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- 2023年5月24日
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、2023年6月2日から6日まで米国イリノイ州シカゴおよびバーチャル形式で開催される「米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会」(2023 ASCO Annual Meeting)において、当社のがん領域における製品・開発品の様々ながん種における最新知見を発表することをお知らせします。
本学会では、レンバチニブ(製品名:レンビマ®)とペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ®)の併用療法について、進行性腎細胞がんの一次治療として、スニチニブと比較して評価した臨床第Ⅲ相CLEAR(307)試験/KEYNOTE-581試験の事前に設定した全生存期間の最終解析結果を口頭発表します(抄録番号:4502)。また、レンバチニブ単剤療法について、切除不能肝細胞がんの一次治療として、ソラフェニブと比較して評価したREFLECT試験事後解析の最新の知見をポスター発表します(抄録番号:4078)。
当社常務執行役、チーフサイエンティフィックオフィサーの大和隆志博士は、「近年、進行性腎細胞がんの予後は劇的に改善しており、米国臨床腫瘍学会年次総会で発表されるレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法によるCLEAR試験の最終解析結果は、患者様にとってさらなる前進であり、その長期的な治療成績を主治医の皆様に提供する機会となります。今回、レンバチニブやその他のオンコロジー開発品から得られた新たな知見は、より多くのがん患者様のニーズを満たすというヒューマンヘルスケア理念の実現に向けた、イノベーションの推進と新たな治療法の確立に対するエーザイの継続的なコミットメントを示しています」と述べています。
また、CREB-binding protein(CBP)/β-catenin 相互作用阻害剤E7386について、レンバチニブとの併用療法による進行性肝細胞がんを対象とした臨床第Ⅰb相試験(抄録番号:4075)や、E7389-LF(エリブリンリポソーム製剤)について、ニボルマブとの併用療法を評価する臨床第Ⅰb/Ⅱ相試験における小細胞肺がんを対象としたコホート(抄録番号:8593)からの最新の知見をポスター発表します。また、抗体薬物複合体であるfarletuzumab ecteribulin (FZEC、開発コード:MORAb-202)およびMORAb-109について、希少婦人科がんを対象とした前臨床試験で得られた知見がオンライン掲載される予定です(抄録番号:e17634)。
さらに、当社が2023年4月に戦略的提携に向けたオプション権を有する共同開発契約をBliss Biopharmaceutical Co., Ltd.(以下BlissBio)と締結した抗体薬物複合体BB-1701について、BlissBioがFirst-in-human試験の結果をポスター発表します(抄録番号:3029)。BB-1701は、HER2をターゲットとした抗体薬物複合体であり、現在米国および中国においてHER2発現の固形がんを対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験が進行中です。
本学会におけるプレゼンテーションは以下のとおりです。抄録(アブストラクト)は、2023年5月25日4:00 PM(米国中部夏時間)に公開される予定です。
※左右にスクロールできます
がん種 | 試験/化合物 | 抄録題目 | 発表形式および詳細
(米国中部夏時間) |
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レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法 | |||
泌尿生殖器がん | CLEAR試験 | CLEAR試験の事前に設定した全生存期間の最終解析結果:進行性腎細胞がんにおけるレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法とスニチニブの4年間のフォローアップ |
Oral Abstract Session
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レンバチニブ |
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消化器がん | REFLECT試験 | 切除不能肝細胞がんの一次治療としてのレンバチニブとソラフェニブの有効性の比較: REFLECT 試験における非ウイルス性患者様の事後解析結果 |
Poster Session
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パイプライン | |||
肺がん | E7389-LF | エリブリンリポソーム製剤とニボルマブの併用療法を評価する臨床第Ⅰb/Ⅱ相試験中の第Ⅱ相小細胞肺がんコホート |
Poster Session
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消化器がん | E7386
(+レンバチニブ) |
進行性肝細胞がんを対象とした、CREB-binding protein(CBP)/β-catenin相互作用阻害剤E7386とレンバチニブの併用療法の第Ⅰb相試験 |
Poster Session
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婦人科がん | Farletuzumab Ecteribulin(FZEC) | 葉酸受容体αを標的とした抗体薬物複合体farletuzumab ecteribulin(FZEC [MORAb-202])およびメソセリンを標的とした抗体薬物複合体MORAb-109の希少婦人科がんにおける前臨床試験 |
Online Publication
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固形がん | BB-1701
(BlissBioの発表) |
局所進行性/転移性のHER2発現固形がんを対象としたBB-1701の安全性、忍容性、薬物動態および抗腫瘍活性を評価する、First-in-human、非盲検、反復投与、用量漸増、コホート拡大の臨床第I相試験 |
Poster Session
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その他の研究 | |||
あらゆるがん種 | システマティック・
レビュー |
あらゆるがん種におけるCTLA-4、PD-1、またはPD-L1阻害剤に関連する抗薬物抗体:システマティック・レビュー |
Online Publication
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レンバチニブの単剤療法およびペムブロリズマブとの併用療法に関して、当社は、2018年3月にMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAとグローバルな共同開発と共同販促を行う戦略的提携契約を締結しています。両社は、LEAP(LEnvatinib And Pembrolizumab)臨床プログラムを通じて、本併用療法の様々ながん種における複数の臨床試験を実施中です。
抗葉酸受容体(folate receptor:FR)αをターゲットとした抗体薬物複合体であるfarletuzumab ecteribulin(開発コード:MORAb-202、略称:FZEC)について、当社は、2021年6月にブリストル マイヤーズ スクイブと共同開発・共同商業化に関するグローバルな独占的戦略的提携契約を締結しています。当社とブリストル マイヤーズ スクイブは、米国、欧州において子宮内膜がんなどを対象とした臨床第I/II相試験、米国、欧州において非小細胞肺がんを対象とした臨床第Ⅱ相試験、日本、米国、欧州において卵巣がん、腹膜がんおよび卵管がんを対象とした臨床第Ⅱ相試験を実施中です。
以上
<参考資料>
- 1. 当社のがん領域の取り組みについて
当社は、「がん領域」を戦略的重要領域の一つとし、Deep Human Biology Learning創薬体制のもと、ヒューマン・バイオロジーに基づき、「微小環境」「タンパク質恒常性破綻」「細胞系譜や細胞分化」「細胞老化を伴う炎症、低酸素、酸化ストレス」などの創薬領域(ドメイン)における抗がん剤の研究開発にフォーカスしています。これらのドメインから新たな標的や作用機序を有する革新的新薬を創出し、がんの治癒の実現に向けて貢献することをめざしています。
*キイトルーダ®は Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの子会社であるMerck Sharp & Dohme LLCの登録商標です。