早期アルツハイマー病当事者様の治療アクセス改善に向け米国におけるADUHELM®の価格引き下げを発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、本日、バイオジェン・インク(Nasdaq: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)が、米国におけるアルツハイマー病(AD)治療剤ADUHELM®(一般名:アデュカヌマブ)注射100mg/mL溶液の卸業者購入価格(WAC)を2022年1月1日から、約50%引き下げる決定をしたと発表しましたので、お知らせします。これにより、米国における平均体重(74 kg)の当事者様の場合、維持投与量(10 mg/kg)による年間コストは28,200ドルとなります。

 

 ADUHELM発売以来数カ月間、バイオジェンは、ステークホルダーの皆様からのご意見を聞いてまいりました。多くの当事者様が、経済的な理由からADUHELMという新たな治療選択肢を提供されておらず、ADの根源的な病理に作用する最初の治療法の恩恵を受けるタイミングを逃し、病状が進行してしまうという状況に置かれています。バイオジェンは、米国の医療システムの持続可能性も踏まえて、この課題に対処しなければならないと考え、今回の価格改定を実施することが必要であると判断しました。

 

 今回の対応は、ADUHELMに関連するAD当事者様の自己負担費用を削減し、米国の医療システムへの潜在的な経済的影響を軽減することを目的としています。ADUHELMの価格引き下げは、このファーストインクラスの治療法についての疑問や潜在的な治療対象者の同定、および医療経済学的前提の変更を考慮したものです。バイオジェンは、保険適用がされ、診断が可能な専門医療施設へのアクセスの確保がされれば、2022年には米国において、約5万人がADUHELMによる治療を開始すると想定しています。

 

 現在、Centers for Medicare and Medicaid Services(CMS)がADUHELMを含むアミロイドβ除去作用を主体とする新しいクラスのAD治療薬に対する保険適用の可能性について検討しており、米国のADコミュニティにとって重要な時期を迎えています。今回の措置がこれらの革新的な薬剤に対する当事者様のアクセス向上に繋がることを期待しています。

 

 本価格対応は、ADUHELMについて、一層の情報提供を継続していくとのコミットメントを示しています。バイオジェンは、「アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)」で新規p-tau181バイオマーカーのデータを発表し、またADUHELMの臨床第Ⅳ相市販後検証試験についてはタイムラインを加速し4年間で完了することとしています。米国食品医薬品局によるADUHELMの迅速承認は、ADに対する投資を拡大し、研究やイノベーションを加速することに貢献していると考えています。

 

 なお、本件による当社2022年3月期の業績予想への影響は軽微であり、2021年11月1日に発表した業績予想に変更はありません。

  

以上

 

<参考資料>

1. ADUHELM® (一般名:アデュカヌマブ)注射100 mg/mL溶液について

 米国におけるADUHELMの適応症は、アルツハイマー病の治療です。ADUHELMによる治療は、臨床試験において治療開始の対象としたアルツハイマー病による軽度認知障害または軽度認知症の患者様において開始される必要があります。これらの病期よりも早期または後期段階での治療開始に関する安全性と有効性に関するデータはありません。本適応症は、ADUHELMの治療により観察されたアミロイドβプラークの減少に基づき、迅速承認の下で承認されています。本迅速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となります。

 ADUHELMは、アミロイドβに対するモノクローナル抗体です。脳内のアミロイドβプラークの蓄積は、アルツハイマー病の明確な病態生理学的特徴です。ADUHELMの迅速承認は、臨床的有用性、この場合は臨床症状の悪化抑制をもたらす可能性が合理的に高い代理バイオマーカーであるアミロイドβプラークの減少に対するADUHELMの効果を示す臨床試験のデータに基づいて付与されました。

 ADUHELMは、次のような重篤な副作用を引き起こす可能性があります。アミロイド関連画像異常(ARIA)は、多くは症状を引き起こさない一般的な副作用ですが、重篤になる場合があります。ほとんどの場合症状はありませんが、頭痛、錯乱、めまい、視力の変化、吐き気などの症状が現れる人もいます。医療提供者は、患者様に対してADUHELMによる治療前と治療中に磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを行い、ARIAをチェックします。ADUHELMは、次のような深刻なアレルギー反応を引き起こす可能性があります。ADUHELMの最も一般的な副作用には、脳内または脳の表面の微小出血を伴うまたは伴わない脳内の浮腫(ARIA)、頭痛と転倒があります。患者様は、副作用に関する医学的アドバイスをもらうように医療提供者に相談する必要があります。2017年10月より、バイオジェンとエーザイは全世界的にアデュカヌマブの開発ならびに製品化を共同で実施しています。

 

米国におけるADUHELMの添付文書投薬ガイドはこちらから入手できます。

 

2. 米国における費用、保険の適用範囲および自己負担の支援

 ADUHELMの卸業社購入価格(WAC)は、米国の軽度認知障害(MCI)または軽度認知症患者様の平均体重である74kgの患者様に対して1回投与あたり2,171.40ドルです。170mgバイアル、300mgバイアルの価格は、それぞれ479.40ドル、846.00ドルとなります。維持投与量(10 mg/kg)での年間コストは28,200ドルになります。漸増投与期間により、治療初年度の費用は低減され20,500ドルになります。WACは、リストプライスであり、正味価格や患者様が保険を用いて支払う価格ではありません。保険に加入している患者様の自己負担額は、加入している保険の種類によって異なります。

 

 ADUHELMの購入が困難な患者様は、経済的支援プログラムを利用可能です。詳細については、Biogen Support Services(+1-833-425-9360)にお問い合わせください。