Lecanemab(BAN2401)の早期アルツハイマー病に対する18カ月の臨床第Ⅱb相試験の結果が査読学術専門誌Alzheimer’s Research and Therapy誌に掲載進行中のLecanemab臨床第Ⅲ相試験(Clarity AD)は被験者登録を完了

エーザイ株式会社

バイオジェン・インク

     

 エーザイ株式会社(代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク(Nasdaq: BIIB、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)は、このたび、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体lecanemab(開発コード:BAN2401)による早期アルツハイマー病(早期AD)に対する無作為化、二重盲検、POC(Proof of Concept:創薬概念の検証)臨床第Ⅱb相試験(201試験)の結果がAlzheimer’s Research and Therapy誌に掲載されたことをお知らせします。本論文では、lecanemabによる効果を評価したPOC試験である201試験の結果として、脳内Aβ量の減少と臨床症状の進行抑制が示されたことが述べられています。本論文では、事前に設定した解析法に基づき、lecanemabの最高用量は、複数の臨床症状を評価するエンドポイントならびにバイオマーカー指標において一貫した進行抑制を示したと結論付けています。現在、この結果の確認を目的とした臨床第Ⅲ相試験(Clarity AD)が進行中です。201試験の結果は、2018年のアルツハイマー病協会国際会議およびアルツハイマー病臨床試験会議にて発表されています。

 

 Lecanemabの臨床第Ⅲ相試験であるClarity ADは、2021年3月に被験者登録を完了し、合計1,795人の早期AD当事者様が登録されました。Clarity ADは、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較の18カ月の試験とそれに続く非盲検継続投与試験から成る、早期ADに対するlecanemabの安全性と有効性を検証する臨床試験です。さらに、lecanemabについては、臨床的に無症状期で脳内Aβレベルが境界域または陽性として定義されるプレクリニカルAD当事者様における効果を検証する臨床第Ⅲ相試験であるAHEAD 3-45が現在進行中です。

 

 本論文の著者である、Director at the Chambers-Grundy Center for Transformative Neuroscience, Department of Brain Health, School of Integrated Health Sciences, University of Nevada Las Vegas の医師であるJeffrey Cummings医学博士は、「Aβ凝集体は、Aβモノマーよりも毒性が高いと考えられています。我々は、このAβ凝集体を減らすことが、ADの初期段階における効果的な治療アプローチとなる可能性があると想定しています。Lecanemabの臨床第Ⅱb相試験で得られた結果は有意義であり、現在進行中の臨床第Ⅲ相試験であるClarity ADおよびAHEAD 3-45により、さらに新たな知見が生まれることを楽しみにしています」と述べています。

 

 エーザイ ニューロロジービジネスグループのVice President, Deputy Chief Clinical Officerの医師であるMichael Irizarry医学博士は、「臨床第Ⅱb相試験によりlecanemabの臨床効果を支持する結果が示され、2種類の臨床第Ⅲ相試験が開始されていることはエキサイティングであり、AβパスウェイがADの病態生理学において重要な役割を果たしているという科学的根拠を示す機会となります。当社の精密化医療に向けたパイプラインアプローチは、ADを連続体と捉え、個別の病態生理学的バイオマーカープロファイルに基づいたADの治療パラダイムの確立を目指しています。当社は、lecanemabやその他のパイプライン製品の開発を進め、認知症当事者様とその家族に一日でも早くソリューションを提供できるように取り組んでいきます」と述べています。

 

  

<参考資料>
  1. 1. Lecanemab(開発コード: BAN2401)について

 Lecanemabは、BioArctic AB(本社:スウェーデン)とエーザイの共同研究から得られた、可溶性のAβ凝集体(プロトフィブリル)に対するヒト化モノクローナル抗体です。lecanemabは、ADを惹起させる因子の一つと考えられている、神経毒性を有するAβプロトフィブリルに選択的に結合して無毒化し、脳内からこれを除去することでADの病態進行を抑制する疾患修飾作用が示唆されています。早期ADを対象とした大規模臨床第Ⅱ相試験(201試験)においては、世界で初めて後期臨床試験として臨床症状評価による進行抑制と脳内Aβ蓄積量の減少を統計学的有意差をもって達成し、疾患修飾効果を示しました。エーザイは、本抗体について、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるアルツハイマー病を対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を獲得しています。現在、臨床第Ⅱ相試験(201試験)の非盲検投与延長試験および早期ADを対象とした検証用の一本の臨床第Ⅲ相試験(Clarity AD)を実施中です。また、2020年7月に、臨床症状は正常で、ADのより早期ステージにあたる脳内Aβ蓄積が境界域レベルおよび陽性レベルのプレクリニカルADを対象とした臨床第Ⅲ相試験(AHEAD 3-45試験)を開始しました。National Institutes of Health、National Institute on Agingは、AHEAD 3-45試験(A45 TrialおよびA3 Trial)に資金を提供しています。2014年3月に、エーザイとバイオジェンはlecanemabに関する共同開発・共同販促に関する契約を締結し、2017年10月に内容の一部変更契約を締結しています。

 

  1. 2. エーザイとバイオジェンによるアルツハイマー病領域の提携内容について

 エーザイとバイオジェンは、アルツハイマー病治療剤の共同開発・共同販売にする提携を行っています。抗Aβ抗体であるアデュカヌマブについては、バイオジェン主導のもとで共同開発を行い、lecanemabについては、エーザイ主導のもとで共同開発を行います。

 

  1. 3. エーザイとバイオアークティックによるアルツハイマー病領域の提携について

 2005年以来、BioArcticはAD治療薬の開発と商品化に関してエーザイと長期的な協力関係を築いてきました。2007年12月にlecanemabの商品化契約を締結し、2015年5月にAD用抗体lecanemabバックアップの開発・商品化契約を締結しました。エーザイは、AD向け製品の臨床開発、市場承認申請、商品化を担当しています。BioArcticには、ADにおけるlecanemabの開発コストはありません。

 

  1. 4. エーザイ株式会社について

 エーザイ株式会社は、本社を日本に置くグローバル製薬企業です。当事者とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)・コンセプト」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

 エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験を活かし、エーザイ認知症プラットフォームの確立を企図し、医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携して、新たな便益をお届けする「認知症エコシステム」の構築をめざしています。エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。

 

  1. 5. バイオジェンについて

 神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、免疫疾患、神経認知障害、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、http://www.biogen.com/ およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。

 

以上

 

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