当社のリンパ系フィラリア症の制圧活動に関するアニメーション動画がInternational Society for Neglected Tropical Diseasesフェスティバルアワード2021で「アニメーション賞」を受賞

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役 CEO:内藤晴夫)は、このたび、リンパ系フィラリア症(LF)の制圧活動をテーマとして当社が制作したアニメーション動画「Leave No One Behind-顧みられない人々の病気-」が、International Society for Neglected Tropical Diseases (ISNTD)フェスティバルアワード2021の「アニメーション賞」を受賞したことをお知らせします。

 

 ISNTDフェスティバルは、顧みられない熱帯病(NTDs:Neglected Tropical Diseases)の認知向上のために毎年行われるイベントで、今回が5回目の開催となります。本フェスティバルに付随して行われるISNTDフェスティバルアワードでは、NTDsに関するアニメーション、アート、アプリ、啓発キャンペーン、写真、動画、報道の7つの部門ごとに優れた作品を選定し、表彰します。

 

 今回受賞したアニメーション動画「Leave No One Behind-顧みられない人々の病気-」は、2010年のLF制圧に向けた当社と世界保健機関(WHO)との共同声明から10年間、私たちが世界中のパートナーと共に取り組んできたLF制圧活動をテーマとしています。本動画では、治療薬の無償提供と疾患啓発を通じて感じ取った患者様の想いのほか、僻地への薬剤配送、蔓延地域における住民への疾患啓発や集団投与(MDA)の支援などの制圧活動において、当社を含むグローバルパートナーが、必要な医薬品を必要とする人々に届けるために、力を合わせて全力で取り組んできたことを取り上げています。

    

アニメーション動画はこちらからご覧ください。  

   

 当社は、LF治療薬の一つである「ジエチルカルバマジン(DEC錠)」をインド・バイザッグ工場で製造し、2013年から蔓延国に無償提供しています。これまでにLF蔓延国28カ国に20.1億錠を提供し、エジプト、キリバス、タイ、スリランカの4カ国での制圧達成に貢献してきました。また、世界中のパートナーと協力して、LFの疾患啓発や制圧のためのMDA実施の支援も行っています。当社は、DEC錠を必要とする全てのLF蔓延国で制圧が達成されるまで、DEC錠の無償提供を継続することを表明しています。

 

 当社は、パートナーシップを活用し、開発途上国・新興国で蔓延するLFを含むNTDsや感染症などに対する新薬の開発を加速させるとともに、現地における疾患啓発、ならびに所得に応じた価格設定の導入など、医薬品アクセスの向上に向けた活動を通じて、世界の患者様とそのご家族のベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

     

以上

 

<参考資料>

1. リンパ系フィラリア症について

 リンパ系フィラリア症(LF)は、蚊を媒介として人に感染する顧みられない熱帯病(NTD)です。 LFは、リンパ系機能障害により、足などの体の一部が肥大化し、激しい痛みや恒久的な障害だけでなく、外観の損なわれることによる社会的偏見を引き起こします。その結果、患者様は精神的、社会的、経済的損失を被ることになります。開発途上国を中心に世界で8.93億人が感染のリスクにさらされていると推定されています。DEC錠を含む3種類のLF治療薬の集団投与(mass drug administration: MDA)を実施することにより、LFを制圧することが可能です。

 

2. エーザイのLF制圧を含む医薬品アクセス向上への取り組み

 当社は、ヒューマンヘルスケア理念(hhc)に基づき、各国政府や国際機関、民間企業や非営利団体などとの協力のもと、世界における医薬品アクセス改善に向けて中長期的視点に立った取り組みを展開しています。

 当社は、集団投与(MDA)に用いられる高品質なDEC錠の安定供給が世界的に困難であった状況に鑑み、2010年11月に、2020年までに合計22億のDEC錠をWHOに無償で提供することに合意しました。2012年には、NTDs10疾患の制圧に向けたグローバルヘルス分野における過去最大の官民パートナーシップである「ロンドン宣言」に唯一日本企業として参画しました。2017年4月に行われた「ロンドン宣言」5周年イベントで、当社は、DEC錠が必要とされる全てのLF蔓延国において制圧が達成されるまで、2020年以降も継続してDEC錠を提供することを発表しました。

 当社は、28カ国に20.1億錠を提供しています(2021年3月末時点)。さらに、当社は、WHOがMDAを円滑に実施するため、蔓延地域での疾患啓発活動にも協力しています。エーザイグループの社員がLF蔓延国の制圧担当者やその他現地の関係者と協力して早期制圧実現に向けた支援活動を行っています。また、蔓延国でLFおよびその予防・治療について現地語でのリーフレットの配布やMDA実施の支援も行っています。

 当社は、LF制圧に向けた取り組みのほか、新薬開発においてもDrugs for Neglected Diseases initiative (DNDi )やMedicines for Malaria Venture(MMV)などの国際的な非営利団体、あるいはLiverpool School of Tropical Medicine、ケンタッキー大学やブロード研究所などの研究施設とのパートナーシップにより、マイセトーマやLFなどのNTDsやマラリアなどの感染症に対する新薬開発を進めています。

 さらに、日本発の新薬創出によるグローバルヘルスへの貢献をめざす公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund: GHIT Fund)、世界知的所有権機関(WIPO)が主催するNTDs、マラリアや結核の治療薬開発のための国際共同事業「WIPOリサーチ(Re:Search)コンソーシアム」、結核に対する革新的な創薬をめざす「Tuberculosis Drug Accelerator」(TBDA)パートナーシップや非感染性疾患の予防と治療を推進するイニシアチブ「Access Accelerated(アクセス・アクセレレイテッド)」に参画しています。

 当社の医薬品アクセスへの取り組みの詳細は、当社サイト「医薬品アクセス」をご覧ください。https://www.eisai.co.jp/sustainability/atm/index.html

 

3. International Society for Neglected Tropical Diseases(ISNTD)について

 2012年に設立されたInternational Society for Neglected Tropical Diseases(ISNTD)は、NTDsへの取り組みの重要性を訴えるとともに、NTDsの制圧に向けて製薬産業、アカデミア、クリエイティブ産業などの幅広いパートナーが連携できるよう、協力的かつ学際的なネットワークを提供する独立した機関です。

 ISNTDは、コミュニケーション、芸術、エンターテインメントと科学の力を集結させ、公衆衛生に関する複雑な情報が世界中の患者様、生活者の皆様や世界の医療従事者に届くように支援するため、毎年ISNTDフェスティバルを開催しています。ISNTDフェスティバルでは、熱帯病や感染症に関する複雑な課題への取り組みを取り上げた優れた創造的な作品を募集し、応募作品の中からISNTDフェスティバルアワードを受賞する作品を選定しています。今年のISNTDフェスティバルアワード2021の受賞者や作品については、こちらからご覧ください。