エーザイとブリストル マイヤーズ スクイブ
エーザイ創製の抗体薬物複合体MORAb-202に関するグローバルな戦略的提携契約を締結

エーザイ株式会社

ブリストル マイヤーズ スクイブ

     

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤 晴夫、以下 エーザイ)とブリストル マイヤーズ スクイブ(本社:米国ニューヨーク、CEO:ジョバンニ・カフォリオ)は、このたび、抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC)であるMORAb-202の共同開発・共同商業化に関するグローバルな独占的戦略的提携契約を締結したことをお知らせします。

 MORAb-202は、エーザイ創製の抗葉酸受容体(Folate Receptor:FR)α抗体に、酵素切断リンカーを介して、同じくエーザイ創製の抗がん剤エリブリンを化学結合させたエーザイ初のADCです。本剤は、良好な薬理学的プロファイルと進行性固形がんに対する単剤による抗腫瘍活性を示し、FRα ADCとしてベスト・イン・クラスのポテンシャルが期待されます。現在、エーザイがFRα陽性の固形がん(子宮内膜がん、卵巣がん、肺がん、乳がんを含む)を対象として、日本における臨床第Ⅰ相試験および米国における臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験の2試験を実施中です。両社は、早ければ2022年にも本剤の承認申請をめざした臨床試験に移行する予定です。

 

 本契約に基づき、両社は、MORAb-202について、日本、中国、アジア太平洋諸国*、米国、カナダ、欧州(欧州連合および英国など)およびロシアをコラボレーションテリトリーとして共同開発および共同商業化を行います。また、コラボレーションテリトリー以外の地域については、ブリストル マイヤーズ スクイブが単独で開発および商業化を行います。なお、エーザイがグローバルにおけるMORAb-202の製造および供給を担います。

 

 本契約の経済条件に基づき、ブリストル マイヤーズ スクイブは、契約締結時に一時金6.5億米ドル(約680億円、1ドル=104.5円換算)をエーザイに支払います。そのうち、2.0億米ドル(約209億円)が、今後のエーザイの本剤に関する研究開発費として充当されます。また、エーザイは、開発、薬事および販売マイルストンの達成により最大で24.5億米ドル(約2,560億円)を受け取ります。コラボレーションテリトリーにおいては、両社は本契約に従って、利益を分配するとともに、研究開発および商業化の費用を分担します。コラボレーションテリトリー以外の地域においては、ブリストル マイヤーズ スクイブがエーザイに対し、売上に対する一定のロイヤリティを支払う予定です。コラボレーションテリトリーにおけるMORAb-202の売上収益は、日本、中国、アジア太平洋諸国、欧州およびロシアにおいてエーザイが計上し、米国、カナダにおいてブリストル マイヤーズ スクイブが計上します。

 

 エーザイのCEOである内藤晴夫は、「MORAb-202は、エーザイ創製の抗体ならびにペイロードを当社の有する高いケミストリー力によって結合させた新規ADCです。本剤は、当社が現代有機合成化学の粋を結集して創製し、既に乳がんおよび悪性軟部腫瘍の治療薬として患者様貢献を果たしているエリブリンをペイロードとしているところに特徴があります。ブリストル マイヤーズ スクイブとのパートナーシップによってMORAb-202の開発を加速し、新たな治療選択肢として世界の患者様にお届けできるよう全力を尽くします」と述べています。

 

 ブリストル マイヤーズ スクイブのBoard Chair and CEOであるジョバンニ・カフォリオは、「エーザイとのこのグローバルな提携は、ブリストル マイヤーズ スクイブの戦略に沿う重要なものであり、広範な固形がんポートフォリオを補完するとともに、当社が持つ深い専門性を活用し、オンコロジー領域のリーディングポジションを拡大するものです。エーザイとの協業により、この潜在的な治療オプションを必要としている患者様にできるだけ早く提供できるよう努めていきます」と述べています。

 

 2021年5月12日公表の2022年3月期のエーザイの通期連結業績予想については、現時点で修正は行いません。今後、事業ならびに戦略的オプションの進捗を踏まえ、修正の必要があると判断した際には、速やかに公表します。

 

以上

 

韓国、台湾、香港、マカオ、フィリピン、ベトナム、ラオス、タイ、カンボジア、マレーシア、シンガポール、インドネシア、インド、オーストラリア、ニュージーランド

 

本件に関する報道関係お問い合わせ先

 

  

<参考資料> 

1. エーザイ株式会社について

 エーザイは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。当社はグローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、hhcの実現に向けて戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界中の約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

 当社はhhcの理念のもと、サイエンス、臨床科学、患者様の視点から、顧みられない熱帯病、持続可能な開発目標(SDGs)を含む世界のアンメット・メディカル・ニーズに対して、革新的なソリューションの提供をめざします。

 エーザイ株式会社の詳細情報は、www.eisai.co.jpをご覧ください。Twitterアカウント@Eisai_SDGsでも情報公開しています。

 

2. ブリストル マイヤーズ スクイブについて

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、深刻な病気を抱える患者さんを助けるための革新的な医薬品を開発し、提供することを使命とするグローバルなバイオファーマ製薬企業です。ブリストル・マイヤーズ スクイブに関する詳細については、BMS.comをご覧くださるか、LinkedInTwitterYouTubeおよびFacebookをご覧ください。

 

3. MORAb-202(開発品コード)について

 MORAb-202は、エーザイ創製の葉酸受容体α(FRα)に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であるファルレツズマブに、酵素切断リンカーを介して、同じくエーザイ創製の抗がん剤エリブリンを化学結合させたベスト・イン・クラスのポテンシャルが期待されるエーザイ初のADCです。現在、エーザイが日本と米国においてFRαが発現した固形がんを対象とした臨床第Ⅰ相試験および臨床第Ⅰ/Ⅱ相試験をそれぞれ実施中です。

 MORAb-202は、標的となるFRαが発現したがん細胞内に取り込まれた後にリンカーが酵素的に切断され、抗体からエリブリンが切り離されて抗腫瘍活性を示します。非臨床試験において、FRα陽性がん細胞の周囲のFRα陰性がん細胞に対しても、抗腫瘍活性を示すバイスタンダー効果が確認されています。

 ペイロードであるエリブリン(製品名:「ハラヴェン」)は、新規の作用機序を有するハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤です。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出された天然物ハリコンドリンBの全合成類縁化合物であり、微小管の伸長(重合)を阻害・抑制することで、細胞分裂の停止作用を有しています。日本、米国、欧州、中国、アジアなど、75カ国以上で乳がんに係る承認を取得しています。また、日本、米国、欧州、アジアなど、75カ国以上において脂肪肉腫(日本では悪性軟部腫瘍)に係る適応追加の承認を取得しています。

 

 

ブリストル マイヤーズ スクイブ Forward-Looking Statement

本プレスリリースには、医薬品の研究、開発および商業化、ならびに共同研究などに関する、1995年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予想に関する記述」が含まれています。歴史的事実以外のすべての記述は、将来予想に関する記述であり、またはそのようにみなされる可能性があります。これらの将来予測に関する記述は、過去の実績、ならびに将来の財務結果、目標、計画および目的に関する現在の期待および予測に基づくものであって、固有のリスク、仮定および不確実性(今後数年間にかかる将来の財務結果、目標、計画および目的のいずれかを遅延、逸脱、または変更させうる内外の要因、および予測困難であって、当社が制御し得ない可能性があり、将来の財務結果、目標、計画、目的を当該記述で明示または暗示されているものと重要な点において異なるものにしうる内外の要因を含む)を内包しています。これらのリスク、仮定、不確実性およびその他の要因には、共同研究から期待される利益およびそれに関連する機会がブリストル マイヤーズ スクイブによって実現されない、もしくは実現までに予想を上回る時間がかかる可能性、MORAb202が主要な研究評価項目を達成できない可能性、MORAb202について本プレスリリースに記載される症状に対する規制当局の承認を現在予想されているスケジュールのとおりに得られず、もしくは全く得られない可能性、および承認された場合に、本プレスリリースに記載される症状についての製品候補が商業的に成功するかどうか、などが含まれます。いかなる将来予測に関する記述も保証されるものではありません。本プレスリリースに含まれる将来予測に関する記述は、ブリストル マイヤーズ スクイブの事業および市場に影響を及ぼす多くのリスクおよび不確実性、特に2020年12月31日を終期とする1年間に係るブリストル マイヤーズ スクイブのフォーム10-K年次報告書(その後のフォーム10-Q四半期報告書、フォーム8-K最新報告書、および証券取引委員会へのその他の提出物によって更新されたものをいいます)における注記およびリスク要因の考察において特定されたものと併せて評価されるべきものです。本プレスリリースに含まれる将来予測に関する記述は、本プレスリリースの日付現在におけるものであり、適用法により必要な場合を除き、ブリストル マイヤーズ スクイブは、新しい情報、将来の出来事、状況の変化などの結果にかかわらず、将来予測に関する記述を公に更新または変更する義務を負いません。