ADUHELM™の最新データをアルツハイマー病協会国際会議2021(AAIC2021)において発表

  • EMERGE試験の項目レベルの解析では、早期アルツハイマー病における認知機能、日常生活機能、行動に関する評価項目を通じ一貫した悪化抑制を示す
  • ADUHELMの治療による脳内アミロイドβおよびアルツハイマー病のその他のバイオマーカーの減少と臨床症状の悪化との相関に関する評価などを発表
  • 臨床第Ⅲ相試験におけるアミロイド関連画像異常(ARIA)に関する発表では、実臨床診療における効果的なモニタリングと管理のための知見を提供

2021年7月27日-バイオジェン・インク(Nasdaq: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)とエーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、2021年7月26日から30日に米国コロラド州デンバーおよびバーチャルで開催されているアルツハイマー病協会国際会議(Alzheimer's Association International Conference: AAIC)2021において、両社のアルツハイマー病(AD)の研究ポートフォリオの一部として、ADUHELM™(一般名:アデュカヌマブ)注射100mg/mL溶液による臨床試験データに関する4つのポスター発表をバイオジェンが行うことをお知らせします。

 

ADUHELMは、2021年6月7日、AD治療剤として米国食品医薬品局(FDA)から迅速承認を受けました。ADUHELMによる治療は、臨床試験において治療開始の対象としたADによる軽度認知障害または軽度ADの当事者様において開始する必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始における安全性と有効性に関するデータはありません。本適応症は、ADUHELMの治療により観察されたアミロイドβプラークの減少に基づき、迅速承認の下で承認されています。本迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。

 

ADUHELMの迅速承認は、臨床的有用性、この場合は臨床症状の悪化抑制をもたらす可能性が合理的に高い代替バイオマーカーであるアミロイドβプラークの減少に対するADUHELMの効果を示す臨床試験のデータに基づいて付与されました。

 

バイオジェンの研究開発責任者であるAlfred Sandrock Jr. M.D., Ph.D.は、「AAICで、認知症研究コミュニティへ一連の臨床試験データを発表することで、科学者や神経科医と直接関わり、試験結果の詳細な分析を行うことが出来るようになります。バイオマーカー、ARIAと安全性管理、ADUHELMの臨床第Ⅲ相試験で事前に規定された臨床評価項目などに関する我々の解析を共有することを楽しみにしています」と述べています。

 

エーザイ ニューロロジービジネスグループのチーフクリニカルオフィサーであるLynn Kramer, M.D.は、「当社との共同資産であるADUHELMについて、バイオジェンがAAICにおいて発表した臨床試験の結果は重要であり、ADで発生する最も初期の変化の1つとしてのアミロイドβパスウェイの強固な科学的合理性を我々が追求し続けていることをサイエンスコミュニティに伝える一助となると信じています」と述べています。

 

ADUHELMポスター発表

「臨床第Ⅲ相EMERGE試験における高用量アデュカヌマブによる治療後の早期AD被験者における臨床評価指標の項目毎の分析」

 

EMERGE試験の項目毎の解析データに関するポスター発表では、臨床第Ⅲ相試験としての主要、副次、および三次評価項目の個々のドメインにわたって、認知機能、日常生活機能、行動を含む事前に設定された評価項目で高用量アデュカヌマブによる治療効果の一貫性が示されていることを発表します。

 

EMERGE試験の項目毎のデータセットでは、試験の主要評価項目であるClinical Dementia Rating Sum of Boxes (CDR-SB)の6つのドメイン(認知機能3つおよび日常生活機能3つ)すべてにわたってアデュカヌマブの治療効果が観察されました。治療効果は、副次評価項目である、初期の症候性ADの認知機能変化に感度が高いAlzheimer’s Disease Assessment Scale – Cognitive Subscale(13項目:ADAS-Cog13)、および日常生活動作を広範囲にわたって測定するAlzheimer's Disease Cooperative Study-Activities of Daily Living Inventory(Mild Cognitive Impairment version: ADCS-ADL-MCI)でも観察されました。

 

また、EMERGE試験の三次評価項目であるNeuropsychiatric Inventory-10(NPI-10)による評価では、アデュカヌマブ治療によりADの行動および精神症状が軽減されました。

 

これらの結果は、AD当事者様が経験する幅広い認知、機能、行動の症状を測定するために事前に設定されたEMERGE試験の評価項目の一次解析の結果と一貫性を示しています。EMERGE試験のアデュカヌマブ高用量治療は、事前に設定された主要および副次臨床有効性評価項目において、プラセボと比較して統計的に有意な臨床症状の悪化抑制を示したと結論付けています。

 

「アデュカヌマブの治療によるADバイオマーカーの減少と臨床症状の悪化抑制との関連性」

 

本ポスター発表では、3つの解析を通じてアデュカヌマブによる脳内アミロイドβプラークおよびAD病態生理における下流のバイオマーカーの減少と臨床症状悪化の抑制との関連性について研究しました。

 

最初のグループレベルの分析では、アミロイドPETイメージングによって測定される脳内アミロイドβプラークレベルとCDR-SBによって測定される臨床症状の悪化抑制におけるアデュカヌマブの治療効果をプラセボと比較し、臨床症状への関連性をPRIME試験、EMERGE試験、およびENGAGE試験のすべてのアデュカヌマブ用量群にわたって調べました。これらの試験に基づくグループレベルの解析では、ENGAGE試験の高用量群を除く用量群およびこれら試験を通じて、アデュカヌマブによる脳内アミロイドβプラークレベルに対する治療効果と臨床評価項目との間に正の関連性が示されました。

 

2つ目の解析では、脳内アミロイドβプラークレベルとADの病態生理の下流バイオマーカーや臨床評価項目におけるアデュカヌマブ治療効果との関係性を被験者レベルの解析で調べました。EMERGE試験およびPRIME試験においては、脳内アミロイドβプラークレベルの大幅な減少は、各試験の臨床症状の悪化抑制と関連していました。EMERGE試験では、脳内アミロイドβプラークレベルの大幅な低下は、タウおよび神経変性の脳脊髄液(CSF)マーカーの大幅な低下、および臨床症状のエンドポイントにおける悪化抑制とも関連していました。これらの関連性のいくつかは、アデュカヌマブの臨床治療効果が観察されなかったENGAGE試験では明らかではありませんでした。

 

3番目の解析では、PRIME試験、EMERGE試験、およびENGAGE試験において、脳内アミロイドβプラークレベルがアミロイド陰性と見なされる閾値まで減少した当事者様は、その閾値まで達していない当事者様と比較して、臨床症状の悪化がより抑制されたことが示されました。総合すると、これらの結果は、アデュカヌマブの想定される作用機序と一致しており、アデュカヌマブにより得られるAD病態生理のバイオマーカーの変化と臨床症状の悪化抑制との関係を裏付けています。

 

その他のADUHELMに関するポスター発表

バイオジェンは、ADUHELMについてその他2つのバーチャルポスターを発表します。

  • 「早期AD被験者を対象としたアデュカヌマブ臨床第Ⅲ相EMERGE試験およびENGAGE試験のアミロイドPETサブスタディのサブグループ解析」は、AD当事者様の脳内アミロイドβプラークレベルにアデュカヌマブがどのように影響したかを調べるために、6つのベースラインの要因(ApoEε4の状態、ベースライン時の臨床病期(ADによるMCI、軽度AD)、ベースライン時の重症度(MMSE)、ベースライン時の既承認AD治療薬の使用の有無、年齢、性別)に基づき事前に特定された13のサブグループに階層化して検討した結果の発表です。これら13のサブグループすべてにおいて、EMERGE試験とENGAGE試験のいずれにおいても、低用量群と高用量群の被験者様は、プラセボ投与群と比較して、Aβプラークレベルが用量依存的に減少し、アミロイドPETサブスタディ集団全体の結果と一致していました。
  • 「アデュカヌマブ臨床第Ⅲ相EMERGE試験およびENGAGE試験に基づくARIAの実臨床における管理に関する検討事項」は、本2試験において高用量(10 mg / kg)で治療された被験者様に発現したアミロイド関連画像異常(ARIA)の特徴を説明するポスター発表で、実臨床における効果的なARIAのモニタリングと管理に関する情報を提供します。本ポスターには、ARIAの発現率、画像による重症度、およびApoEε4キャリア/ノンキャリアにおける症状、画像によるARIA-E検出のタイミングと解像度の関係性、画像による重症度と症状の関係性、軽度の無症候性ARIAによる投薬の結果に関するデータが含まれています。米国では、ARIAのモニタリングと管理は、米国の添付文書の推奨事項に従って行う必要があります。
    • ・ARIAはほとんど無症候性でした:アデュカヌマブ治療を受けた治験参加者で生じたARIAの76%は症状を示しませんでした。
      • ・ARIAは、一般的に画像による診断で軽度または中等度であり、一過性でした。
      • ・画像による診断と症状は、ApoEε4キャリアとノンキャリアで類似していました。
      • ・ARIAの画像による診断だけでは、症状の状態を予測することはできません。
      • ・画像診断によると、一般的に、重症ARIA-Hは、ARIA-Eと同時に発生しました。
      • ・投薬が継続されたARIAイベントの約6%で、新たな症状発生が認められました。

ポスターとプレゼンテーションはAAIC会議のウェブサイトに30日間掲載され、また、Biogen.comでも入手できます。

 

 

参考資料

 

ADUHELM(一般名:アデュカヌマブ)注射100mg/mL 溶液について 

ADUHELMの適応症は、アルツハイマー病の治療です。ADUHELMによる治療は、臨床試験において治療開始の対象としたアルツハイマー病による軽度認知障害または軽度認知症の患者様において開始される必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性に関するデータはありません。本適応症は、ADUHELMの治療により観察されたアミロイドβプラークの減少に基づき、迅速承認の下で承認されています。本迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。

 

アデュカヌマブは、アミロイドβに対するモノクローナル抗体です。脳内のアミロイドβプラークの蓄積は、アルツハイマー病の明確な病態生理学的特徴です。ADUHELMの迅速承認は、臨床的有用性、この場合は臨床症状の悪化抑制をもたらす可能性が合理的に高い代理バイオマーカーであるアミロイドβプラークの減少に対するADUHELMの効果を示す臨床試験のデータに基づいて付与されました。

 

ADUHELMは、次のような重篤な副作用を引き起こす可能性があります。アミロイド関連画像異常(ARIA)は、通常は症状を引き起こさない一般的な副作用ですが、重篤になる場合があります。ほとんどの人は症状がありませんが、頭痛、錯乱、めまい、視力の変化、吐き気などの症状が現れる人もいます。医療提供者は、患者様に対してADUHELMによる治療前と治療中に磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを行い、ARIAをチェックします。

ADUHELMは、深刻なアレルギー反応の症状を引き起こす可能性があります。

 

ADUHELMの最も一般的な副作用には、脳内または脳の表面の小さな出血の斑点の有無によらない脳の浮腫(ARIA)、頭痛と転倒があります。患者様は、副作用に関する医学的アドバイスをもらうように医療提供者に電話する必要があります。

米国における添付文書投薬ガイドはこちらから入手できます。

 

バイオジェンについて 

神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、免疫疾患、神経認知障害、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、http://www.biogen.com/ およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。

 

エーザイ株式会社について

エーザイ株式会社は、本社を日本に置くグローバル製薬企業です。当事者とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)・コンセプト」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

 

エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験を活かし、エーザイ認知症プラットフォームの確立を企図し、医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携して、新たな便益をお届けする「認知症エコシステム」の構築をめざしています。エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。

 

Biogen Safe Harbor  

This news release contains forward-looking statements, including statements made pursuant to the safe harbor provisions of the Private Securities Litigation Reform Act of 1995, relating to: the potential clinical effects of ADUHELM and BIIB080; the potential benefits, safety and efficacy of ADUHELM and BIIB080; the results of the Phase 3 studies and Phase 1b study of ADUHELM and the Phase 1b study of BIIB080; the identification and treatment of Alzheimer’s disease; potential regulatory approvals and the timing thereof; the potential of our commercial business and pipeline programs, including ADUHELM and BIIB080; the anticipated benefits and potential of our collaboration arrangements with Eisai; the clinical development program, clinical trial(s) and data readouts and presentations for ADUHELM and BIIB080; and risks and uncertainties associated with drug development and commercialization. These forward-looking statements may be accompanied by such words as “aim,” “anticipate,” “believe,” “could,” “estimate,” “expect,” “forecast,” “goal,” “intend,” “may,” “plan,” “potential,” “possible,” “prospect,” “will,” “would” and other words and terms of similar meaning. Drug development and commercialization involve a high degree of risk, and only a small number of research and development programs result in commercialization of a product. Results in early-stage clinical trials may not be indicative of full results or results from later stage or larger scale clinical trials and do not ensure regulatory approval. You should not place undue reliance on these statements or the scientific data presented.

 

These statements involve risks and uncertainties that could cause actual results to differ materially from those reflected in such statements, including: regulatory authorities may require additional information or further studies, or may fail or refuse to approve or may delay approval of our drug candidates, including ADUHELM and BIIB080; unexpected concerns that may arise from additional data or analysis obtained during clinical trials; actual timing and content of submissions to and decisions made by the regulatory authorities regarding ADUHELM; the occurrence of adverse safety events, restrictions on use or product liability claims; risks of unexpected costs or delays; the risk of other unexpected hurdles; failure to protect and enforce our data, intellectual property and other proprietary rights and uncertainties relating to intellectual property claims and challenges; third party collaboration risks; the direct and indirect impacts of the ongoing COVID-19 pandemic on our business, results of operations and financial condition; and any other risks and uncertainties that are described in other reports Biogen has filed with the U.S. Securities and Exchange Commission. These statements are based on Biogen’s current beliefs and expectations and speak only as of the date of this news release. Biogen does not undertake any obligation to publicly update any forward-looking statements, whether as a result of new information, future developments or otherwise.

 

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    IR@biogen.com

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