抗体薬物複合体BB-1701について、BlissBioと戦略的提携に向けたオプション権を有する共同開発契約を締結

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役 CEO:内藤晴夫)は、このたび、抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)であるBB-1701について、Bliss Biopharmaceutical (Hangzhou) Co., Ltd.(本社:中国浙江省、以下 BlissBio)と戦略的提携に向けたオプション権を有する共同開発契約を締結したことをお知らせします。

 

 BB-1701は、当社創製の抗がん剤エリブリンを、リンカーを介して抗HER2抗体に化学結合させたADCであり、HER2を発現している乳がん、肺がんをはじめとした固形がんへの抗腫瘍効果が期待されます。エリブリンをペイロードとしたリンカー-ペイロードは、当社の米国研究拠点であるエクストン・サイトが開発した独自の技術プラットフォームであり、様々な抗体への結合を検討しています。2018年に締結した両社によるライセンス契約に基づき、当社は、エリブリンをペイロードとした複数のADCについて、BlissBioにグローバルな独占的開発権を付与しています。BB-1701について、現在BlissBioが実施している臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験の状況を踏まえ、共同開発を行うこととなりました。

 

 本共同開発契約に基づき、当社は、一時金および開発マイルストンをBlissBioに支払うとともに、乳がんを対象とした臨床第II相試験を実施する一方、グレーターチャイナ(中国、香港、マカオ、台湾)を除くグローバルにおけるBB-1701の開発・商業化に関するオプション権を獲得します。本オプション権を行使した場合には、当社は、追加の一時金、および開発・薬事マイルストンのほか、上市後には販売マイルストンおよび売上収益に応じた一定のロイヤルティをBlissBioに支払います。すべての開発・薬事・販売マイルストンを達成した場合には、最大で総額約20億米ドルを支払う予定です。

 

当社のチーフサイエンティフィックオフィサーである常務執行役 大和隆志 博士は、「BB-1701は、当社が現代有機合成化学の粋を結集して創製し、既に乳がんおよび悪性軟部腫瘍の治療薬として患者様貢献を果たしているエリブリンをペイロードとしていることを特徴としています。今後BlissBioとのパートナーシップによって本剤の開発を加速し、新たな治療選択肢として世界の患者様にお届けできるよう全力を尽くします」と述べています。

 

以上


 

<参考資料> 

  1. 1.Bliss Biopharmaceutical (Hangzhou) Co., Ltd.について

 Bliss Biopharmaceutical (Hangzhou) Co., Ltd.(以下、BlissBio)は、2017年に浙江省杭州で経験豊富な製薬業界出身者によって設立され、生物学的抗がん剤の創出、開発、商業化に特化したバイオテクノロジー企業です。BlissBioは、特許を取得した独自の技術プラットフォーム、ADCに焦点を当てた豊富なパイプラインおよびGMP製造能力を確立しており、臨床開発と初期の商業化の両方で抗体とADCの生産についてサポートを可能としています。BlissBioは、中国において「国家ハイテクノロジーバイオ医薬品企業」にノミネートされました。BlissBioは、“Together, We Improve Human Health”をコアバリューとして、国内外の協力を通じ、アンメット・メディカル・ニーズに対応する革新的な医薬品に引き続き注力していきます。

 詳細については、https://www.blissbiopharma.comをご覧ください。

 

  1. 2.BB-1701(開発品コード)について

 BB-1701は、当社創製の抗がん剤エリブリンをペイロードとして、リンカーを介して抗HER2抗体に化学結合させた抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)であり、HER2を発現している乳がん、肺がんをはじめとした固形がんへの直接的な細胞毒性(免疫原性細胞死を含む)、バイスタンダー効果*および免疫応答誘導性細胞死などの複合的な作用機序による抗腫瘍効果が期待されます。現在、BlissBioが米国と中国においてHER2を発現している固形がんを対象とした臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験を実施中です。

 

* バイスタンダー効果(bystander effect):標的となる抗原陽性のがん細胞内で、抗体薬物複合体の抗体から放出された抗腫瘍薬剤が、周辺の抗原陰性のがん細胞やがん微小環境の構成細胞に対しても有効性を示す効果