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- 2024年8月22日
エーザイ株式会社
バイオジェン・インク
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク(Nasdaq:BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:Christopher A. Viehbacher、以下 バイオジェン)は、このたび、ヒト化抗ヒトアミロイドβ(Aβ)モノクローナル抗体「レケンビ®」(一般名:レカネマブ)について、英国(北アイルランドを除く)において、ApoEε4ステータスがヘテロ接合体または非保有である成人におけるアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)または軽度認知症の治療を適応として、医薬品医療製品規制庁(MHRA)より承認を取得したことをお知らせします1。本剤は、ADの根本原因を標的とした、欧州で承認された初めての早期AD(ADによるMCIまたは軽度認知症)治療剤となります1。
「レケンビ」は、毒性の高いAβ凝集体(プロトフィブリル*)に選択的に結合するとともに、Aβプラークの主要構成成分であるAβ凝集体(フィブリル)にも結合し、脳内のAβプロトフィブリルおよびAβプラークを減少させると考えられています2,3,4。
今回の承認は、エーザイが実施したプラセボ対照、二重盲検、平行群間比較、無作為化グローバル臨床第Ⅲ相試験であるClarity AD試験のデータ等に基づくものであり、本試験でレカネマブは主要評価項目(18カ月時点のCDR-SB [Clinical Dementia Rating Sum of Boxes]のベースラインからの変化)とすべての主要な副次評価項目を統計学的に有意な結果をもって達成しました2。英国において適応となる対象集団において、レカネマブ投与群で最も多く見られた有害事象は、Infusion reaction、アミロイド関連画像異常(ARIA)によるARIA-H**、転倒、頭痛、およびARIA-E***でした1。
英国における認知症の当事者数は98.2万人と推定されており5、そのうち約6~7割は、ADであると見積もられています6。AD当事者様数は、今後高齢化の進展と共に増加していくと考えられています5,6。
エーザイは、英国国立医療技術評価機構(National Institute for Health and Clinical Excellence: NICE)およびスコットランド医薬品コンソーシアム(Scottish Medicines Consortium: SMC)、ならびに英国国民保健サービス(National Health Service: NHS)と協力して、AD当事者様に本剤をできるだけ早くお届けできるよう取り組んでまいります。
エーザイは、本剤の開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。英国においては、エーザイが販売を行い、両社共同で情報提供活動を行います。
* プロトフィブリルは、ADによる脳損傷に寄与し、この進行性の深刻な疾患の認知機能低下に主な役割を果たす、最も毒性が高いAβ種であると考えられています。プロトフィブリルは脳内の神経細胞の損傷を引き起こし、その結果、複数のメカニズムを介して認知機能に悪影響を及ぼす可能性があります7。そのメカニズムとして、不溶性アミロイドプラークの発生を増加させるだけでなく、神経細胞やその他の細胞間のシグナル伝達に直接的な損傷を起こすことも報告されています。プロトフィブリルを減らすことで、神経細胞への損傷や認知機能障害を軽減させ、ADの進行を防ぐ可能性があると考えられています8。
** ARIAによる脳微小出血、脳表ヘモジデリン沈着
*** ARIAによる浮腫(浮腫/浸出)
詳細については、承認後 7 日以内に MHRA 製品 Web サイトで公開される英国における添付文書(SmPC)および患者情報リーフレットに掲載されます。
以上
本件に関する報道関係お問い合わせ先
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エーザイ株式会社
PR部
TEL:03-3817-5120
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バイオジェン・インク
パブリック アフェアーズ
<参考資料>
- 1. レケンビについて
「レケンビ」(一般名:レカネマブ、ブランド名:「レケンビ®」)は、BioArctic AB(本社:スウェーデン、以下 バイオアークティック)とエーザイの共同研究から得られた、アミロイドベータ(Aβ)の可溶性(プロトフィブリル)および不溶性凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体です2,3。
今回の英国(北アイルランドを除く)における承認は、エーザイが実施したグローバル臨床第Ⅲ相試験であるClarity AD試験のデータ等に基づくものであり、本試験でレカネマブは主要評価項目とすべての主要な副次評価項目を統計学的に有意な結果をもって達成しました1,2。Clarity AD試験は、脳内アミロイド病理が確認された早期 AD (ADによるMCIまたは軽度認知症)の被験者1,795 名を対象とした、18カ月間のプラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、無作為化、グローバル臨床第Ⅲ相試験であり、そのうち 1,521 名が英国において適応となる対象集団でした1。無作為化された被験者のうち、ApoEε4ステータスは31%が非保有者、53%がヘテロ接合体、16%がホモ接合体でした1。被験者は、レカネマブ投与群またはプラセボ投与群に1:1で割り付けられ、レカネマブ投与群にはレカネマブ10mg/kgが2週間ごとに投与されました1。
Clarity AD試験では、英国での適応対象集団であるApoEε4ステータスがヘテロ接合体または非保有の被験者において、18カ月間のレカネマブによる治療により、プラセボと比較して主要評価項目であるCDR-SBで臨床症状の悪化を33%抑制しました1。ベースラインにおける平均CDR-SBスコアは、両グループとも約3.2でした1。18カ月時点でのベースラインからの調整最小二乗平均変化は、レカネマブ投与群で1.15、プラセボ群で1.73であり、変化量の差は−0.58(95%信頼区間[CI]、−0.81~−0.34、P<0.00001)でした1。CDR-SBは、記憶、見当識、判断力と問題解決、地域社会の活動、家庭状況と趣味、身の回りの世話の6項目について評価する全般臨床症状の評価指標です9。
また、副次的評価項目の一つである介護者により評価される日常生活動作スケール(ADCS MCI-ADL)では、18カ月時点でプラセボと比較して39%の悪化抑制を示しました1。ADCS MCI-ADLスコアの18カ月時点でのベースラインからの調整平均変化は、レカネマブ投与群で−3.5、プラセボ群で−5.7であり、変化量の差は2.2(95%CI、1.3~3.1、P<0.00001)でした1。ADCS MCI-ADLは、当事者様が服を着たり、食事をしたり、地域社会の活動に参加したりする能力など、患者が自立して生活する能力を評価します。
安全性に関して、英国での適応となる対象集団であるApoEε4ステータスがヘテロ接合体または非保有の被験者において、レカネマブ投与群で最も多く見られた有害事象はInfusion reaction(26%)、ARIA-H(13%)、転倒(11%)、頭痛(11%)、ARIA-E(9%)でした1。本剤は、英国において追加安全性モニタリングの対象となります。
レカネマブは、英国のほか、米国、日本、中国、韓国、香港、イスラエル、アラブ首長国連邦で承認を取得し、米国、日本、中国で発売されています。また、欧州(EU)をはじめ、10の国と地域で承認申請を行っています。
- 2. NHS、NICEおよびSMCについて
英国国民保健サービス(NHS)は、国民に無料の医療サービスを提供することを理念とした公的医療保障制度です。英国国立医療技術評価機構(NICE)およびスコットランド医薬品コンソーシアム(SMC)は、新たに承認された新薬や剤形、適応について、医療上のベネフィットと価格の公正性の観点から評価を行い、NHSの下で使用することを承認すべきかどうかについて、独立した組織としてNHSに対して勧告を行います。
- 3. エーザイとバイオジェンによるAD領域の提携について
エーザイとバイオジェンは、AD治療剤の共同開発・共同販売に関する提携を2014年から行っています。レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。
- 4. エーザイとバイオアークティックによるAD領域の提携について
2005年以来、エーザイとバイオアークティックはAD治療剤の開発と商業化に関して長期的な協力関係を築いてきました。エーザイは、レカネマブについて、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるADを対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を取得しています。2015年5月にレカネマブのバックアップ抗体の開発・商業化契約を締結しました。
- 5. エーザイ株式会社について
エーザイ株式会社は、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念とし、この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
また、当社は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧に向けた活動に世界のパートナーと連携して積極的に取り組んでいます。
エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。SNSアカウントX、LinkedIn、Facebookでも情報公開しています。
- 6. バイオジェン・インクについて
1978年の創立以来、バイオジェンは世界をリードするバイオテクノロジー企業で、患者さんの人生を変革し、株主や私たちのコミュニティに価値をもたらす新薬をお届けするために革新的なサイエンスを開拓しています。
私たちは優れた治療アウトカムをもたらすファースト・イン・クラスの治療薬や治療法を推進するために、人類の生物学に対する深い理解を応用し、異なるモダリティを活用します。私たちは長期的な成長をもたらすために投資利益率のバランスを考慮した上で、果敢にリスクを取るというアプローチを採択しています。
バイオジェンに関する情報については、https://www.biogen.com/ およびSNS媒体X, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。
- Lecanemab Great Britain Summary of Product Characteristics (SmPC).
- van Dyck, H., et al. Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease. New England Journal of Medicine. 2023;388:9-21. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2212948.
- Johannesson, M., et al. Lecanemab demonstrates highly selective binding to Aβ protofibrils isolated from Alzheimer's disease brains. Molecular and Cellular Neuroscience. 2024;130:103949. https://doi.org/10.1016/j.mcn.2024.103949.
- Sehlin, D., et al. Large aggregates are the major soluble Aβ species in AD brain fractionated with density gradient ultracentrifugation. PLoS One. 2012;7(2):e32014. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0032014.
- Alzheimer’s Society. 2024. The economic impact of dementia. Available at: https://www.alzheimers.org.uk/about-us/policy-and-influencing/dementia-scale-impact-numbers. Last accessed: August 2024.
- World Health Organization. 2023. Dementia. Available at: https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/dementia. Last accessed: August 2024
- Amin L, Harris DA. Aβ receptors specifically recognize molecular features displayed by fibril ends and neurotoxic oligomers. Nat Commun. 2021;12:3451. doi:10.1038/s41467-021-23507-z
- Ono K, Tsuji M. Protofibrils of Amyloid-β are Important Targets of a Disease-Modifying Approach for Alzheimer's Disease. Int J Mol Sci. 2020;21(3):952. doi: 10.3390/ijms21030952. PMID: 32023927; PMCID: PMC7037706.
- Morris, J.C. The Clinical Dementia Rating (CDR): current version and scoring rules. Neurology. 1993;43:2412-2414.
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