「レンビマ®」(レンバチニブ)と「キイトルーダ®」(ペムブロリズマブ)の併用療法について進行性子宮内膜がんに係る承認を米国FDAより取得免疫療法とチロシンキナーゼ阻害剤の併用療法による治療ラインに関わらず全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応な高頻度マイクロサテライト不安定性を有さない、またはミスマッチ修復機構欠損を有さない進行性子宮内膜がんに関する承認
 
臨床試験では、全生存期間、無増悪生存期間および奏効率を統計学的に有意に改善し、進行性子宮内膜がんにおける切なるアンメット・ニーズに応えるものとなる

エーザイ株式会社

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.

       

 エーザイ株式会社(本社 東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下エーザイ)とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米以外ではMSD)は、このたび、エーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ®」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗PD-1抗体「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ)の併用療法による、治療ラインに関わらず全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応な高頻度マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability-high: MSI-H)を有さない、またはミスマッチ修復機構欠損(mismatch repair deficient: dMMR)を有さない進行性子宮内膜がんの適応について、米国食品医薬品局(FDA)より承認を取得したことをお知らせします。

   

 本患者様集団に対する今回の承認は、臨床第Ⅲ相309試験/KEYNOTE-775試験の結果に基づいています。本試験において、対照薬の化学療法(治験医師選択によるドキソルビシンまたはパクリタキセル)と比較して、本併用療法は、全生存期間(Overall Survival: OS)を統計学的に有意に延長し、死亡リスクを32%減少させました(ハザード比(Hazard Ratio: HR)=0.68 [95% 信頼区間(Confidence Interval: CI), 0.56-0.84]; p=0.0001)。また、無増悪生存期間(Progression-Free Survival: PFS)を統計学的に有意に延長し、増悪または死亡のリスクを40%減少させました(HR=0.60 [95% CI, 0.50-0.72]; p<0.0001)。さらに、本併用療法の奏効率(Objective Response Rate: ORR)は30%(95%CI: 26-36)であり、治験医師選択によるドキソルビシンまたはパクリタキセルの15%(95%CI: 12-19)と比較して、統計学的に有意な改善を示しました。本併用療法と治験医師選択によるドキソルビシンまたはパクリタキセルの完全奏効率はそれぞれ5%と3%であり、部分奏効率はそれぞれ25%と13%でした。

   

 「レンビマ」投与により発現する可能性のある有害事象(Adverse reactions)には、高血圧、心機能障害、動脈血栓塞栓症、肝毒性、腎不全または腎機能障害、蛋白尿、下痢、瘻孔形成ならびに消化管穿孔、QT間隔延長、低カルシウム血症、可逆性後白質脳症症候群、出血性イベント、甲状腺刺激ホルモン抑制障害/甲状腺機能障害、創傷治癒障害、および顎骨壊死が含まれ、重篤または致死的なものが発現する可能性があります。有害事象の種類および/またはその重症度により、「レンビマ」は休止、減量および/または、中止される可能性があります。作用メカニズムおよび動物での再現試験に基づき、「レンビマ」は、妊婦に投与されると致死的な出血を引き起こす可能性があります。妊娠の可能性のある女性は避妊が推奨されます。「レンビマ」の米国におけるさらに詳しい情報は、参考資料の「安全性情報について」をご覧ください。

    

 「キイトルーダ」投与により、免疫介在性有害事象(immune-mediated adverse reactions)は、あらゆる臓器または組織において発現する可能性があり、同時に複数の体組織に影響を及ぼす可能性や、重症または致死的なものが発現する可能性もあります。「キイトルーダ」投与中または投与後に発現する可能性のある免疫介在性有害事象には、肺臓炎、結腸炎、肝炎、内分泌障害、腎炎、皮膚反応、実質臓器移植拒絶反応、および同種造血幹細胞移植合併症が含まれます。上記に記載されている免疫介在性有害事象には、起こりうる重症および致死的な免疫介在性有害事象のすべてが含まれていない可能性があります。「キイトルーダ」の安全な使用を担保する上で、免疫介在性有害事象の早期の同定およびマネジメントは必要不可欠です。有害事象の重症度に基づき、必要に応じて、「キイトルーダ」を休薬または投与中止し、コルチコステロイドの投与が必要となります。「キイトルーダ」は重症または生命を脅かす輸注反応を引き起こす可能性があります。作用メカニズムに基づき、「キイトルーダ」は、妊婦に投与されると胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。「キイトルーダ」の米国におけるさらに詳しい情報は、参考資料の「安全性情報について」をご覧ください。

    

 本試験の治験責任医師であり、Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのメディカルオンコロジストであるVicky Makker博士は、「根治的治療に不適応な進行性子宮内膜がんの5年生存率はわずか17%であり、特に、全身化学療法後に増悪した患者様の治療選択肢は限られています。本承認は、患者様のこの治療困難な悪性腫瘍との闘いを支援する重要なステップであり、医師は、生存期間を延長する新たな治療選択肢を患者様に提示することが可能となります」と述べています。

   

 Merck & Co, Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. 研究開発本部 オンコロジークリニカルリサーチのバイスプレジデントであるGregory Lubiniecki博士は、「本試験で使用された化学療法と比較して、本併用治療レジメンは、前治療歴のある進行性子宮内膜がん患者さんにおいて延命効果を示しました。今回の承認は、本併用療法がすでに取得している進行性子宮内膜がんに対する迅速承認の検証試験としての臨床第Ⅲ相試験の結果に基づくものであり、治療困難ながんに対する本併用療法の可能性を追求してきたエーザイとの共同研究の成果をさらに裏付けるものです」と述べています。

   

 エーザイ株式会社の執行役 オンコロジービジネスグループ チーフメディスンクリエーションオフィサー兼チーフディスカバリーオフィサーである大和隆志博士は、「FDAによる進行性子宮内膜がんにおける「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法の承認は、治療オプションが限られていた患者様コミュニティを救う重要なステップとなります。本承認は、我々が、がん患者様のアンメット・ニーズへの対応を追求し続けてきた成果です。臨床第Ⅲ相309試験/KEYNOTE-775試験に参加いただいた患者様とそのご家族の皆様、および医療関係者の皆様に深く感謝します。本試験にご協力いただいた皆様のコミットメントのおかげで、我々は意義のあるマイルストンを達成できました」と述べています。

 

 本併用療法は、FDAの迅速承認制度、リアルタイムオンコロジーレビュー(Real-Time Oncology Review:RTOR)パイロットプログラム*1、およびプロジェクトOrbis*2の先駆け制度の下、111試験/ KEYNOTE-146試験の結果に基づき、全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応なMSI-Hを有さない、またはdMMRを有さない進行性子宮内膜がんの適応で、既に承認を受けていました。迅速承認制度に従って、この迅速承認の継続には、臨床的有用性の検証と説明が要件となっていましたが、臨床第Ⅲ相309試験/KEYNOTE-775試験の結果により、本要件は満たされ、今回の承認にいたりました。

   

    

* 1 安全で有効な治療法をできる限り早く患者様にお届けできるように、より効率的な承認審査を追求したプログラム

* 2 FDA Oncology Center of Excellenceが主導する複数国の当局による同時申請・審査に向けた国際的な枠組み

     

以上

                      

本件に関する報道関係お問い合わせ先

  • エーザイ株式会社

    PR部

    TEL:03-3817-5120

  • Merck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.

    Media Relations

    Melissa Moody: +1(215) 407-3536

    Justine Moore: +1(347) 281-3754

<参考資料>

本承認の基となった試験結果について

 本承認は、ネオアジュバントおよびアジュバントを含むいずれかの治療ラインにおいて、少なくとも1レジメンのプラチナ製剤による前治療歴のある進行性子宮内膜がんを対象とした、多施設共同、非盲検、無作為化、実薬対照の827人の患者様を登録した臨床第Ⅲ相309試験/KEYNOTE-775試験(ClinicalTrials.gov, NCT03517449)の結果に基づいています。癌肉腫を含む子宮肉腫の患者様、活動性の自己免疫疾患または免疫抑制が必要な健康状態の患者様は、本試験の登録に不適格と判断されました。MSI-Hを有さない、またはdMMRを有さない進行性子宮内膜がん患者様は、Eastern Cooperative Oncology Group (ECOG) performance status (PS)(数値が小さいほど健康状態がよい)、地域、および骨盤照射による放射線治療歴によって層別化されました。患者様は次の群に1:1で無作為に割り付けられました。

  • 「レンビマ」(20 mg、1日1回経口投与)と「キイトルーダ」(200 mg、3週ごと静脈内投与)の併用
  • 対照薬である治験医師選択によるドキソルビシン(60 mg/m2 3週ごと投与)またはパクリタキセル(80 mg/m2 週 1 回投与を 3週連続し、1週間休薬)
  •  治験薬の投与は、許容できない毒性、またはRECIST v1.1(固形がんに対する腫瘍径の変化を効果判定に用いる評価基準)に基づく独立画像判定により増悪とされるまで継続されました。「キイトルーダ」の投与は最大で24カ月まで継続されました。本併用療法は、患者様が臨床的に病勢安定と診断され、治験医師によって臨床的有用性および忍容性があると判断された場合、RECISTv1.1で定義された増悪後も投与継続が認められました。腫瘍評価は8週毎に行われました。主要な有効性評価項目は、OSおよびRECIST v1.1(標的病変の総数は最大10個、各臓器における最大数は5個に変更)に基づく独立画像判定によるPFSでした。その他の有効性評価項目には、独立画像判定によるORRおよび奏効期間が含まれました。

 dMMRを有さない697人の患者様のうち、346人が「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法群に割り付けられ、351人が治験医師選択によるドキソルビシン(254人)またはパクリタキセル(97人)に無作為化されました。dMMRを有さない患者様集団の特徴は、年齢の中央値65歳(範囲:30-86歳)、65歳以上52%、人種:白人62%、アジア人22%、黒人3%、ECOG PS0 60%、ECOG PS1 40%でした。組織学的な分類は、類内膜癌55%、漿液性癌30%、明細胞癌7%、混合癌4%、その他3%でした。これら697人すべての患者様に子宮内膜がんに対する全身療法治療歴があり、67%は1回、30%は2回、3%は3回以上の全身療法治療歴がありました。37%の患者様がネオアジュバンドまたはアジュバンド治療のみを受けていました。

 MSI-Hを有さない、またはdMMRを有さない患者様集団における有効性に関する試験結果は以下のとおりでした。


子宮内膜がん
(MSI-Hを有さない、またはdMMRを有さない)
評価項目 「レンビマ」と「キイトルーダ」(「キイトルーダ」は200mgを3週間ごとに投与)(n=346) ドキソルビシンまたはパクリタキセル(n=351)
OS
イベントの発生した患者様数(%) 165 (48%) 203 (58%)
OS(カ月)の中央値(95% CI) 17.4 (14.2, 19.9) 12.0 (10.8, 13.3)
ハザード比*1 (95% CI) 0.68 (0.56, 0.84)
p-value*2 0.0001
PFS
イベントの発生した患者様数(%) 247 (71%) 238 (68%)
PFS(カ月)の中央値(95% CI) 6.6 (5.6, 7.4) 3.8 (3.6, 5.0)
ハザード比*1 (95% CI) 0.60 (0.50, 0.72)
p-value*2 <0.0001
奏効率(ORR)
ORR*3 (95% CI) 30% (26, 36) 15% (12, 19)
完全奏効 5% 3%
部分奏効 25% 13%
p-value*4 <0.0001
奏効期間
(Duration of Response: DOR)
n=105 n=53
DOR(カ月)の中央値(範囲) 9.2 (1.6+, 23.7+) 5.7 (0.0+, 24.2+)

*1 層別Cox回帰モデルに基づく

*2 層別ログランク検定に基づく

*3 奏効: 確定した完全奏効または部分奏効である最良総合効果

*4 ECOG PS、地域、および骨盤照射による放射線治療歴によって層別化されたMiettinen and Nurminen法に基づく

 

 腫瘍がMSI-Hを有さない、またはdMMRを有さない状態であった患者様において、治験薬の投与期間の中央値は7.2カ月(範囲:1日-26.8カ月)でした。「レンビマ」の投与期間の中央値は6.7カ月(範囲:1日-26.8カ月)でした。「キイトルーダ」の投与期間の中央値は6.8カ月(範囲:1日-25.8カ月)でした。

 致死的な有害事象(fatal adverse reactions)は「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法を受けた患者様のうち、4.7%に発現し、2例の肺炎、1例の急性腎障害、急性心筋梗塞、大腸炎、食欲減退、腸管穿孔、下部消化管出血、悪性消化管閉塞、多臓器機能不全症候群、骨髄異形成症候群、肺塞栓症、および右室機能不全が含まれました。

 「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法を受けたこれらの患者様のうち、50%に重篤な有害事象(serious adverse reactions)が発現しました。発現した重篤な有害事象(serious adverse reactions、発現率3%以上)は、高血圧(4.4%)および尿路感染(3.2%)でした。

 「レンビマ」の投与中止に至った有害事象(adverse reaction、グレード1-4)は、26%の患者様で発現しました。「キイトルーダ」の投与中止に至った有害事象(adverse reaction、グレード1-4)は、15%の患者様で発現しました。「レンビマ」の投与中止に至った頻度の高い有害事象(発現率1%以上)は、高血圧(2.0%)、無力症(1.8%)、下痢(1.2%)、食欲減退(1.2%)、蛋白尿(1.2%)、および嘔吐(1.2%)でした。「キイトルーダ」の投与中止に至った頻度の高い有害事象(発現率1%以上)は、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)増加(1.2%)でした。

 「レンビマ」の休薬に至った有害事象は58%の患者様に発現しました。「キイトルーダ」の休薬に至った有害事象は48%の患者様に発現しました。「レンビマ」の減量または休薬に至った頻度の高い有害事象(発現率2%以上)は、高血圧(11%)、下痢(11%)、蛋白尿(6%)、食欲減退(5%)、嘔吐(5%)、ALT増加(3.5%)、疲労(3.5%)、悪心(3.5%)、腹痛(2.9%)、体重減少(2.6%)、尿路感染(2.6%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)増加(2.3%)、無力症(2.3%)、および手掌・足底発赤知覚不全症候群(2%)でした。「キイトルーダ」の休薬に至った頻度の高い有害事象(発現率3%以上)は、下痢(8%)、ALT増加(4.4%)、AST増加(3.8%)および高血圧(3.5%)でした。

 「レンビマ」投与を受けた患者様の67%は、有害事象により「レンビマ」を減量されました。「レンビマ」の減量に至った頻度の高い有害事象(発現率5%以上)は、高血圧(18%)、下痢(11%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(9%)、蛋白尿(7%)、疲労(7%)、食欲減退(6%)、無力症(5%)、および体重減少(5%)でした。

 「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法によって発現した頻度の高い有害事象(全グレード、発現率20%以上)は、甲状腺機能低下症(67%)、高血圧(67%)、疲労(58%)、下痢(55%)、筋骨格系障害(53%)、悪心(49%)、食欲減退(44%)、嘔吐(37%)、口内炎(35%)、体重減少(34%)、腹痛(34%)、尿路感染(31%)、蛋白尿(29%)、便秘(27%)、頭痛(26%)、血性イベント(25%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(23%)、発声障害(22%)、および発疹(20%)でした。

 

子宮内膜がんについて1,2,3,4,5
 子宮内膜がんは、子宮の内層に発生し、子宮における最も発生頻度の高いがんです。子宮体がんの罹患者数は2020年において、世界で41万7千人以上と推定され、約9万7千人以上が亡くなったとされています(これらの推定には子宮内膜がんに加えて子宮肉腫が含まれています。子宮内膜がんは子宮体がんの90%以上を占めるとされていますが、子宮内膜がんのみの数はこの数よりもやや少ないと考えられます)。日本では2020年に  約1万7千人以上が新たに子宮体がんと診断され、約3千人以上が亡くなられたとされています。米国では2021年に約6万6千人以上が新たに子宮体がんと診断され、約1万3千人が亡くなると推定されています。転移性子宮内膜がん(stage IV)の5年生存率は約17%と推計されています。

  

「レンビマ」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)について

 「レンビマ」は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する、経口投与可能なエーザイ創製のマルチキナーゼ阻害剤です。

 非臨床研究モデルにおいて、「レンビマ」は、がん微小環境における免疫抑制因子として知られている腫瘍関連マクロファージの割合を減少させ、インターフェロンガンマ(IFN-γ)シグナル伝達刺激により活性化細胞傷害性T細胞の割合を増加させることで、抗PD-1モノクローナル抗体併用時は、「レンビマ」および抗PD-1モノクローナル抗体のそれぞれの単剤療法を上回る抗腫瘍活性をもたらします。

 現在、本剤は、単剤療法として、甲状腺がんに係る適応で日本、米国、欧州、中国、アジアなど75カ国以上で承認を取得しており(米国では、局所再発または転移性、進行性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんに係る適応)、また、切除不能肝細胞がんに係る適応で日本、米国、欧州、中国、アジアなど70カ国以上で承認を取得しています(米国では、一次治療薬としての切除不能な肝細胞がんに係る適応)。日本においては、単剤療法として胸腺がんに係る適応も取得しています。加えて、血管新生阻害剤治療後の腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法に係る適応で米国、欧州、アジアなど60カ国以上で承認を取得しています(米国では、血管新生阻害剤1レジメン治療後の進行性腎細胞がんに対するエベロリムスとの併用療法に係る適応)。欧州での腎細胞がんに係る適応については「Kisplyx®」の製品名で発売しています。さらに、米国において、治療ラインに関わらず全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応なMSI-Hを有さない、またはdMMRを有さない進行性子宮内膜がんに対する「キイトルーダ」との併用療法に係る適応で承認を取得しました。なお、111/KEYNOTE-146試験に基づき、同様の適応でカナダ、オーストラリアなど10カ国以上で条件付き承認を取得しています。(いくつかの国では、この承認の継続には、別途検証試験における臨床的有用性の検証と説明が求められます)。

 

「キイトルーダ」(一般名:ペムブロリズマブ)について

 「キイトルーダ」は、自己の免疫力を高め、がん細胞を見つけて攻撃するのを助ける抗programmed death receptor-1(PD-1)抗体です。「キイトルーダ」はPD-1とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2との相互作用を阻害して、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化するヒト化モノクローナル抗体です。Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は業界最大のがん免疫療法臨床研究プログラムを行っており、現在1,500を超える「キイトルーダ」の臨床試験を実施し、幅広い種類のがんや治療セッティングを検討しています。「キイトルーダ」の臨床プログラムでは、さまざまながんにおける「キイトルーダ」の役割や、「キイトルーダ」による治療効果が得られる可能性を予測する因子について模索しており、さまざまなバイオマーカーの模索も行っています。

 

安全性情報について

 米国における「レンビマ」と「キイトルーダ」の安全性情報については、「レンビマ」製品ウェブサイト(http://www.lenvima.com)および「キイトルーダ」製品ウェブサイト(https://www.keytruda.com)をそれぞれご覧ください。

 

エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.による戦略的提携について

 2018年3月に、エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. (米国とカナダ以外ではMSD)は、「レンビマ」のグローバルな共同開発および共同販促を行う戦略的提携に合意しました。本合意に基づき、両社は、「レンビマ」について、単剤療法およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗PD-1抗体「キイトルーダ」の併用療法における共同開発、共同製造、共同販促を行います。

 既に実施している併用試験に加え、両社は新たにLEAP(LEnvatinib And Pembrolizumab)臨床プログラムを開始しました。これにより、「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法は13種類のがんにおける20を超える臨床試験が進行中です。

 

エーザイのがん領域の取り組みについて

 エーザイは、がん領域において、真の患者様ニーズが満たされておらず、かつ当社がフロントランナーとなり得る機会(立地)として、「ハラヴェン®」(一般名:エリブリンメシル酸塩)や「レンビマ」での経験知を活かした「がん微小環境」とRNAスプライシングプラットフォーム等を用いた「ドライバー遺伝子変異とスプライシング異常」を標的とした抗がん剤の開発にフォーカスしています。これらの立地から新たな標的や作用機序を有する革新的新薬を創出し、がんの治癒の実現に向けて貢献することをめざしています。

 

エーザイについて

 エーザイは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。当社はグローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、hhcの実現に向けて戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界中の約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

 当社はhhcの理念のもと、サイエンス、臨床科学、患者様の視点から、顧みられない熱帯病、持続可能な開発目標(SDGs)を含む世界のアンメット・メディカル・ニーズに対して、革新的なソリューションの提供をめざします。

 エーザイ株式会社の詳細情報は、www.eisai.co.jpをご覧ください。Twitterアカウント@Eisai_SDGsでも情報公開しています。

 

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.のがん領域における取り組み

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.では、画期的な科学を革新的ながん治療薬に変換して世界中のがん患者さんを助けることに取り組んでいます。当社のオンコロジー事業にとって、がんと闘う人々を助けることは私たちの情熱であり、がん治療薬へアクセスしやすくすることは私たちの責任です。また、がん領域における取り組みの一環として、医薬品業界で一二を争う急成長を遂げている開発プログラムにより、30種類以上のがんに対するがん免疫療法の可能性を模索しています。また、引き続き戦略的買収を通じて、がんのポートフォリオを強化し、進行がんの治療を改善する可能性をもつ有望ながん治療薬候補の開発を最優先に進めています。当社のオンコロジー臨床試験について詳しくは、当社ウェブサイトをご覧ください。

 

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.について

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外の国と地域ではMSD)は、130年にわたり、人々の生命を救い、人生を健やかにするというミッションのもと、世界で最も治療が困難な病気のために、革新的な医薬品やワクチンの発見、開発、提供に挑みつづけてきました。当社はまた、多岐にわたる政策やプログラム、パートナーシップを通じて、患者さんの医療へのアクセスを推進する活動に積極的に取り組んでいます。私たちは、今日、がん、HIVやエボラといった感染症、そして新たな動物の疾病など、人類や動物を脅かしている病気の予防や治療のために、研究開発の最前線に立ち続けており、世界最高の研究開発型バイオ医薬品企業を目指しています。詳細については当社ウェブサイトやMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.のTwitterFacebookInstagramYouTubeLinkedInをご参照ください。

 

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の将来に関する記述

 このニュースリリースには、米国の1995年私的証券訴訟改革法(the Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の免責条項で定義された「将来に関する記述」が含まれています。これらの記述は、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の経営陣の現時点での信条と期待に基づくもので、相当のリスクと不確実性が含まれています。新薬パイプラインに対する承認取得またはその製品化による収益を保証するものではありません。予測が正確性に欠けていた場合またはリスクもしくは不確実性が現実化した場合、実際の成果が、将来に関する記述で述べたものと異なる場合も生じます。

 リスクと不確実性には、業界の一般的な状況および競争環境、金利および為替レートの変動などの一般的な経済要因、最近の新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的蔓延、医薬品業界の規制やヘルスケア関連の米国法および国際法が及ぼす影響、ヘルスケア費用抑制の世界的な傾向、競合他社による技術的進歩や新製品開発および特許取得、承認申請などの新薬開発特有の問題、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.による将来の市況予測の正確性、製造上の問題または遅延、国際経済および政府の信用リスクなどの金融不安、画期的製品に対するMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の特許権やその他の保護の有効性への依存、特許訴訟や規制措置の対象となる可能性等がありますが、これらに限定されるものではありません。

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は、新たな情報、新たな出来事、その他いかなる状況が加わった場合でも、将来に関する記述の更新を行う義務は負いません。将来に関する記述の記載と大きく異なる成果を招くおそれがあるこの他の要因については、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.に関するForm 10-Kの2020年度年次報告書および米国証券取引委員会(SEC)のインターネットサイト(www.sec.gov)で入手できるSECに対するその他の書類で確認できます。

 

1 American Cancer Society, Facts & Figures 2020 pdf:

https://www.cancer.org/research/cancer-facts-statistics/all-cancer-facts-figures/cancer-facts-figures-2020.html

2 International Agency for Research on Cancer, World Health Organization. “Corpus uteri Fact Sheet.” Cancer Today, 2020. 

https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/24-Corpus-uteri-fact-sheet.pdf .

3 International Agency for Research on Cancer, World Health Organization. “Japan Fact Sheet.” Cancer Today, 2020.

https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/populations/392-japan-fact-sheets.pdf .

4 Cancer Research Institute website, accessed 3/1/2021:

https://www.cancerresearch.org/immunotherapy/cancer-types/uterine-endometrial-cancer

5 American Cancer Society website, accessed 3/1/2021:

https://www.cancer.org/cancer/endometrial-cancer/detection-diagnosis-staging/survival-rates.html