils of Amyloid-β are Important Targets of a Disease-Modifying Approach for Alzheimer's Disease. Int J Mol Sci. 2020;21(3):952. doi: 10.3390/ijms21030952. PMID: 32023927; PMCID: PMC7037706.
10. Morris, J.C. The Clinical Dementia Rating (CDR): current version and scoring rules. Neurology. 1993;43:2412-2414.
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