米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム2023において消化器系がんに対する治療薬の最新の開発研究の演題を発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、2023年1月19日から21日まで米国カリフォルニア州サンフランシスコおよびバーチャル形式で開催される「米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム2023」において、消化器系の複数のがん種での研究に関する知見を発表することをお知らせします。

 

 本学会では、CREB-binding protein (CBP) / β-catenin相互作用阻害剤E7386*1を、大腸がんを含む進行性固形がんにおいて評価する臨床第Ⅰ相試験の用量漸増パートの最新知見を発表します(NCT03833700; 抄録番号: 106)。これらの追加解析結果に基づき、拡大パートにおいて、2つの用量での本開発品の安全性、予備的な有効性、薬物動態およびバイオマーカーに関するさらなる解析が進行中です。

 

 レンバチニブ(製品名:レンビマ®)とペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ®*2)の併用療法を評価するLEAP(LEnvatinib And Pembrolizumab)臨床プログラムの研究結果としては、切除不能肝細胞がんの一次治療として、レンバチニブ単剤療法と比較して評価する臨床第Ⅲ相LEAP-002試験における健康関連クオリティ・オブ・ライフ解析結果を発表します(NCT03713593; 抄録番号: 506)。また、自社創製の開発品E7389(一般名:エリブリン)のリポソーム製剤(Liposomal Formulation: LF)について、固形がんにおけるニボルマブとの併用療法試験における食道がんコホート(NCT04078295; 抄録番号: 337)および胃がんコホート(NCT04078295; 抄録番号: 339)の試験結果を発表します。

 

 当社チーフサイエンティフィックオフィサーである常務執行役 大和隆志 博士は、「大腸がんを含む進行性固形がんを対象に当社の開発品である新規抗がん剤E7386を評価する臨床第Ⅰ相試験の結果をはじめとする新たな知見を世界中の消化器がん専門家が集うシンポジウムで共有できることを嬉しく思います。このたび発表する大腸がん、食道がん、胃がん、肝臓がんに関する研究結果は、世界のがん罹患数の4分の1以上を占める消化器がん1に関する研究への当社の取り組みの成果です」と述べています。

 

 レンバチニブについて、単剤療法およびペムブロリズマブとの併用療法に関して、当社は、2018年3月にMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAとグローバルな共同開発と共同販促を行う戦略的提携契約を締結しています。現在、本併用療法については、LEAP臨床プログラムのもと、複数のがん種における10を超える臨床試験を実施中です。

 

 本学会における当社のプレゼンテーションの全リストは以下のとおりです。抄録(アブストラクト)の大部分は、ASCOウェブサイトより閲覧可能です。一部の抄録(late-breaking abstracts)は、シンポジウムの最中に公開される予定です。

  

※左右にスクロールできます

がん種試験/ 化合物抄録題目発表形式および詳細(米国太平洋標準時 )
パイプライン
固形がん E7386 CREB-binding protein (CBP) / β-catenin相互作用阻害剤 E7386の大腸がんを含む進行性固形がんを対象とした臨床第Ⅰ相試験:用量漸増パートのアップデート

ポスタープレゼンテーション
抄録番号:106
2023年1月21日

6:30-7:55 AM
E7389-LF E7389-LF(エリブリンリポソーム製剤)とニボルマブの併用療法の臨床第Ⅱ相試験胃がんコホート

ポスタープレゼンテーション
抄録番号:339
2023年1月19日

12:00-1:30 PM
E7389-LF E7389-LF(エリブリンリポソーム製剤)とニボルマブの併用療法の臨床第Ⅱ相試験食道がんコホート

ポスタープレゼンテーション

抄録番号:337
2023年1月19日

12:00-1:30 PM
LEAP 臨床プログラム
消化器がん LEAP-015 進行性/転移性胃食道腺がんにおける一次療法としてのレンバチニブ+ペムブロリズマブ+化学療法と化学療法の比較:(LEAP-015):Safety run-inの結果(アンコールプレゼンテーション)

ポスタープレゼンテーション
抄録番号:411
2023年1月19日
12:00-1:30 PM

LEAP-002 進行性肝細胞がんの一次療法としてのレンバチニブ+ペムブロリズマブの併用療法と、レンバチニブ+プラセボの健康関連QoLへの影響の比較:臨床第III相LEAP-002試験a (aHCC): Phase 3 LEAP-002 study

ポスタープレゼンテーション
抄録番号:506
2023年1月20日

12:00-1:30 PM
リアルワールドエビデンス
消化器がん リアルワールドデータ 米国で新たに診断された切除不能な肝細胞がんにおける一次治療としてのがん免疫療法と血管新生阻害剤(4つ)の併用療法の適切性に関連する臨床的意思決定に影響を与える可能性のある病歴または併存疾患の有病率

ポスタープレゼンテーション
抄録番号:511
2023年1月20日

12:00-1:30 PM

以上

    

<参考資料> 

  1. 1.  当社のがん領域の取り組みについて

 当社は、がん領域において、真の患者様ニーズが満たされておらず、かつ当社がフロントランナーとなり得る機会(立地)として、「ハラヴェン®」(一般名:エリブリンメシル酸塩)や「レンビマ®」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)での経験知を活かした「がん微小環境」とRNAスプライシングプラットフォーム等を用いた「ドライバー遺伝子変異とスプライシング異常」を標的とした抗がん剤の開発にフォーカスしています。これらの立地から新たな標的や作用機序を有する革新的新薬を創出し、がんの治癒の実現に向けて貢献することをめざしています。

  

*1 株式会社PRISM BioLab(本社:神奈川県)との共同創製品

*2 キイトルーダ®は Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの子会社であるMerck Sharp & Dohme LLCの登録商標です。

 

  1. 1 Melina A. et al. Global Burden of 5 Major Types of Gastrointestinal Cancer. Gastroenterology. 2020 July; 159(1): 335–349.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8630546/pdf/nihms-1758791.pdf