第75回米国てんかん学会年次総会にてペランパネルおよびE2730に関する最新データを発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、2021年12月3日から7日に米国イリノイ州シカゴおよびバーチャル形式で開催される「第75回米国てんかん学会年次総会(American Epilepsy Society Annual Meeting:AES2021)において、自社創製の抗てんかん剤ペランパネル(製品名「フィコンパ®」、英語製品名:「Fycompa®」)および、てんかんと神経疾患を治療標的とした自社創製新規低分子化合物E2730に関する最新データなど、合計42演題についてポスター発表することをお知らせします。

 

 本総会では、ペランパネルについて、12歳以上74歳以下の部分発作を有する未治療てんかんの患者様を対象とした臨床第Ⅲ相試験(FREEDOM/342試験)の非盲検継続投与(52週)における単剤療法の長期有効性と安全性の解析結果(ポスター番号:1.283)のほか、高齢てんかん患者様に対する、臨床第Ⅲ相試験などの結果の概説(ポスター番号:2.218)およびリアルワールドの統合解析結果(ポスター番号:1.215)に関するポスター発表を行います。また、E2730について、非臨床試験の結果に関するポスター発表(ポスター番号:2.197)を予定しています。

 

 ペランパネルは、当社筑波研究所で創製されたファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。本剤は、グルタミン酸によるシナプス後膜のAMPA受容体を選択的かつ非競合的に阻害し、神経の過興奮を抑制します。本剤は世界各国において、部分てんかんの併用療法に対して日本、米国、欧州、中国、アジアなど70 カ国以上で承認を取得しています。全般てんかんの強直間代発作の併用療法の適応についても、日本、米国、欧州、アジアなど 70 カ国以上で承認を取得しています。E2730は、当社筑波研究所で創製された、活性化状態にあるシナプス機能を選択的に調整する、新規選択的不競合GAT-1(GABA transporter 1)阻害剤です。てんかんに対する臨床試験を実施しています。

 

 当社は、てんかんを含む神経領域を重点疾患領域と位置づけており、より多くの患者様に発作フリー(seizure freedom:無発作状態)をお届けする使命を追求し、てんかんの患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

                  

■ 主なポスター発表演題

※左右にスクロールできます

化合物
ポスター番号
発表日時(米国中部標準時間)
発表演題
ペランパネル
ポスター番号 1.215
発表:12月4日(土)
ポスター議論:12:00-14:00
高齢てんかん患者様におけるペランパネルの使用:
リアルワールドの統合解析
E2730
ポスター番号 2.197
発表:12月5日(日)
ポスター議論:12:00-14:00
新規選択的不競合GAT-1阻害剤E2730の創製:
in vivoにおける性質
ペランパネル
ポスター番号 2.201
発表:12月5日(日)
ポスター議論:12:00-14:00
未治療の新たに診断されたまたは再発した焦点起始発作(FOS)患者様における長期ペランパネル単剤療法と健康関連QOL:
FREEDOM342試験継続投与
ペランパネル
ポスター番号 2.218
発表:12月5日(日)
ポスター議論:12:00-14:00
高齢患者様におけるペランパネル:
臨床307、335、412、342、および506試験のデータ概要
ペランパネル
ポスター番号 3.219
発表:12月6日(月)
ポスター議論:12:00-13:45
年齢カテゴリー別の臨床診療における小児患者様治療のためのペランパネル
ペランパネル
ポスター番号 1.283
バーチャル
未治療の新たに診断されたまたは再発した焦点起始発作(FOS)患者様におけるペランパネル単剤療法の長期有効性と安全性:
FREEDOM342試験継続投与
ペランパネル
ポスター番号2.202
バーチャル 
焦点起始発作および焦点起始両側性強直間代発作の患者様における
ペランパネル併用療法による長期間の発作フリー:
臨床335試験非盲検延長の事後分析
ペランパネル
ポスター番号2.208
バーチャル 
臨床第Ⅳ相ELEVATE試験に登録されたてんかん患者様における
ペランパネル(単剤療法/最初の併用療法)後の認知(EpiTrack®)およびうつ病(ベックうつ病質問票-II)の評価

 

 

以上

           

<参考資料>

1. ペランパネル(日本製品名:「フィコンパ」、英語製品名:「Fycompa」)について

 ペランパネルは、当社が創製したファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。てんかん発作は、神経伝達物質であるグルタミン酸により誘発されることが報告されており、本剤は、グルタミン酸によるシナプス後膜のAMPA受容体の活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する高選択、非競合AMPA受容体拮抗剤です。ペランパネルは1日1回就寝前に経口投与するタイプの製剤です。日本では、錠剤と細粒剤の承認を取得しています。米国および欧州では、錠剤と経口懸濁液の承認を取得しています。

 本剤は、部分てんかんの併用療法に対して日本、米国、欧州、中国、アジアなど 70 カ国以上で承認を取得しています。また、日本、米国および中国では、4歳以上の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する単剤療法および併用療法での承認を取得しています。欧州では、4歳以上の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法での承認を取得しています。全般てんかんの強直間代発作の併用療法の適応についても、日本、米国、欧州、アジアなど 70 カ国以上で承認を取得しています。欧州では 7 歳以上の全般てんかんの強直間代発作の併用療法での承認を取得しています。

 現在までに、世界で41万人を超える患者様にペランパネルが処方されました(すべての適応症の合計)。

 本剤について、レノックス・ガストー症候群に伴うてんかん発作を有する患者様を対象としたグローバル臨床第Ⅲ相試験(338試験)を実施しています。また、注射剤の開発も行っています。

 

2. E2730について

 E2730は、当社筑波研究所で創製された、活性化状態にあるシナプス機能を選択的に調整する新規選択的不競合GAT-1(GABA transporter 1)阻害剤です。てんかんに対する臨床試験を実施しています。

 

3. てんかんについて

 てんかんは、発作のタイプによって、てんかん全体の約6割を占める部分発作と、約4割を占める全般発作に大別されます。部分発作では、脳の電気信号の異常が一部分に限定されています。部分発作の中には、異常が二次的に脳全体に広がり、全般性の発作になるものもあります(二次性全般化発作)。全般発作では、電気信号の異常が脳全体に起こり、発作直後から意識がなくなったり、全身に症状が現れたりします。

 

 てんかんの患者様数は、米国で約340万人、日本で約100万人、欧州で約600万人、中国で約900万人、世界中で約6,000万人などの報告があります。てんかん患者様の約30%が既存の抗てんかん剤では発作を十分にコントロールできておらず、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患です。てんかんはすべての年代で発病しますが、18歳以前の小児期と高齢期での発病が多いとされています。小児てんかんの原因や臨床像は一様ではなく、その予後も極めて良い場合や難治が予測される場合もあり、その治療はそれぞれの患者様に特有の配慮が求められます。

 

“The Epilepsies and Seizures: Hope Through Research. What are the epilepsies?” National Institute of Neurological Disorders and Stroke, accessed May 24, 2016, http://www.ninds.nih.gov/disorders/epilepsy/detail_epilepsy.htm#230253109