「アリセプト®」日本のレビー小体型認知症の適応に関する用法・用量の一部変更の承認について

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、自社創製のアルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」(一般名:ドネペジル塩酸塩)について、日本におけるレビー小体型認知症に係る用法・用量に関する承認事項の一部変更を申請し、本日、承認されたことをお知らせします(変更内容は参考資料1に記載)。

 

 今回の承認事項の一部変更は、本剤の「レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制」の効能・効果に関する再審査の結果、カテゴリー2*となったことに基づくものです。

 

 当社は、今回のレビー小体型認知症に係る用法・用量の一部変更の承認を受け、引き続き、本剤の適正使用・安全性情報提供を最優先とした活動を行い、レビー小体型認知症の当事者様とそのご家族のニーズの充足とベネフィット向上に貢献してまいります。

 

以上

  

<参考資料> 

  1. 1.  「アリセプト」(一般名:ドネペジル塩酸塩)のレビー小体型認知症に関する承認事項の変更の内容
  2.  (下線部分が変更されました)

  用法及び用量

※左右にスクロールできます

変更前 変更後
レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制
通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。

レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制

通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。投与開始12週間後までを目安に、認知機能検査、患者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等による有効性評価を行い、認知機能、精神症状・行動障害、日常生活動作等を総合的に評価してベネフィットがリスクを上回ると判断できない場合は、投与を中止すること。投与開始12週間後までの有効性評価の結果に基づき投与継続を判断した場合であっても、定期的に有効性評価を行い、投与継続の可否を判断すること。

2.  製造販売後臨床試験419試験について

 419試験は、2014年9月のレビー小体型認知症(DLB)における認知症症状の進行抑制の効能・効果の承認取得時に設定された承認条件に基づき実施された製造販売後臨床試験です。DLB当事者様140人を対象とした全般臨床症状(CIBIC-plus総合評価**)を主要評価項目として、「アリセプト」12週投与の有効性を検証するプラセボ対照二重盲検並行群間無作為化比較試験として、実施されました。本剤群は、投与1-2週目は3mg、同3-6週目は5mg、同7-12週目は10mgが、1日1回投与されました。

 最終解析時の有効性について、主要評価項目であるCIBIC-plus総合評価においてプラセボと本剤群との間で統計学的有意差は認められませんでした。安全性については、これまでの臨床試験における発現状況と比べ、有害事象の発現頻度および重篤性に新たな問題が見いだされた事象はありませんでした。

 なお、再審査において、DLBの認知症症状に対する本剤の有効性については、419試験で全てが否定されるものではなく、承認時の臨床第2相試験(431試験)および臨床第3相試験(341試験)の認知機能(MMSE***)に関する成績も併せて考えれば、有効性が期待できる当事者様も存在するとの判断がされました。本試験結果については、今後論文等で発表する予定です。

  

*    カテゴリー2:再審査結果において、承認事項の一部を変更すれば承認拒否事由のいずれにも該当しない。

**  CIBIC-plus総合評価(the Clinician's Interview-Based Impression of Change plus caregiver input): 患者および介護者との面接により全般的な臨床症状の変化を評価するための検査。主治医以外の独立した評価者が、4つの 領域(状態のあらまし、認知機能、行動、日常生活動作能力)について総括し、患者の臨床症状の全般的な変化を7段階(大幅な改善、中程度の改善、若干の改善、不変、若干の悪化、中程度の悪化、大幅な悪化)で評価する。

*** MMSE(Mini-Mental State Examination):認知機能を評価するための方法。見当識、記銘、注意、計算、近時・遠隔記憶、了解、読書、書字、デザインの項目から構成され、30∼0点(正常→重度)の範囲で評価する。